魚5千匹氷漬けリンク、実は批判派は少数派なのに中止する必要はあったのか?背後に巨大権力

魚5千匹氷漬けリンク、実は批判派は少数派なのに中止する必要はあったのか?背後に巨大権力

  • Business Journal
  • 更新日:2016/11/30
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福岡県北九州市のテーマパーク・スペースワールドが、約5000匹の魚を氷漬けにしたスケートリンクをつくり、「海の上で滑る感覚を味わう」とうたったイベント「氷の水族館」を企画したが、「悪趣味」「生命に対する冒涜」などと批判が殺到して中止するに至った。

一方で、スペースワールドを擁護する意見も多く、インターネット上では喧々諤々の議論が繰り広げられている。各所でアンケートなどの調査も行われているが、擁護派のほうが多数を占める傾向にある。「残酷だとは思わない」「中止する必要はなかった」との意見が約7割を占める調査もあった。

つまり、少数派であるにもかかわらず、強く抗議する意見が殺到したことで企画が中止に追い込まれたことになる。当のスペースワールドに問い合わせたところ、賛否両論の意見があったようだが、不快に思った人が多くいたことを重くみたとの判断だという。

「さまざまなご意見を頂戴しておりますが、多くのお客様に対して不愉快な思いをさせてしまったことは紛れもない事実あり、大いに反省している」「魚達についてはしっかりと供養いたします」(スペースワールド)

近年、一般消費者などからの強い抗議によって、企業が企画を中止したり、テレビCMの放送を取りやめるといった事例が頻発している。その抗議が多数派の意見とは相違していたとしても、中止せざるを得ないものなのだろうか。企業のリスクマネジメントにも詳しい経営コンサルタントの高井尚之氏に話を聞いた。

●「転ばぬ先の杖」の経営判断

--そもそも、企画を運営する際、どの程度の批判を想定しておくべきものなのでしょうか。

高井尚之氏(以下、高井) その企業・団体(や官公庁)がどの位置づけなのかによりますが、一般消費者や市民を相手にする場合は、「転ばぬ先の杖」といった視点は欠かせないと思います。その視点とは、「男性目線、上から目線ではないか」「不快感を持たれないか」などです。

ちなみに、この一般消費者でも、「(1)同じ嗜好のマニアを相手にする場合」と「(2)老若男女さまざまなお客を相手にする場合」では異なるというのが私の認識です。

たとえば、(1)はサバイバルゲームの場所提供など、(2)は今回のようなスケートリンクの場所提供などです。言うまでもなく、(2)の場合は特に上記の視点が必要となる時代です。

--どの程度のリスクが見込まれると企画を中止するべきでしょうか。

高井 このタイミングは難しいのですが、「世論の風向き」がどこにあるか、だと思います。
「悪事千里を走る」の諺にたとえれば、「不満や不快はネットで万里を走る」時代です。しかも、一時的により加速します。

今回のケースは、すでに死んで食用にならない魚を使ったとはいえ、氷漬けにした魚の上を人間が滑走するというのが、「残酷」「命を粗末にしている」となった段階で――上記でいえば「不快感」や「上から目線(死んだ魚の上を人間が滑走する)」に当たることになります。

これは、抗議の数よりも、今後の展開がどうなるかという想像力も必要になると思います。「このまま放置すればイメージダウンにつながる」と判断すれば、企画を中止するべきでしょう。その意味でスペースワールドの判断は正しかったと思います。

少し話がそれますが、2009年に危機管理の専門家に「花王がエコナ問題で対応を誤った」時に取材した際、同年時点で「『世論』という新たな権力ができた」との見解を示していました。

--批判を覚悟で実行し続ける場合のリスクとメリット

高井 「かえって宣伝効果が高まった」と本当に腹をくくれる場合は、実行し続けていいかもしれません。ただ、数年間は「色がつく」のは避けられないため、それでも構わないという強い信念が必要です。

一般消費者を相手にする企業であれば、ある意味、「臆病」なぐらいの対応でいい時もあります。その場合は、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)、ユニリーバ、ライオンなども含めて、トイレタリーや化粧品メーカー、食品メーカーの対応が(失敗も含めて)参考になります。

その理由は、これらの企業は主に主婦層を相手にしているので「不買運動」「企業イメージダウン」につながらないために、早期の火消しをしようとするからです。

今年の例でいえば、次の事例が早期の火消しといえます。

・日清食品が「カップヌードル」のテレビCMで、不倫問題で離婚したタレントの矢口真里さんを起用して「二兎を追う者は一兎をも得ず」というセリフを言わせたことで、批判を受けたため、放送を中止

・花王が、息子で俳優の高畑裕太逮捕に伴い、女優の高畑淳子さんが登場する洗剤のCMを中止

窮屈な世の中だと思いますが、少し前の感覚が通用しない時代なのです。

--ありがとうございました。

確かに、「少数派の意見だから」とタカをくくれば、「不遜な姿勢の企業」などとレッテルを貼られて、さらに批判が高まりかねない。消費者のイメージが重要な企業にとって、臆病なくらいに丁寧な対応と迅速な火消しが重要といえる。
(文=編集部)

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