MVに見るジャミロクワイのディスコ(と帽子)への愛。“Virtual Insanity”から“Automaton”まで

MVに見るジャミロクワイのディスコ(と帽子)への愛。“Virtual Insanity”から“Automaton”まで

  • rockinon.com
  • 更新日:2017/09/15

3月にリリースした最新作『オートマトン』を引っ提げて5年ぶりの来日を果たすジャミロクワイ。毎度のごとく最新作は鉄壁の内容で、自身の最大のインスピレーションとなってきたファンク=ディスコを最新型のサウンドとして打ち出していくものになっていて、グルーヴもビートもボーカルも極上という、非の打ちどころのないダンス・ポップとして仕上がっている作品だ。

正直言ってリリースを出すその時々のタイミングではライブでも新作の新曲ばかりやればいいのではないかとも思うくらいだが、ライブではやはり、ファンのリスナーがかけがえなく思っている数々の名トラックをまんべんなく披露していて、初夏からのライブの流れを見ても、今回の公演ではジャミロクワイの魅力が凝縮されたライブとなるのはまず間違いない。

それにしても、7年ぶりの新作でもその魅力は変わらずに全開でいて、それでいて常に新しい感覚が伴っているのはどういうことなのだろうか。その秘訣は意外と、ジャミロクワイのビデオを振り返ってみることで明らかになるかもしれない。

"Virtual Insanity"(1996)

1996年の大ヒット曲で、ジャミロクワイにとっては記念碑的な楽曲。というのも、ジャミロクワイはすでにイギリス、ヨーロッパ、日本では1st、2ndの時点で相当な人気を獲得するに至っていたが、アメリカではなかなかそうなれない状態でいたからだ。その画期的なブレイクスルーとなったのがこのビデオ。

アメリカではジェイ・ケイが披露する超絶ムーンウォーク(実は床が動いているだけ)が衝撃的な新しさとして受け取られ、同時にこの音楽性の特異な新しさもようやく受け入れられるようになったのだ。事実、床が動いているだけでもこのビデオの振り付けの演出は素晴らしく、歴史に残る名ビデオのひとつだといってもいい。

"Little L"(2001)

2001年の『ファンク・オデッセイ』からのファースト・シングルで、ジャミロクワイのディスコとファンクへの汲めども尽きぬオマージュをそのまま体現したような名トラック。ジャイロクワイは、このあからさまなディスコ愛をデビュー当初から手を変え品を変え提示してきているわけだから、ある意味で、その徹底した姿勢はすごいとしかいいようがない。

ビデオはディスコを舞台にした1977年の青春映画『サタデー・ナイト・フィーバー』に登場するダンスフロアを明らかに意識したものになっている。もちろん、70年代を意識した装いのジェイも登場する一方で、ブレイクダンサー然とした本来のジェイがこのフロアで活躍するのが重要なところで、70年代のグルーヴと90年代以降の感性のこのマッシュアップ感がまさにジャミロクワイの最大の魅力だと視覚的によく説明してくれる秀逸なビデオ。

"Space Cowboy"(1994)

イギリス、ヨーロッパ、日本で一躍人気となった1994年のシングル。当時はファンクはまだしも、ディスコはまだ一般的には敬遠される音楽ジャンルだったので、当時クラブ・シーンの最先端のひとつだったアシッド・ジャズをかりそめのフォーマットとして、その音楽性を展開していた時期の代表曲のひとつ。

当時から驚異的な演奏性を誇るユニットだったし、その立ち位置が如実に映像として伝わってくるビデオとなっていて、間違いなくジャミロクワイの原点を確認させてくれる。

"Supersonic"(1997)

1999年の『シンクロナイズド』からのシングルで、ある意味で90年代末のクラブ・シーンのサウンドとジャミロクワイが敬愛する70年代末のグルーヴがどこまでも融合した極致といってもいいトラック。ビデオの演出もそんなサウンドにふさわしいエッジーなものとなっていて、映像の作りそのものはどこまでもアナログなものだ。しかし今になってもなお、とても斬新にこの音と共に映える内容となっている。

なお、このビデオでジェイは黒の羽根を使ったアメリカ先住民の頭飾りを意識したものを被っているが、アメリカ先住民の頭飾りは実はジェイのジャミロクワイの衣裳としては定番のもの。これはもちろんバンド名そのものがjam sessionとアメリカ先住民の部族連合「イロコイ」の名前Iroquoisを組み合わせたことにも関係するものだ。この名前はつまり、イロコイ部族連合のように屈強なミュージシャン集団、「Jamiroquai」を意味するものなのだ。

ただ、90年代からアメリカ先住民やその支援団体などからこの羽根飾りをファッションとして使うことに大きな批判が集まるようになり、ジェイの頭飾りもその後、どんどん抽象化されていくことになった。その一方で、ジェイはさまざまな帽子をたしなむことでも知られていて、むしろ2000年代以降は帽子の方がよく知られている。

"Automaton"(2017)

最新作『オートマトン』からのタイトル・トラック。エレクトロ・ポップとダフト・パンクをどこまでも意識しながら、ぎりぎりなところで実験的な節回しを極める素晴らしいトラックに仕上がっている。ビデオでもジェイのかつての定番だったアメリカ先住民の頭飾りが「発光ダイオード・ヘッドセット」とでも形容されるものとして復活しているのもとても観ていて楽しい。

ある意味で今度のアルバムの中でも最もストイックな楽曲かもしれないが、今作にはたとえば、ジャクソンズ(マイケル・ジャクソンではなく)のサウンドをどこまでも今に蘇らせる"Cloud 9"など、究極のダンス・ポップももちろんしっかり押さえてある。(高見展)

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