ファーウェイが独自OS開発。Android、iOSの寡占状態に挑む、「それ以外」のスマホ向けOS

ファーウェイが独自OS開発。Android、iOSの寡占状態に挑む、「それ以外」のスマホ向けOS

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2019/04/15
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photo by tianya1223 via Pixabay

◆ファーウェイが独自OSのニュース

先月、ファーウェイ(HUAWEI)がAndroidに代わるスマホOSを開発中という記事が話題になった。欧米諸国と中国の緊張の中、Androidに代わるモバイルOSを開発しているという内容だ。

ニュースでは、このタイミングで開発を始めた印象だが、OS開発自体は前から度々情報が出ている。1年前の2018年の春にも話題になった。独自OS自体は2012年に開発を着手しており、去年の時点で完成しているそうだ。

ファーウェイの独自OSの名前は「Kirin OS」と言う。その名前は時折ネットに出てきている。ファーウェイはKirin(麒麟)という名前が好きなのか、ファーウェイの独自プロセッサにもKirinの名前が付いている。

◆スマートフォン向けOS市場の12年史

スマートフォン向けOSのシェアは、2019年3月の時点で、Androidが69.7%、iOSが28.4%になっている(3月モバイルOSシェア)。2つの数字を合計すると98.1%。スマートフォンの市場は、ほぼ2つのOSで占められている。

現在は寡占状態だが、初めからそうだったわけではない。スマートフォン向けOSは、iOSとAndroidだけが存在していたわけではない。スマートフォン元年を、約12年前のiPhone登場の年として、その歴史を振り返ろう。

スマートフォンの嚆矢となる初代iPhoneは、2007年1月に発表され、同年6月に販売された。Androidは、翌年の2008年の9月に商用端末を発表、同年10月に販売を開始した。

Androidが登場した次の年の2009年のOS別シェアは、Symbianが46.9%、BlackBerryが19.9%、iOSが14.4%、Androidが3.9%だった。1年後の2010年のOS別シェアは、Symbianが37.6%、Androidが22.7%、BlackBerryが16.0%、iOSが15.7%だった(2010年に世界で販売された携帯電話は16億台、スマートフォンは72%成長――Gartner調査)。

登場から数年、iOSは徐々にシェアを広げていき、Androidは市場を急速に占めていった。旧世代のOSになるSymbianやBlackBerryは、その後駆逐されていくことになる。

AndroidとiOSの2強体制が築かれる中、それら2つとは違う背景のOSも登場した。また、Androidから派生したOSもあった。そうしたOSのいくつかを本記事では振り返っていくことにする。

◆2強体制に挑むAndroid派生OS

●Fire OS

まずは、Android派生OSから話をしよう。Androidの派生品は多い。Apple製品にしか搭載されないiOSとは違い、Androidは元々製品に搭載する際に独自UIを加えるなど、改造されることが多いOSだ。大幅な改良を施して、派生OSを作ることも行われている。

Android派生OSの代表格は、Amazonによる「Fire OS」だろう。

「Fire OS」は、Androidをフォーク(分岐)して作られた。デフォルトのWebブラウザは「Silkブラウザ」。筆者もFireタブレットを持っているので同OSを使用している。

最大の特徴は、Amazonのアプリが多数入っており、Googleのアプリが1つも入っていないことだ。Googleの各種アプリが入っていないせいか、頻繁に通信しないために電池の持ちがよい。

「Fire OS」は、Android派生OSであるために、Android向けのアプリもインストールできる。Android端末と同じようにAPKをインストールすればよい。Googleの機能に依存していないアプリならば、そのまま実行することが可能だ。

●LineageOS、CyanogenMod

Android派生OSの代表格は「Fire OS」ではなく、「LineageOS」や「CyanogenMod」(サイアノジェンモッド)だという人もいるだろう。これらはAndroidをベースにしたフリーでオープンソースなOSだ。

「LineageOS」は「CyanogenMod」の後継である。「CyanogenMod」は、スマートフォンやタブレット端末を自由に使えるOSとして人気があった。自由にカスタマイズができるので、独自の見た目にするなど一定の需要があった。

「CyanogenMod」は、Googleとの争いで注目を浴びた。「CyanogenMod」の古いバージョンには、GmailやYouTubeなど、Google製アプリやハードウェアドライバが組み込まれていた。それらがライセンス違反だと警告された。最終的に「CyanogenMod」は、Googleの製品を抜くことになった。

◆独自OSには厳しい状況か……

●Firefox OS

スマートフォン向け独自OSで押さえておきたいのは「Firefox OS」だろう。「Firefox OS」は2011年にその存在が明らかになり、2012年に「Boot 2 Gecko」から「Firefox OS」に改名された。

日本で最初に大きく話題になったのは2013年2月だ。バルセロナのモバイル展示会「Mobile World Congress 2013」で、搭載スマートフォンの販売パートナーとしてKDDIの名前が挙がった。その後、同OS搭載の「Fx0」端末は、auから2014年12月に先行発売、2015年1月に一般発売された。

しかし「Firefox OS」は、2016年2月にスマートフォン向けのサポートを終了すると発表した。また、同年9月には、「Firefox OS」を採用した全ての商用デバイスの開発から撤退したことを明らかにした。

「Firefox OS」は、Android、iOS以外の選択肢となることが期待されたが失敗した。2011年の頃には、既にスマートフォン向けの市場が固定化し始めていたために、難しい戦いだったようだ。

●Windows Phone

Windows Phone」の存在も忘れてはならないだろう。マイクロソフトが開発・提供していたスマートフォン向けOSだ。2010年2月に発表。2011年8月に世界初の搭載端末が発売された。2015年には後継OS「Windows 10 Mobile」がリリースされたが、2019年12月にはサポートが終了する。

「Windows Phone」登場時は、Modern UI(旧名称:Metro)というフラットデザインが斬新で非常に話題になった。このインパクトは大きなもので、Android用のホームアプリで、Metroデザインのものが出てくるなど、ユーザーの興味を大いに引いた。

Modern UIは、その後のフラットデザイン流行の先駆けになった。「Windows Phone」は、OS自体よりもデザイン面での影響が強かった。

●Tizen

Tizen」は2011年9月に発表された。複数のスマートフォン向けOSの組織が合流して始まり、関係する会社には、モトローラ、NEC、NTTドコモ、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、ボーダフォン、サムスン、インテルなど、名だたる会社が名を連ねていた。

2014年6月、サムスンが商用初の端末「Samsung Z」を発表。その後、サムスン製品が何種類か出たが、その他の企業には広がらなかった。2018年にはスマートフォン用Tizenから撤退するという話も出ている

◆世界の多様性を確保するためにも、頑張れ独自OS

現在は寡占状態になっているAndroidとiOSだが、登場時にはそうではなく、過去には異なるOSも登場しては消えていった。

スマートフォンは、OSだけでなくアプリケーションも豊富に揃っていないと、ユーザーに利用してもらえない。AndroidとiOSは、それぞれGoogleとAppleが支配するマーケット上でしか、容易にアプリケーションを流通できない。そして二社の一存で流通の可否が決定される。

OSの選択肢が少なければ、公開が停止された時のリスクは大きくなる。そして、配布元の意向を伺うアプリケーションやコンテンツしか作れなくなる。それはGoogleやAppleと同じ価値観の企業や個人しか生き残れない世界だ。世界の多様性を確保するために、選択肢はもっとあった方がよい。

今後、新しいスマートフォン向けOSが登場するならば、その結果、市場としての選択肢が増えればよいと感じている。

<文/柳井政和>

やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。

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