「久保建英ショー」のデビュー戦。連係際立ったバルサ出身トリオ

「久保建英ショー」のデビュー戦。連係際立ったバルサ出身トリオ

  • Sportiva
  • 更新日:2021/01/12

ビジャレアルからヘタフェに移籍した久保建英(19歳)が1月11日、エルチェ戦の63分にいきなりデビューを飾った。久保にとっては久々の試合であり、一度もチーム練習はしていない。試合が大雪で1日延期されたことによって、思いがけず出番が回ってきた形だ。

しかし、実力を見せるのに5分で十分だった。

◆久保建英はヘタフェでフィットするか。柴崎を見切った指揮官の戦術は

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エルチェ戦の63分、ヘタフェでのデビューを飾った久保建英

1-1で戦況が動きつつあった68分。久保は右サイドでカルレス・アレニャからのボールを受ける。対峙したディフェンスを幻惑するステップを踏みながら、シュートコースを作った。ドリブルと同じステップのため、シュートのタイミングが読みにくい。そして左足の振りは速く、インパクトは強かった。GKは前に弾くのが精いっぱいで、それを味方FWハイメ・マタが押し込む。これが逆転弾となった。

「久保がヘタフェに革命を引き起こす!」

スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、派手な見出しでプレーを称賛している。久保は"革命家"になれるのか?

ヘタフェでのデビュー戦、久保は決勝点をお膳立てしただけではない。

4-2-3-1の右サイドに入った久保は、ボールを持つたび、相手に脅威を与えていた。久保の出場でトップ下からボランチに下がったアレニャ、左サイドのマルク・ククレジャとのコンビネーションのよさがとくに際立った。2人が久保と同じくバルセロナの下部組織で育っていることで、感覚的なものが初めてでも合うのか。長年プレーした者同士のように、クロスやスルーパスを巧みに引き出し、ゴールに迫った。

80分、FWアンヘル・ロドリゲスの投入で4-4-2に変わった後も、久保は右サイドでプレー。カウンターでは、完全に抜け出したところを後方からスライディングを食らい、イエローカードを引き出した。相手の周章狼狽が伝わった。

そして85分には、久保は3点目となるPKを誘発している。右サイドでディフェンスと対峙すると、わずかなタイミングを作って左足で完璧なクロス。この対応に苦慮した相手選手が、エリア内でファウルを犯したのだ。

アディショナルタイムには、敵陣で自ら相手ボールを強奪し、ショートカウンターを発動。ドリブルで持ち上がり、エリア内に入ったところ、手を使って背後から倒された。ノーファウルの判定だった。PKに相当するコンタクトだった。

最後の30分は、まさに「久保ショー」だった。注目される状況で、ハンデをものともせず、ふてぶてしいほどのプレーを見せている。これが「星のもとに生まれている」ということなのか。

「久保は一度も練習していない。難しい状況だった」

ヘタフェを率いるホセ・ボルダラス監督は言う。

「試合前にホテルで、ピッチに立った時にチームに何をもたらせるか、という説明をした。結果として、彼はすばらしいディテールを見せてくれたよ。これからもチームを助けてくれるはずだ」

久保は右サイド、もしくはトップ下として、ポジションをつかむだろう。アレニャ、ククレジャという理解者がいるのは心強い。実力だけでなく、強運のようなものも持つ。

しかし、久保がヘタフェの戦いにフィットできるか――。それはこれからの話だ。

◆久保建英はヘタフェでフィットするか。柴崎を見切った指揮官の戦術は>>

ヘタフェは90分を通じ、ボールにしつこく激しくアプローチし、蹴り合いの中でゴール前に殺到するプレー様式を採用している。事実、その闘争が勝利に結びついていた。後半、久保が登場してきたとき、相手のエルチェの消耗は明らかだった。退場者を出したこともあって、完全に勢いを失っていた。戦局を一気に優位に運べるだけの条件は整っていたのだ。

地元メディアがこぞって、この試合で最も高い評価を与えたのは、GKのルベン・ジャネスだった。前半終了間際、押し込むだけの決定的シュートをビッグセーブ。「チームとして耐え抜きながら、試合の潮目を変えることで、逆転勝利につながった」という論調だ。

助っ人である久保は、先発で真価が問われる。まずは、ヘタフェを降格圏から完全に脱出させることが肝心だ(エルチェ戦の勝利で13位に浮上したが、もし負けていたら、18位に沈んだエルチェに逆転されていた)。

とはいえ、今は"革命的"だったデビュー戦を祝福するべきだろう。移籍後に急遽メンバーに入って、一度も練習せず、すぐに勝負を決めるプレーを連発する。それだけのことをやってのける選手が、はたして世界に何人いるだろうか。

「電気が走るような久保の2つのプレーが、ヘタフェに勝利をもたらした!」

スペイン大手スポーツ紙『アス』はウェブサイトで賛辞を与え、動画を紹介している。新たな物語の始まりだ。

小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

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