世界では高い評価を得ている日本車だが、モータースポーツでは海外勢に押され気味だ。そんな中、世界へ戦いを挑み続けるクルマメーカーがある。それが「トヨタ」だ。
このトヨタ率いる「TOYOTA GAZOO Racing」が挑戦しているのが世界最高峰の耐久レース「ル・マン24時間レース」。
今回は2016年のル・マンを振り返り、そこからトヨタがモータースポーツへ挑戦する理由を紐解く。
24時間走り続ける過酷なレース
ル・マン24時間レースとはフランスで行われる世界耐久選手権の一つ。1周約13キロのサーキットを24時間走り続け順位を競う世界最古の耐久レースだ。
このレースにトヨタは30年以上も前から挑戦を続けている。30年という長い歴史の中で多くのレースカーを生み出し、世界のライバルたちと技術を競い合ってきた。
これまで4度の準優勝を経験しているが、未だ優勝はない。2015年も万全の体制で臨んだはずだったが、6位と8位という結果に終わった。
そして2016年、初制覇へ……
2015年の不本意な結果を受け、レースが終わったその日からドライバーはもちろんのこと、ピットクルー、メカニックなどスタッフ一丸となってル・マンへの準備が進められた。
そして1年間の努力が実り、2016年のレースはトヨタの思惑通りに進む。
23時間57分が過ぎた時点で1位。残り3分、このまま走りきれば念願の初優勝。
「今年はトヨタだ」
「ついにトヨタが来た」
誰もがトヨタの初制覇を確信したそのとき……。
悲劇が起こった
誰も想像し得なかった結末。
ほぼ完璧なレースをしていたはずが……。
指の合間から抜けていった悲願の初タイトル。
トヨタの2016年、ル・マンが終わった瞬間だった。
しかし、ハイブリッドプロジェクトリーダーの村田氏は自信を持って語った。
「レースの直後、ポルシェの代表がハグを求めてきたり、万雷の拍手で迎えてくれたり、本当の戦いができたからこそ、彼らは僕らを認めてくれたのだと思っています」
その目は力強く、すでに来年のル・マンへと向けられていた。
モータースポーツに挑戦する理由
ル・マン24時間レースは「次世代自動車を生み出す場」として位置付けられ、毎年多くのクルマメーカーが新たな技術を持ち込みタイトルを競っている。ここでの勝利はレースでの勝利だけでなく、そのメーカーの技術に対する最大の名誉ともなる。
このようにモータースポーツはただ順位を競うだけでなく、そのクルマメーカーの技術革新の場でもあり、燃費効率・スピード・耐久性、そして信頼性といった車すべての性能が試される場でもある。
つまりトヨタがモータースポーツに挑戦する理由、それはレースに勝つことはもちろんだが、よりよいクルマ作りへの飽くなき探究心のためとも言える。
ここでの経験と技術が私たちの乗るクルマへと活かされていると思うと、今後もトヨタ「TOYOTA GAZOO Racing」から目が離せない。
TOYOTA GAZOO Racingのサイトには、ル・マンだけでなく全日本ラリーなどトヨタが挑戦しているモータースポーツの解説やドライバー中島一貴、小林可夢偉のコメントなど、様々なコンテンツが揃っているのでぜひチェックしてみてほしい。