コロナ禍で雇い止めに遭ったパチンコ店員、現在は手取り16万円のフリーター

コロナ禍で雇い止めに遭ったパチンコ店員、現在は手取り16万円のフリーター

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2021/05/04

コロナ禍による企業の業績悪化の煽りを真っ先に受ける非正規雇用の従業員。正社員と違って人員を減らしやすいため、雇用調整の名のもとに解雇されるアルバイトやパート、契約更新を見送られる契約社員が各地で後を絶たない。

◆従業員の間で不安がひろがる「このままだとヤバい」

No image

※写真はイメージです(以下同)

運送会社の集配所でアルバイトスタッフとして働く青柳正人さん(仮名・24歳)の前職はパチンコホールの従業員。だが、契約社員だったことから更新を見送られてしまい、契約満了の昨年9月末で雇い止めに遭ってしまった。

「一昨年の秋から働き始めたんですけど、勤務態度が余程ひどくなければ更新されると聞いて安心していたんです。ところが、昨年4~5月の緊急事態宣言で休業となってから風向きがおかしくなって。もともとお客さんがそんなに多くない店でしたけど、営業再開後は年配の常連さんたちが半分くらいに減っているし、お客さんが1人も座っていないコーナーがいくつもありました。だから、スタッフの間でも『このままだとヤバいんじゃないか』って噂が飛び交うようになっていたんです」

◆契約更新がないことを詫びる店長

その不安は最悪の形で現実のものとなる。昨年8月上旬、店長から「契約の更新はない」と直接伝えられてしまったのだ。

「9月末までの1年契約だったため、時期的に最初は更新の話かなとちょっと期待していたんです。でも、通されたスタッフ用のミーティングルームに入ると、店長が申し訳なさそうな顔をしているんです。本当は文句のひとつでもぶつけてやりたかったですけど、『すまない』って頭を下げられたら何も言えないじゃないですか。結局、『気にしないでください』と返すことしかできませんでした」

◆非正規雇用で働いた経験しかなくコンプレックスに

No image

しかし、青柳さんは地元の高校を卒業後、専門学校に進学するもすぐに中退。それからはずっとフリーターを続けていたため、パチンコホールも含めて正社員で働いた経験は一度もない。もっと若いころはあまりに気にしなかったが、次第に負い目を感じるようになったという。

「今もバイトだし、高校を出てから6年以上も非正規雇用なんです。コロナの影響でしょうけど、最近はバイトですら簡単に採用されなくなってます。当然、正社員はもっと厳しいですし、もし自分が企業の採用担当ならずっと非正規で働いているヤツを積極的に雇おうとはしないですよ。そう思ったらどんな仕事でも正社員として働くべきだったなって。パチンコホールには正社員登用制度があったからそこに期待して頑張ろうと思っていたんですけど……」

もともとパチンコ業界に非正規雇用から正社員に採用される人が多く、そういう意味では雇用弱者の受け皿になっていたのは間違いない。全国のパチンコホールの9割が加盟する全日本遊技事業協同組合連合会によると、2020年に閉店したのは612店舗。その流れは今年も収まる気配がない。

「実は、雇い止めになったホールも今年に入って潰れてしまいました。もし更新されていても途中で失業することは避けられなかったですし、そう思うとその前に雇い止めになってよかったのかも。どっちにしても最悪の状況なわけだし、だったら少しでも前向きに考えるしかないですから(苦笑)」

◆なんとか生活できるなら今のままでも……という気持ちも

ただし、特にやりたい仕事もなければ、この業界で働きたいというのもない。今はバイトの身だが週5日フルタイムで勤務しており、月収は手取りで約16万円。贅沢は無理だが、なんとか生活を維持をできるだけの収入はある。

そのため、現状に対する不満や将来への不安はあっても「このままでも構わない」と思ってしまうそうだ。

「逃げなのかもしれませんが、貧乏なりに生活できるなら非正規雇用のままでもいいんじゃないかという気持ちがないといえばウソになります。ひと昔前みたいに終身雇用がある程度約束されている時代ならともかく、今なんてそんな保障全然ないじゃないですか。そう思うと、正社員を目指すべきなのかもわからなくなっちゃって」

雇い止めになったことでやさぐれてしまった印象も否めないが、彼が置かれた状況であればそう考えてしまうのも仕方がない。

いろんろな働き方があるのは事実だが、非正規雇用の期間が長引けば正社員として働くのはますます難しくなる。このまま今の状態をズルズルと続けて後悔するような事態にならなければいいが……。<取材・文/トシタカマサ>

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加