次々上陸するアジア発「庶民派チェーン店」。「おひとり様」も「タピオカおじさん」も歓迎!

次々上陸するアジア発「庶民派チェーン店」。「おひとり様」も「タピオカおじさん」も歓迎!

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2019/06/25

◆新宿サザンテラスの行列の先にあるのは……?

ここ数日、新宿・サザンテラスに行列ができている。

行列の先にあるのは香港で5店を展開する有名チェーン「添好運(ティムホーワン)」。ミシュラン星付きの店とあって、その味は折り紙つきだ。

この添好運のもう1つの特徴がその安さ。「ミシュラン星付き」の店としては世界一安く、ワンコインで食べられるメニューも多い「1人でも入れる庶民派チェーン」なのだ。

かつてこうした「おひとり様歓迎の外国発庶民派チェーン」といえば殆どが米国発のファストフードチェーンであったが、近年は「ファスト中華」ともいうべき中華圏の有名チェーン店が日本に進出する例も増えている。

今回は、こうしたチェーン店のうち香港、中国、台湾からやってきた3店舗を紹介しよう。

◆世界一安いミシュラン星付き店「添好運(ティムホーワン)」

まず訪れたのは先述した香港の有名店「添好運(ティムホーワン)」だ。

新宿の店は混んでいるだろう……と思い訪れたのは日比谷シャンテ。日比谷シャンテは映画館などが入居する複合ビルで、添好運が出店しているのはこの日比谷シャンテの別館。日本国内の店舗は「ハードロックカフェ」などをFC展開する株式会社WDIにより運営されている。

店舗は外向きであり、向かいには昨年完成したばかりの「東京ミッドタウン日比谷」が見える。

No image

添好運(ティムホーワン)日本1号店の日比谷店

筆者が店舗を訪れたのはピークオフの時間帯であったが少し並ぶことになった。並んでいるあいだに注文用紙が配られるため、入店するとすぐに注文することができる。この「紙に書いて注文する」という注文方式自体が中華圏で比較的多くみられる形態であるため「本格派」を期待させられる。

No image

建物の側面には「世界一安いミシュランレストラン」の文字が

20分ほどかかって店内に入る。店内は香港の標準的な同店と比較すると広くて明るい雰囲気だ。なんと席数は84席もあるという。筆者の訪問時は女性客のほうが多かったが、おひとり様のサラリーマンや旅行客も少なくなかった。

メニューの多くは500円前後で、看板メニューの「酥皮焗叉燒包」(ベイクドチャーシューバオ=叉焼の揚げパン包み)は1皿(3個)580円(税別)。香港では20香港ドル(日本円で約280円)なので、日本では香港の約2倍の価格になる。とはいえ、最も高いメニューでも680円なので、ランチなら2品、1,000円ちょっともあればお腹いっぱいになる。香港よりも少しお値段は張るものの、これほど安くミシュラン星付きの料理が味わえるのは都内でここだけだ。なお「お茶代」としてサービス料が10%かかるが、各テーブルには美味しいお茶が備えられているのでしっかり味わって飲もう。

No image

メニューの一部

さて、定番メニューともいえる「酥皮焗叉燒包」以外で筆者がオススメしたいのは「美味鮑汁鳳爪」(鳥足の香港式煮込アワビソース)。鶏の足――いわゆる「もみじ」の香港風煮込みである。もみじは郷土料理として食べられている地域もあるが、都内で気軽に食べられる店は少なく、いかにも「海外の店に来た」という気分にさせられる。骨が多くて食べづらいと思いきや軟骨まで軟らかく煮込まれてあり、肉がホロホロと剥がれ落ちる。また、一緒に煮込まれている茹落花生もいいアクセントになる。味付けがしっかりしており、またコラーゲンもタップリなのでちょい飲みのお供にも、そして女性客にもオススメだ。(ちなみにアルコールは青島ビールの小瓶が780円(税別)など)

No image

美味鮑汁鳳爪。見た目は少しグロテスクだが思い切ってしゃぶろう

添好運(ティムホーワン)の日本国内店舗はこの日比谷と先月開店したばかりの新宿サザンテラスの2店舗。連日行列ができており、日本企業がFC展開しているとあって近い将来には全国展開も期待される。酥皮焗叉燒包など一部メニューは「外帯」(持ち帰り)も可能だ。

◆赤坂のファスト台湾メシ、「三商巧福」

さて、次に向かったのは港区赤坂。ここにはさらに庶民的な台湾発の人気チェーン「三商巧福」がある。

近年人気を集める台湾発の飲食チェーンというと「鼎泰豐」や「京鼎樓」(余談だが京鼎樓は今や日本の店舗のほうが多い)などの小龍包専門店、もしくは「春水堂」や「貢茶(ゴンチャ)」、「鹿角巷(THE ALLEY)」、「快可立(クィクリー、関東からは撤退済み)」、「アイスモンスター」などの女性に人気のスイーツや軽食を中心とした店が数多く思い浮かぶ。

No image

「貢茶」などは日本でもお馴染みとなった

しかし、この「三商巧福」は一味違う、本格的な「台湾料理専門のファーストフード店」。「牛肉麺」と「排骨飯」を看板メニューにしており、台湾全国に約160店舗を構える一大チェーンで、日本で例えるならば「吉野家」や「てんや」のような「気軽に食べれるどんぶり店」のような存在といえる。

No image

赤坂通りを進むと見えてくるオレンジの看板が目印(写真左下)

この三商巧福赤坂店は台湾本部の直営店(子会社運営)として2014年11月に開店したもの。ちなみに三商は台湾大手の貿易・流通グループで、台湾国内で大手食品スーパー「美廉社」の展開や、住友商事と合弁で台湾におけるドラッグストア「トモズ」の展開も行っている。かつて東武特急「スペーシア」にて期間限定で販売されていた台湾風の弁当「排骨便當」を作っていたのもこの三商巧福だった。

No image

三商巧福赤坂店。店頭にメニューが掲げられる。セットで700円前後が中心

三商巧福赤坂店の店内は一般的なファーストフード店に近い雰囲気で、1階のカウンターでの前注文制。席数は3フロア併せて約50席ほどであろうか。1階はカウンター席で、地階、2階はテーブル席となる。

看板メニュー「牛肉麺」は680円(税別)。台湾では105台湾ドル(約390円)なので、日本の価格は台湾の2倍ほどだ。

牛肉麺などにトッピングする「酸菜」(酸味のある高菜漬け)はセルフサービスとなっているが、乗せ放題なので好きな人は沢山とることができる。

No image

定番メニューの排骨飯。セットにすると台湾風の選べる小皿メニューが付いてくる

◆「タピオカ」から「ちょい飲み」まで

この三商巧福赤坂店は台湾では見られない特徴もある。それは「ちょい飲み」の提供だ。

同店は「台湾夜市のちょい飲み気分で」をキャッチフレーズとして大根餅などの台湾おつまみにビールが付く1000円(税込み)のセットを販売。これは「赤坂」という立地ならではともいえよう。

No image

三商巧福赤坂店店内のようす(2階)

さて、筆者がこの三商巧福において定番メニュー以外でイチオシしたいのが「タピオカミルクティー」。とくに「タピオカを飲みたいけれど女子高生ばかりの店の列に並ぶのはちょっと……」という男性にぜひオススメしたい。この三商巧福であれば、ひとりぼっちのオジサンでも誰にも気兼ねせず、長蛇の列にも並ぶことなく気軽に買うことができる。しかも、値段も410円と比較的安く、茶葉を3種類ブレンドしたというその味は本格派。台北で飲んだことあるような、食事にも合う甘さ控えめなタピオカミルクティーの味そのものだ。

三商巧福の日本国内店舗はこの赤坂店のみ。かつて高井戸にもあった店舗も閉店済みであり、進出から5年で1店舗とは淋しい限りだ。昨今の「台湾スイーツブーム」に乗って店舗網拡大が実現するかどうか気になるところである。

なお、台湾において「三商巧福のライバル」として知られるファスト台湾メシチェーン「鬍鬚張魯肉飯」(ヒゲ張)も石川県金沢市周辺でFC店2店舗を展開している。「東京よりも北陸のほうが近いよ!」という人はこちらにぜひ。

◆高田馬場に「世界一のチェーン店」が登場!-「沙県小吃」

最後に向かったのは高田馬場。

学生と外国人が多いこの街には「世界最大のファストフードチェーン」日本1号店がある。それが、中国・福建省発のファスト中華「沙県小吃」だ。

No image

沙県小吃高田馬場店

沙県とは福建省の県名で、小吃(軽食)が名物として知られる。「沙県小吃」はもともと沙県の人々がこの地域で名物であった軽食店をチェーン展開していったものだが、経営問題などもあり、1997年には沙県の政府が経営に参加。「沙県小吃同業公会」を設立し、それぞれの店舗の規格を定めて全国展開を開始。そして店舗網は爆発的に広がり、2015年には2万店、そして2019年には6万店を超えているという。

これだけ店舗数が多く、また前述の同業公会に登録すれば展開できるという個人経営のFC店であるために中国本土でもいくつかのロゴが混在しており「本物の沙県小吃かどうか分からない」という状況になっているのも中国らしい。

この「高田馬場店」のロゴも本家とは少し違う気がするのだが…細かいことは気にしないでおこう。(*ちなみに中国では滅多に見かけない「新CI」の看板なだけで、同店は正真正銘の沙県小吃FCである)

沙県小吃高田馬場店がオープンしたのは2018年6月。それからしばらくはメニュー数が少ないプレオープンのような状態だったが、今年1月よりメニューも大幅に増え、晴れて「グランドオープン」を迎えた。

ちなみにこの沙県小吃高田馬場店、公式サイトがあるのだが何と中国語のみ。その潔さにも万歳だ。

No image

店頭に掲げられたメニューの横にはメディア情報が。最近はテレビに出る機会もあるという

沙県小吃高田馬場店は食券式。店内は1階がカウンター、2階がテーブル席。内装は元々居抜いた店舗のままと思われるが非常に綺麗で清潔だ。カウンター内では料理を仕込む様子も見て取れた。

No image

まずは券売機で注文

◆しつこすぎず辛すぎない日本人好みの味付け

看板メニュー「蒸し餃子」は480円(税込)。先述したとおり、沙県小吃はFC展開であるため店舗によって価格が異なるが、この蒸し餃子は中国では6~8人民元くらい(8人民元は約125円)。そのため、日本での価格は中国の約4倍だ。

この「蒸し餃子」に「拌麺(バンメン…混ぜ麺)」、「ワンタン」、「蒸しスープ」が沙県小吃の定番メニューで「四大金剛」と呼ばれている。ワンタンやバンメンにはピーナッツの香ばしい香りが漂う。このほか「滷肉飯(魯肉飯、ルーローハン)」や「米線」(ビーフン)、そして単品の「香腸(中華ソーセージ)」や「揚げワンタン」など、ちょい飲み需要を満たす中華おつまみも販売されている。(生ビールは380円(税込))

No image

筆者が注文したのは「四大金剛」から2種類選べるセット(860円(税込))。蒸しスープは更に4種類から選ぶことができる。どれも本格派の味だ

No image

もう1つの看板メニュー、プリプリ食感の「ワンタン」。ほのかに落花生の風味。スープは薄味なので店内にある「沙県辣醤」などで好みの味に仕上げよう

これらのメニューを聞くと「台湾料理に近い」と感じる人もいるであろうが、沙県小吃が提供する中華料理は中国八大料理のうち「福建料理」にあたり、また台湾には福建省にルーツを持つ住民も少なくない。そのため日本人にとっては「台湾料理に近い味付け」といったほうが分かりやすい。しつこすぎず辛すぎず、あっさりした味付けは日本人好みだ。

なお、同店はドリンクメニューとして中国で有名な涼茶(甘くて冷たい薬膳茶)「王老吉(ワンラォジー)」を提供していることも特徴だ。日本では中華食材店などでしか売られていないこの商品、200円(税込)で気軽に挑戦してみてはどうだろうか。

沙県小吃の日本国内店舗は高田馬場と横浜の2店舗。事業者が増えれば中国のように店舗網が急拡大する可能性もあるため、近い将来には「スーパーマーケットのフードコートの定番」となる可能性もあろう。

余談ではあるが、沙県小吃高田馬場店の向かいには「中国発の日本企業」「ダイソー+ユニクロ+無印良品のパク…インスパイヤ店舗」として知られる「名創優品(メイソウ)」が、また近隣には中国で人気の激辛春雨チェーン「張亮麻辣湯」も進出している。いずれの店も都内に住む中国人客の姿が多く見られ、これらをハシゴすれば気軽に「中国気分」を味わうことができる。

No image

高田馬場駅から歩いて10分弱。向かいにはあの「メイソウ」が

◆今後は全国各地への展開も

続々と日本に上陸するファスト中華チェーン。

もちろん、今回紹介した「おひとり様にオススメのファスト中華」以外にも、中国の火鍋チェーンの「海底撈」や「小肥羊」、中国・蘭州牛肉麺(蘭州ラーメン)チェーンの「馬子禄」や「西北拉麺」、香港式喫茶チェーンの「華記茶餐廳」など、幅広い業態・価格帯の店舗が日本に上陸し、その一部は地方にも店舗網を広げつつある。

数年後にはこれらの店舗が全国各地へと広がっていき、そしてまた新たな庶民派チェーンが日本上陸を果たしているかも知れない。

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>

都市商業研究所

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

お店カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
衝撃:モスバーガーが始める高級店「モスプレミアム」の値段が高すぎる件 / ハンバーガーは最安で1個1000円から
青山は気取らない中華ディナーで盛り上がろう!仲間と行きたい旨い店4選
今食べたいのはレトロな固めプリン♡東京都内でおすすめのカフェ5つ〜私のお散歩旅〜
「ピカチュウ大量発生チュウ!2019」にドリンク&アイスショップ が登場!
おつまみ99円から オリジン系列「れんげ食堂」で一人飲みが安くて穴場
  • このエントリーをはてなブックマークに追加