約30年前に凍結された胚から双子が誕生 世界最長の保存期間を更新(米)

約30年前に凍結された胚から双子が誕生 世界最長の保存期間を更新(米)

  • Techinsight
  • 更新日:2022/11/26
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およそ30年前に凍結した胚から誕生した双子(画像は『Good Morning America 2022年11月22日付「Couple welcome twins from embryos frozen 30 years ago」(National Embryo Donation Center)』のスクリーンショット)

10月31日、アメリカで約30年前に凍結された胚から双子の赤ちゃんが誕生した。このほど胚の養子縁組(Embryo Adoption)により双子を授かった夫妻が使ったのは1992年に凍結された胚で、2020年に27年間凍結された胚から誕生した女児の記録を更新したという。『CNN』『Good Morning America』などが伝えている。

米オレゴン州ポートランドで暮らすレイチェル・リッジウェイさん(Rachel Ridgeway、34)は10月31日、双子のリディアちゃん(Lydia)とティモシー君(Timothy)を出産した。

双子は約30年前に凍結された胚から誕生しており、テネシー州ノックスビルの非営利団体「全米胚提供センター(National Embryo Donation Center、以下NEDC)」によると、これまでで最も長く凍結された胚から誕生した可能性が高いとのことだ。

ちなみにこれまでの世界最長記録は、2020年10月26日に27年間凍結された胚から誕生したモーリー・エヴァレットちゃん(Molly Everette)だった

レイチェルさんと夫のフィリップさん(Philip、35)の間には8歳、6歳、3歳、そしてもうすぐ2歳になる4人の子供がいるが、家族がさらに増えることを願っていた夫妻は2020年に胚の養子縁組(Embryo Adoption)を検討し始めたという。

フィリップさんはその経緯についてこのように明かしている。

「私たち夫婦には子供が何人欲しいというような決まりはありませんでした。通常の養子縁組は考えたことはありませんが、胚の養子縁組について聞いた時にはぜひやってみたいと思ったのです。なぜなら凍結胚はすべて人間であり、神の意思を受け継いだ存在だからです。彼らは父親と母親を必要としています。そして私たちはそのニーズに応えることができると思ったのです。」

また一方のレイチェルさんは、こう語っている。

「その時すでに3人の子供を出産していましたが、妊娠中は何の問題もなかったので、胚の養子縁組を行うことは素晴らしいことだと思いました。しかしそのプロセスを開始した後に妊娠していることが判明し、2020年12月に娘のミリアム(Miriam、1)を出産しました。その後、胚の養子縁組を行うにあたって私たちは他の夫婦が選ばないような胚を見つけたいと思い、家族を必要としているにもかかわらず長い間移植を見送られている胚を探していました。提供者の身長や体重などの基本情報は知っていましたが、それを基準に選んでいたわけではありません。私たちはただ一番長く待っていた胚を受け入れたかっただけで、記録を更新しようと思っていたわけではないのです。」

NEDCの提携クリニック「Southeastern Fertility」の医長であり、レイチェルさん夫妻の主治医であるジョン・デビッド・ゴードン医師(Dr. John David Gordon)によると、現在アメリカ国内で解凍され移植されるのを待っている凍結胚は140万個以上あるそうだ。

体外受精で赤ちゃんを授かった患者の多くが、使わない胚を捨てることに抵抗を感じているという。そのためアメリカではそれらを研究のために寄付したり、子供を望む夫婦に提供することが許可されている。

レイチェルさん夫妻が選んだ胚は1992年4月22日に凍結された匿名の夫婦のもので、2007年まで西海岸の不妊治療研究所に保管されたのちNEDCに寄贈されたものだった。

5つの胚は今年2月28日に解凍され、そのうち3つが生存可能な状態だったという。そして残り3つの胚がレイチェルさんの子宮に移植されたのは、凍結から29年10か月後の今年3月2日のことだった。

幸運なことにそのうち2つの胚が成長し、このほどリディアちゃんとティモシー君を迎えることができた夫妻はその喜びを次のように語っている。

「双子を妊娠していることが分かった時、子供たちは私たちと一緒に興奮してとても幸せそうでした。彼らはきょうだいが大好きでいつも一緒に遊んでいます。神様が男の子と女の子のどちらを与えてくださったのか、それを知るのを楽しみにしていました。私たちは、リディアとティモシーが選ばれて生まれてきたということ、そして2人が常に愛されていることを知っていてほしいです。」

またゴードン医師はレイチェルさんの出産について、今後胚移植を行う人々に希望を与えるとしてこのように述べている。

「私は不妊治療の分野で25年以上働いていますが、これらの胚は私がスタンフォード大学で産婦人科の研修医として働いている頃に凍結されたものです。今回のケースは想像を超えるものであり、5年前、10年前、20年前に作られた胚を採用する人はいるのだろうかと考える患者さんに安心を与えることでしょう。その答えが『イエス』であることが明らかになったのですから。」

画像は『Good Morning America 2022年11月22日付「Couple welcome twins from embryos frozen 30 years ago」(National Embryo Donation Center)』『New York Post 2022年11月21日付「Twin babies were already 30 years old at birth」(Courtesy of the Ridgeways)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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