迫り来るデジタルシフトの波 流行りのDXの本質とは何か

迫り来るデジタルシフトの波 流行りのDXの本質とは何か

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2020/09/15
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インターネットが登場して4半世紀が過ぎようとしているいま、私たちの生活は大きく変貌している。コミュニケーションは電話からメールへと変わり、現在はチャットが主流となった。情報収集でもインターネットやSNSを利用することが当たり前の時代となり、新聞や地図を見る場合もスマートフォンさえあれば済むようになった。買い物もネットショッピングを利用することが一般化し、飲食店の予約などもワンクリックで簡単に行えるようになった。

これらの変化は「デジタルシフト」や「DX」などと呼ばれており、年々その傾向は加速している。デジタルシフトは今後も、私たちの生活に波のように押し寄せ、今からは想像もできないような社会的変化をもたらしていくに違いない。

「デジタルシフト」の本質とは何か?

とはいえ、「デジタルシフトとは何か」と正面から問われると、返事に困ってしまう人も少なくないだろう。私たちの身の回りには、既にこんなにも「デジタル」が溢れているにも関わらずだ。IT化を進める企業のコンサルティングを行なっている私は、多くの経営者の方々から「デジタルシフトとは何か?」という質問を受ける。

このような質問に対して、私はデジタルシフトを「アナログ時代に存在した時間・距離・量・方向の制約を解放すること」だと説明している。ショッピングを例に考えてみよう。

まずデジタルシフトは「時間的な制約からの解放」だ。昔はお店が開店しているときにしか買い物はできなかったが、今では24時間365日いつでも、パソコンやスマホさえあれば買い物をすることが可能となった。

次に「距離的な制約からの解放」だ。かつては実際に商品があるその場所にまで行かなければ買い物はできなかったが、今では地球の裏側で販売されている商品でさえ購入することが可能となった。

3つ目は「量的な制約からの解放」。一つの店舗で抱えることができる在庫には限りがあったが、今ではバーチャルで商品を無限大に品揃えすることが可能となった。例えば、大手通販サイト・アマゾンでは、日本でも2億を超える商品を買うことができる。

4つ目は「方向の制約からの解放」だ。チラシやTVコマーシャルなどで、売り手側が一方的に不特定多数に向けて広告を出していたが、今ではインターネットを通して、顧客の好みに合わせた広告をダイレクトにだすこと可能となった。

このように、アナログ時代には存在せざるを得なかった制約から、人々が解放されるという点こそが、デジタルシフトの本質なのである。

私たちは「情報革命」の時代に生きている

デジタルシフトにより私たちの生活はすでに大きな変貌を遂げている。しかし、実はその「革命」は始まったばかりなのだ。

歴史を振り返ってみると、人類は2つの大きな革命を経験してきた。

1つ目の革命は紀元前に起こった「農業革命」だ。これによって人類は定住し、安定的に食料を得ることが可能となった。2つ目の革命は18世紀に起こった「産業革命」だ。これによって人類は生活の様々な面を機械化し、大量生産を可能にして、遠方へと移動することもできるようになった。

そして現在、私たちは3つ目の革命である「情報革命」の最中にいる。これによって人類はインターネットで繋がり「情報」の共有ができるようになりつつある。農業革命や産業革命が、長い年月をかけて私たちの社会生活を変化させてきたことを考えると、私たちが現代において経験している「情報革命」も、まだまだその革命の最中であると考えるべきだろう。

農業革命や産業革命に対応できなかった人々が衰退したのと同じように、情報革命の現在、この流れに対応できない企業は衰退していくことになる。今後そうならないように、世界中の人・企業が本格的にデジタルシフトに取り組むことになるだろう。そのような節目に、私たちは生きていると考えるべきなのだ。

「デジタルシフト」に対応して成長したウォルマート

私の著書『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』(プレジデント社)の中でも指摘したように、ウォルマートは「デジタルシフト」に対応することで成長を遂げた企業の好例だ。アマゾンの躍進により、米国の小売業が打撃を受けはじめ、トイザらスやメーシーズのように破産へと追い込まれた企業もある中で、逆に社内の大変革を始めたことで、ウォルマートは新たな成長を達成している。

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EC部門で大きな成長を遂げるウォルマート。アマゾンに真っ向から勝負を挑んだ(Getty Images)

当時のマスコミの論調は、ウォルマートがネット分野で成長し、アマゾンと真っ向から勝負することにあまり期待をしていなかった。ウォルマートが行なっている大変革はただの「金食い虫」だと揶揄する専門家もいたほどだ。しかし結果は、米国でも新型コロナが流行する中で、ウォルマートはアマゾンをも凌ぐ成長を遂げている。

デジタルシフトへの対応が成否を分けるということは、小売業はもちろん、全産業において言えることだ。国内でも新型コロナの流行によって、少なくない人々がその重要性に気がつき始めている。これからは、さらに多くの企業が変革を余儀なくされるだろう。

次回は、この新型コロナの影響によって加速している「デジタルシフト」について解説していく。

連載:デジタルで人生を豊かにする「デジタブルライフ」

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