最高にハッピーなミュージカル『メリー・ポピンズ』の魅力を、Wキャストで主演を務める濱田めぐみと笹本玲奈が語る

最高にハッピーなミュージカル『メリー・ポピンズ』の魅力を、Wキャストで主演を務める濱田めぐみと笹本玲奈が語る

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  • 更新日:2022/01/14
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パメラ・トラバースによる児童文学『メアリー・ポピンズ』とアカデミー賞5部門に輝いたディズニー映画を原作に、ディズニーとキャメロン・マッキントッシュがプロデュースした傑作ミュージカル『メリー・ポピンズ』。2018年に初演されて大好評を得たその日本キャスト版が、2022年3月に新メンバーを迎えて再演される。ロンドンに住むバンクス家の元に、空からやってくる不思議な力を持ったメリー・ポピンズをWキャストで演じるのは、初演から続投の濱田めぐみと、新キャストの笹本玲奈。二人に作品への思いなどを聞いた。

――まずは濱田さん、初演の際に感じたメリーの印象や作品の魅力を教えてください。

濱田:メリーの内面、特に人との距離感や接し方に自分と近いものがあったので、体力的にはキツかったんですが、無理なく自然にやれた印象があります。たとえば、失礼な人にはビシッとした態度でちょっと距離を置くようなところが、メリーが子供たちにきちんと礼儀作法を教える時の感覚とすごく似ているなと感じていたので。作品全体の雰囲気も好きでしたね。テーマもいいし、みんなが幸せになって、誰も死なない作品って、案外少ないんですよ。メリーが子供たちに伝えていこうとする哲学みたいなものや、彼女が醸し出すものから学んでいく子供たちの姿勢も好きです。あとはやっぱり、メリーが空から来て、空に帰っていくっていうのがいいですよね。

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濱田めぐみ

――何か印象に残っている出来事はありますか?

濱田:一度、空に帰り損ねました(笑)。あれはゲネプロだったのか、プレビューだったのか、明日から初日という日に機材トラブルがあって、最後の場面で空に停滞したままになってしまったんです。どうしようかなと思っていたら、客席から子供の「メリー、頑張って!」という声がして、それで、よし!と思って。「やっぱり帰りたくなくなっちゃった。みんなのそばにいたいんだけど、何して欲しい?」と言って、歌ったり、みんなが手拍子をしてくれたり。そんなことを、これはいつまで続くんだろう?と思いながら20分くらいやったところで、地上に救出されました(笑)。その時に感じた会場のお客さんとの何とも言えない繋がりが、やっぱり印象的ですね。時々「実はあの日、観てました」という方がいらして、「あれは天才的な対応でした」と言われたりします。メリー的には、魔法が中途半端になってしまって、ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。

――さすがです。今回から参加の笹本さんは、メリー役に決まった時はどんなお気持ちだったでしょう?

笹本:長い道のりがあったので本当に嬉しかったですし、驚きました。実は私、初演のオーディションにも参加していて、最終段階でキャメロン・マッキントッシュ本人に見てもらったのにダメだったので、自分はキャラクター的にメリーではないんだなと思っていたんです。それで今回もう1度受けることにも躊躇があったんですが、子供の頃から映画を見ていて大好きな作品ですし、オーディションに参加できること自体が貴重なことなんだなと思い直して、再チャレンジしたんです。家族もみんな、私のオーディションにかける思いを知っていたので、メリーをやれることになって本当に喜んでくれました。

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笹本玲奈

――今回Wキャストで同じ役を演じるお二人ですが、過去のご共演でお互いにどういう印象を持たれていましたか?

濱田:最初に玲奈ちゃんに会ったのは『ジキル&ハイド』の稽古場だったんです。ドレスを着てスッと立っている様が綺麗で、お人形さんみたいだなと思ったのが第一印象でしたね。玲奈ちゃんが演じるエマと私が演じるルーシーは対極にいるような役柄だったんですが、演技や歌の感覚が合うというか、ちょっとズレた時もすぐに修正できて。鋭い感覚で多くのことをキャッチできる人なんだなと感じました。

笹本:その『ジキル&ハイド』が、めぐさんが劇団四季を退団されて割りとすぐの頃だったので、私はもう、あの濱田めぐみと同じ空間にいる!というだけで感動していました。めぐさんは、いくら真似しようとしても絶対に真似できない声の表情を持っていて、なんて素晴らしいパーフェクトな女優さんだろうと思って。その後ご一緒した『ラブ・ネバー・ダイ』の稽古場で、そんなめぐさんが「クリスティーヌの闇とか深さというものを、まだまだ追求したい」と話されるのを聞いて、さらに尊敬するようになりました。私からしてみたら、いつ初日が開いてもいいくらいパーフェクトなのに、常に役のことを考えて、陰でずっと努力をされているんだなと感じて。

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笹本玲奈、濱田めぐみ

濱田:その『ラブ・ネバー・ダイ』でメグ・ジリーを演じた玲奈ちゃんの嫉妬の芝居が、今まで見た女優さんの中でもダントツに怖かったんです。特に、橋の上でピストルを撃つシーンは、トラウマになるかと思うくらい鬼気迫るものがあって、本気で怖かった(笑)。役者のそういう鋭い集中力って、もともと持っていないと出せないんですよね。きっと今回も素敵なメリーになると思います。

笹本:嬉しいです(笑)。今回のように、再演に新たに参加するのは勇気のいることなんですけど、めぐさんが近くにいれば大丈夫なんじゃないかって、私も安心しています。すごく後輩思いで、いつも明るくポジティブな空気を作ってくださる方なので。

――初演を踏まえて、濱田さんは今回メリーをどう演じたいと考えていますか?

濱田:もちろん初演で得た手応えもあるんですが、メリーとしてやりきれなかった部分、もっとやりたいなと思っていたことを深めたいですね。前回は正直、演出の量が多くて、メリーの立ち方や喋り方、小道具の捌き方というような規制がたくさんある中で、必死でやっていた感じがあるんです。今回そこに関しては若干余裕ができるはずなので、その分もっと共演の皆さんとコミュニケーションを取ったり、どういうメリーがバンクス家に入っていくのかという構図をもっと明確にできればなと思います。前回は余裕がなさすぎて、行き当たりばったりみたいなところがあったので。

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濱田めぐみ

――具体的に、どういったところで苦労をされたのでしょう?

濱田:濱田的には、メリーの網手袋がネックでしたね。網手袋をしたまま、いとも簡単にこうもり傘を開いたり、物を掴んだりしないといけないのに、引っかかってしまって。ほかにも、エプロンの紐を後ろで一瞬のうちに蝶々結びにしたり。不器用な私は、そういう細かいことを歌いながら次々とやることが実は震えるくらい怖くて、稽古の休憩時間になると小道具のところに走っていって練習していました。それをまだ身体が覚えていたらいいんですけど、初演から4年も経ってるからなあ(苦笑)。意外と、玲奈ちゃんのほうが上手い具合にこなせて、私がまた「大変だ」って言ってるような気がします(笑)。

笹本:確かに網手袋は、この間キービジュアルの撮影の時に初めてはめて、きっと家に持ち帰って練習することになるだろうなって思いました(笑)。メリーは、歌もダンスも、タップもマジックもできて、しかもそれを軽々とやって見せなきゃいけない役。とにかく課題が多すぎて、自分が初日までにどこまでいけるのか、全然想像できないです。

――とはいえ、久々のフライングは楽しみなのでは?

笹本:そうですね。高いところ好きな私としては、そこは楽しみで仕方ないです。最後に『ピーターパン』をやったのが2010年なので、飛ぶのは12年ぶり。私は舞台の『メリー・ポピンズ』を観ていなくて、この間初めて、舞台装置のことや客席へのフライングがあることを知ったんですが、飛ぶ距離が世界最長だと聞いてワクワクしました(笑)。

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笹本玲奈

――今現在、メリー・ポピンズというキャラクターについて、どのように捉えていますか?

笹本:“ぶれない人”だなと感じています。とても一言では表現できない存在ではあるんですけど、人への対応の仕方や子供に対しての距離感に決してぶれないものがあって、普通の人間のように他人の意見に惑わされることがないんですよね。なおかつ、ディズニーのオリジナルのキャラクターとして外せない、メリーをやるならこうじゃなきゃいけないという強いものもあるので、そういう本質的な部分を押さえた上で、自分がやった時にどうなるのか、稽古で見つけて行けたらと思います。

濱田:私は、メリーは観てくださる方それぞれの子供の部分に響くような何か、琴線に触れるような何かを持っている存在だと思っているんです。そこをいちばん大事にしたいし、それが舞台で出せれば成功だと考えています。ただ、それは言葉ではなく、あの空間の中で生の人間が演じることでしか出せないもの。それを今回も探って、出していきたいです。

――ありがとうございます。最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

濱田:新しいメンバーも入りましたし、初演をご覧になった方にも色々な意味でまた違った『メリー・ポピンズ』をお届けできると思います。ご家族でも、一人でも楽しんでいただける作品なので、濱田メリーとしては、誰かと一緒にご覧になった方には、ぜひ今度は一人で劇場にいらっしゃることをおススメしたいです。劇場でお待ちしています。

笹本:心からハッピーになっていただけるのが『メリー・ポピンズ』という作品です。最高に楽しくて、明日からまた頑張ろうと笑顔になっていただける舞台に必ずなると思います。ぜひ観にいらしてください。

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笹本玲奈、濱田めぐみ

取材・構成・文=岡崎香 撮影=池上夢貢

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