武藤嘉紀、宮市亮、中島翔哉... “苦しむ”海外組の現状、そして来季はどうなる

武藤嘉紀、宮市亮、中島翔哉... “苦しむ”海外組の現状、そして来季はどうなる

  • AERA dot.
  • 更新日:2021/05/04
No image

中島翔哉はかつての輝きを取り戻せるか (c)朝日新聞社

最近の欧州サッカー界はスーパーリーグ一色であったが、各国リーグ戦はいよいよ大詰め。異例の日程で行われている2020-21シーズンは波乱が相次ぎ、優勝争い、チャンピオンズリーグ出場権争い、そして残留争いはし烈を極めている。長いシーズンの中で、今が最も面白いことは間違いない。

そんな欧州リーグ戦の中で、鎌田大地や長谷部誠(ともにフランクフルト)、遠藤航(シュトゥットガルト)のドイツ勢、伊東純也(ヘンク)や鈴木優磨(シント=トロイデン)など、日本人選手の躍動も目立っている。その一方で、様々な事情から苦しい状況に追い込まれ、なかなかスポットの当たらない選手も多い。今回は、苦しいシーズンを送りなかなか話題に上らない日本人選手の現状を紹介する。

*  *  *

■武藤嘉紀(エイバル)

自身の夢であったプレミアリーグ挑戦は道半ばで終わり、再起をかけて今季ラ・リーガのエイバルへのレンタル移籍を決断した武藤。本人も「異なるリーグへの挑戦はどうしても難しい」と語ったように序盤戦は苦労していたが、昨年末からようやく得点に絡むようになり、今年1月の公式戦7試合では2ゴール2アシストをマーク。初挑戦のスペインの地で、ようやく本領を発揮し始めていた。

しかし勢いは続かず、チームの絶不調の影響も受けて出番が減少。3月からは足首のケガで戦列を離れ、シーズン終盤の必要な時期に6試合も欠場してしまった。先日のラ・リーガ第32節で復帰し、持ち前のハードワークで存在感を放ったものの、やはり失った時間が長すぎる。

エイバルはリーグ戦16試合勝利から見放される状況に陥り、5月1日にようやく17試合ぶりの勝利を挙げたが、残留は絶望的で「奇跡」が必要な状況だ。スペイン2部のEU圏外枠は1部の「3」とは異なり「2」に減少する。そのため、これまでの成績であればエイバルへの完全移籍はないだろう(これに関してはチームメイトの乾貴士の去就にも大きく影響する)。一方イギリスの報道では、所属元ニューカッスルも現行契約が今夏で1年になる武藤を引き留める気はないとされている。残された試合数は「4」。武藤にとっては、来季の所属先を決める意味で絶対的に結果が必要な“トライアル”となりそうだ。

■宮市亮(ザンクト・パウリ)

昨シーズンはブンデスリーガ2部の舞台で第28節まですべての試合に出場。本職のウイングからサイドバック、ウイングバックとプレーの幅を広げ、かつて名将アーセン・ヴェンゲルが見込んだ才能がついに開花。キャリアを通じて苦しめられてきたケガに打ち勝ち、「やっと一人前の選手になれた気分です。毎日トレーニングに行けるのが幸せなんです」と感慨深く語っていた……。

だが、ケガとの戦いはまだ終わりではなかった。昨季終盤に負った膝と内転筋のケガは、過去の両膝十字じん帯断裂との関連が確認され、離脱期間は長引いた。結局今季は1試合も出場しないまま、残り3試合となった。4月半ばの会見でティモ・シュルツ監督がようやく出場できるコンディションになったことを明かしたが、不運にも再び1シーズンを棒に振ることになってしまった。

そんな宮市のザンクト・パウリとの現行契約は今シーズン限り。幸いにもシュルツ監督は「私はリョウの大ファン」と公言しており、契約延長には前向きであるとの見方が強い。来季以降もドイツの地で自身を試す機会は与えられそうだ。日本屈指のスピードスターは、もう28歳となった。負傷の連鎖を断ち切り、来季こそ笑顔でピッチを駆け抜ける姿を見られるだろうか。

■中島翔哉(アル・アイン)

ポルティモネンセで目覚ましい活躍を見せ、一度カタールをはさんでからポルトガルの強豪ポルトに加入した中島。しかし献身性の欠如からセルジオ・コンセイソン監督の怒りを買うと、新型コロナウイルスのパンデミックによる不安から3カ月以上チームへの合流を拒否した。これで指揮官の信頼は完全に潰えてしまう(この問題に関してどちらが「悪者」ということはない)。指揮官は日本人MFの退団後、「決して面倒な選手ではない。少し複雑だったというべきか。ここに馴染めなかった。とても基本的な面でそうだった」と振り返っている。

ポルトで居場所のなくなった中島は、1月の移籍市場でUAEのアル・アインへとレンタル移籍を決断。デビュー戦でアシストをマークし、翌週の試合では先発の座も勝ち取った。2度目の中東挑戦は順調なスタートを切っていたが、その直後の練習で脛骨骨折と靭帯損傷の重傷を負い、シーズン中の復帰は絶望とされている。

中島の現在の契約は今季終了までの期限付きであり、夏には一度ポルトへ復帰することになる。しかし、コンセイソン監督はチャンピオンズリーグでもベスト8に進出するほどのチームを作り上げており、現チームには居場所はないだろう。ポルトガル『A Bola』の報道では、ポルト側は形式にこだわらず放出を希望。アル・アイン側も「引き留めるに値する外国人選手」と評価していることから、来季もUAEでプレーする可能性は高い。自身が最も大切にする「プレーを楽しむこと」を再び見つけ、ポルティモネンセ時代のような輝きを取り戻したい。

■遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)

昨夏横浜F・マリノスからウニオン・ベルリンへ期限付きで加入した遠藤。プレシーズンで負った負傷によって出遅れたが、加入後初先発の試合で早速ブンデスリーガ初ゴールを決めるなど大きな期待を感じさせた。しかしその試合でハムストリングを痛め、復帰後もチームの好調に伴いベンチに座る試合が主であり、初の海外挑戦は難しい時期が続いていた。

それでも、自身2度目の先発出場を飾った第25節(ケルン戦:2-1)から徐々に出場機会を増やし、地元紙『ベルリーナ・ツァイトゥング』が「勝負の数週間」と指摘した3月中旬からはバイエルン・ミュンヘンやドルトムントといった国内強豪との試合でもスタメン入り。チームの期待に応えようと奮闘している。

先日、本人は『キッカー』紙面で「チームの成功には貢献できていない」と悔しさを噛みしめつつ、「戦術的な規律も学びました。改善し続ける必要がありますね」と成長を実感していることを告白。そして自身の去就について「ポジティブな状況ということだけ言っておきます。(クラブの決断は)もう聞いていますよ」と、クラブが買い取りオプションを行使することをほのめかしている(※記事執筆時点。4/30日に完全移籍が発表)。現在チームはヨーロッパリーグや来季始まるヨーロッパカンファレンスリーグ出場権を十分に狙える位置につけており、欧州カップ戦デビューを果たす可能性も十分にありそうだ。そのためにも、まずは今シーズン残り3試合でトップレベルでも通用することを証明し、今夏の東京オリンピックで世界にその存在を知らしめたい。

(文・三上凌平)

三上凌平

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加