精華大生殺害未解決15年、教員は忘れない 教え子のひたむきな姿、脳裏に

精華大生殺害未解決15年、教員は忘れない 教え子のひたむきな姿、脳裏に

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/01/15
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千葉さんが合格前から足を運んでいた少年漫画が並ぶ研究室で、当時の様子を振り返る小川教授(京都市左京区・京都精華大)

京都市左京区岩倉で2007年、京都精華大マンガ学部1年の千葉大作さん=当時(20)=が殺害された事件の解決を願い、大学の教員や岩倉地域の住民が毎年、命日の1月15日に、情報提供の呼び掛けや千葉さんを追悼する活動を続けている。今も脳裏に浮かぶ、ひたむきな教え子の姿。前途ある若者の夢を奪った非情さ。発生から15年、それぞれの思いを胸に今年も事件と向き合う。

「どこをよくすればいいでしょうか」。05年、同大マンガ学部で専任講師だった小川聡さん(59)=京都市左京区=は、自作の漫画を手に研究室を何度も訪ね、作画について質問してきた千葉さんを覚えている。当時は浪人中で大学に合格する前だったが、「ここで漫画を勉強したい」と目を輝かせていた。

入学後は漫画デッサンを指導した。基本の遠近法や速写について助言すると、千葉さんはうなずきながら必死にメモを取っていた。「器用じゃないけど、コツコツ努力する学生だった」。将来は少年誌で連載をしたい―。そう語っていた教え子の夢はあの日、突然絶たれた。

15年がたち、教授になった小川さんは、千葉さんが事件前に手掛けた進級制作の漫画を読み返した。授業で教えた遠近法は、背景画に生かされていた。物語の中に、主人公が事故に遭いかけ「こんな所で死にたくない」と念じるシーンがある。「千葉君も同じ気持ちだったのかな。彼が成長したらどんな作品を描いたのか見たかった」。遺作に教え子の面影を重ね、無念な思いを吐露する。

小川さんは毎年の命日に別の教員が中心となって事件概要をまとめた冊子を配り、情報提供を呼び掛ける活動に参加してきた。今年は、現役の学生にメールで千葉さんのことを伝えるつもりだ。「学生が亡くなるのは、教員にとって何よりつらい。犯人は自分の行いを受け止め、自首してほしい」と願う。

地元住民も、事件解決の日を待ち望んでいる。専修寺(左京区)の岸野亮哲住職(78)は毎年の命日に、事件現場で法要を営んできた。千葉さんと面識はないが、「前途有望な若者がなぜ」とショックを受けた。静かな地域で起きた悲劇を忘れまいと、雨の年も雪の年も読経を続けてきた。

千葉さんの母、淳子さん(62)=仙台市=には三回忌に初めて会った。「現場は一番来たくない場所。でも、地域の方々が関心を持ってくれて本当にありがたい」と感謝された。

当時は田んぼだった事件現場にはアパートが建ち、時の流れを感じる。岸野さんは「自分が法要を続け、通りがかる人たちが事件のことを思い出すきっかけになれば」と思い、今年も現場に立つ。

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