6年間で学費4700万円超!「私大医学部最高額」の川崎医科大の内実とは?

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  • 更新日:2018/02/15
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岡山県倉敷市にある川崎医科大学(撮影/庄村敦子)

5年に1度、国勢調査などを基につくられる厚生労働省「都道府県別生命表」。これによると、2015 年都道府県別の平均寿命(17年12月発表)は、女性2位が岡山県(87.67歳)、3位が島根県(87.64歳)だった。AERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、この生命表から「長寿県」が多い中国地方に注目。岡山、広島、島根の医学部に訪れ、最前線医療の取り組みを取材した。ここでは川崎医科大学を紹介する。

*  *  *

岡山県には、国立大の岡山大学の他にもう一つ、医学部がある。私立大の川崎医科大学だ。

医学部受験を志していれば、一度は気になったことがあるかもしれない。はっきり言おう。「学費が高い」ことで知られているからだ。

6年間でかかる学費は4700万円超。ただでさえ高額といわれる私立大医学部のなかでも、最も高い。

だが、実際に取材に訪れると「高額」といった印象ではなく、「9年間一貫教育」を掲げ、医科大学唯一の附属高校が強みに高度な先進医療と良医の育成のための施設が充実していることに驚く。

■全国的に先駆けとなる医学教育体制が充実

岡山大学医学部を卒業後、勤務医を経て開業し、岡山市医師会長も務めた川﨑祐宣医師が1970年に岡山県倉敷市に創設したのが、川崎医科大学と川崎医科大学附属高校だ。

「本学は、中四国地方唯一の私立医科大学です。当時の医師不足、一部医師のモラル低下など、医学教育を憂慮した川﨑祐宣医師が医学教育を改革し、良医を育成するために創設しました」

川崎医科大学の福永仁夫学長が、創設の理由をこう語る。

創設者の川﨑医師が「宣伝するのははしたない」と考えていたため、今まであまり大々的にPRしてこなかった。だが、創設以来、医学教育に力を入れ続けてきた川崎医科大学が「先駆け」となったものも少なくない。

1981年に、キャンパス内に現代医学教育博物館を開館した。健康教育の推進を目的に、無料で一般に公開している「健康教育博物館」は、体験やクイズにチャレンジし、医学や健康について楽しく学べる。学芸員の中村信彦さんが言う。

「3階の展示室には約1700点を超える病理肉眼標本が臓器別に展示してあるほか、シミュレーションルームもあります。4階の展示室では約30のブースで大学の授業や各教室の研究・教育関係の展示を行うほか、約700点の実物標本も展示しています。これだけ多くの標本を展示した博物館を持つのは希少です。学生たちの自学自修の場としてだけではなく、他大学の川崎医科大学医学・医療関係者も見学に訪れます」

2005年からすべての医学部が実施しているOSCE(客観的臨床能力試験)を1993年に日本で初めて導入したのも、全国で最も早くスーパーローテート研修を導入したのも川崎医科大学だ。

「1期生から、将来どの科に行っても全身管理のできる医師に育てるため、内科、外科、救急科を中心とした2年間の総合診療方式の研修制度を実施しました。この『川崎医科大方式の初期研修制度』は、国の主導する2年間の初期研修制度に先駆け、今から約40年前に開始しました」(福永学長)

現在、注目されている総合臨床医学も約30年前に同大が始めた。さらに、脳卒中医学教室、救急医学教室の開設も同大が発祥の地であり、回復期リハビリテーション病棟も、特定機能病院では全国初の設置だ。

ドクターヘリも2001年に全国に先駆けて運用し、年間約400件も出動している。

「キャンパス内の高度救命救急センターは、365日24時間態勢で患者さんを受けて入れています。ドクターヘリの運用と同センターによって、救命率の向上や後遺症の軽減に大きな成果を上げていること、脳卒中市民講座などの啓発活動を行っていることも、岡山県の長寿を支えていると思います」(福永学長)

同大の1年次は全寮制。「人間をつくる 体をつくる 医学をきわめる」という建学の理念に基づき、医師に必要なコミュニケーション能力などを身につけるためだ。2年次に5週間実施する「医学研究への扉」は、「医学をきわめる」カリキュラムだ。大多数の学生は学内の研究室で研究するが、九州大学、金沢大学、日本医科大学などの研究室で研究する学生もいる。

「研究の面白さに気づく学生が多いですね。ポスター発表を行うため、プレゼンも上手になります。アメリカのバーモント大学の病理学教室への短期留学、中国上海中医薬大学、オックスフォード大学グリーン・テンプルトン・カレッジなどへの見学研修など、国際交流も実施しています」(福永学長)

入学時の偏差値は決して高いとは言えない。が、医師国家試験の合格率は全国平均を上回っている。

「小グループチュートリアル教育、学年担当教員制などで、きめ細かに指導しています。6年次には集中講義形式で国家試験対策を行い、卒業試験は国家試験と同形式で3回に分けて実施します」

手厚い対応は学生だけではない。保護者の多くは医師だというが、保護者が医学生のときとは医学教育、医師国家試験、卒後研修制度などが違うため、全国で保護者会を開き、学長自ら説明をしているという。

(文/庄村敦子)

※『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』から抜粋

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