「ハリポタ」にも登場したマンドラゴラ 叫び声で死人は出ない? 専門家が断言する納得の理由

「ハリポタ」にも登場したマンドラゴラ 叫び声で死人は出ない? 専門家が断言する納得の理由

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  • 更新日:2018/01/13
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引き抜くとすさまじい叫び声を上げるという伝説がある「マンドラゴラ」の花。2018年1月11日時点では、まだ幾つかのつぼみがついていた

引き抜くとすさまじい叫び声を上げ、それを聞いた人は死んでしまうという伝説のある植物「マンドゴドラ」が、兵庫県・淡路島にある農業公園「淡路ファームパーク・イングランドの丘」(南あわじ市)で花を咲かせている――。

【マンドラゴラの根っこの写真はこちら…】

そんなニュースが2018年1月10日、インターネット上などで報じられた。古くから物語の中で呪術や錬金術などの材料として登場し、現代でも映画「ハリー・ポッター」シリーズやアニメ、マンガ、ゲームにも出てくる伝説の植物が実在したというニュースは話題を呼び、ツイッターでは「実在したのか」といった驚きのツイートが続々と投稿された。

イングランドの丘によると、この日は園にメディアなどからの問い合わせが殺到。公式ホームページはアクセスが集中し、一時サーバーダウンしてしまったという。「まさかこんなに話題になるとは。(園内で飼育する)動物のニュースでサーバーダウンしたことはないのに……」。マンドラゴラの栽培を担当する同園のスタッフ、後藤敦さんは苦笑する。

後藤さんは2013年、バックヤードで枯れかけていた鉢植えのマンドラゴラを見つけ、育てることにした。独学で試行錯誤しながら栽培を続けてきたという。

栽培を始めて4年目の2017年12月19日、ふと鉢に目をやると、直径約3センチの可愛らしい紫色の花が咲いていた。園には15年以上前からあったが、開花したという記録はなかった。後藤さんは「驚きましたが、うれしかったです」と振り返る。

多くの人に花を見てもらおうと、12月下旬、マンドラゴラの鉢をバックヤードから人気のコアラ館に移して展示を始めた。1月11日現在、つぼみが7つあり、20日ごろまでは楽しめるという。後藤さんによると、葉からはポテトチップスのコンソメ味のようなにおいがするそうだ。花は無臭という。

一躍話題をさらったマンドラゴラだが、2014年、同園で「変わった生きもの」というくくりでサソリやヘビ、ウツボカズラなどと展示し、人気投票を行った際は、約10点の中で最下位だったそうだ。1位はゴキブリ。「花が咲いていなくて葉っぱだけだと地味ですしね」(後藤さん)

栽培のこつを聞くと、「わりと丈夫です」とざっくりした答えが返ってきた。とはいえ、暖かい地中海地方原産の植物なので、紫外線や遠赤外線を当てて暖めるなどの工夫もしているという。

また、こんな話も聞かせてくれた。「年に1回、夏前になると休眠し、葉っぱが全部落ちてしまった状態が1カ月ほど続きます。葉っぱを見れば水をあげるタイミングが分かるのですが、頭だけ出しているので、生きているのかどうか分からず、ひやひやします」。なんとスリリングな。

マンドラゴラ(マンドレイクともいう)はナス科の植物で、地中海沿岸や中国西部に自生する。根には幻覚や幻聴などを起こす毒があり、人間の胴体や手足に似た形に成長することもある。日本の植物学のパイオニア、植物学者の牧野富太郎が、著書「趣味の植物誌」(1948年)で、「有害植物で古来久しく迷信の的となつてゐた名高いものである」と記したように、「人型の根が発する叫び声を聞くと死んでしまう」などの伝説がある。

マンドラゴラは、昔から国内外の多くの物語で扱われてきた。映画「ハリー・ポッター」シリーズでは、ホグワーツ魔法魔術学校の薬草学の授業で登場。生徒たちが耳当てで耳をふさぎ、鉢から引き抜くと、人型の根がじたばたと動きながら甲高い叫び声を上げる。

引き抜くと悲鳴を上げるという伝説は本当なのだろうか。イングランドの丘の後藤さんは2013年、株が弱っていたため、植え替えを決行した。伝説のことは知っていたため、念のため耳栓をしてチャレンジしたところ、無事だったという。「当時のことはあまり覚えていませんが、ドキドキしました」

10年以上前からマンドラゴラを栽培し、2014年以降、しばしば開花に成功しているという茨城県つくば市にある国立科学博物館筑波実験植物園にも聞いてみた。「マンドラゴラが叫び声をあげ、それを聞いた人が命を落とすなら、植え替えしている職員は何度も死んでいることになりますので……ありません」。同園でもマンドラゴラが花を咲かせ、13日から展示する予定だという。

後藤さんは言う。「マンドラゴラは不吉な伝説が多いですが、その一方で、大切に育てると幸せになれるという伝説もあります。今回、園がこんなに注目されたのは恩返ししてくれたのかな」

11日は淡路島でも雪がちらつく寒さだったが、コアラ館には次々とカップルや家族連れが訪れ、マンドラゴラの鉢の前で足を止めていた。後藤さんの手厚い世話は報われたようだ。(ライター・南文枝)

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