科学者が「賞味期限を8年も過ぎてミイラ化したお菓子」に夢中になっている理由とは?

科学者が「賞味期限を8年も過ぎてミイラ化したお菓子」に夢中になっている理由とは?

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  • 更新日:2020/10/16
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スポンジケーキの中にクリーム状のフィリングを入れたお菓子のトゥインキーには、「賞味期限が切れても傷まない」という都市伝説が存在します。2020年10月、アメリカに住むColin Purringtonさんが「賞味期限を8年も過ぎたトゥインキーを自宅の地下室で発見した」とTwitterで報告したところ、菌類を研究する科学者が本格的な調査に乗り出しました。

Scientists Are Fascinated By An 8-Year-Old, Moldy Twinkie : NPR

https://www.npr.org/2020/10/15/923411578/a-disturbing-twinkie-that-has-so-far-defied-science

2020年10月のある日、家の中にお菓子がなくて困っていたPurringtonさんは、2012年に購入したトゥインキーが地下室にあったことを思い出しました。2012年にトゥインキーを製造していたHostess Brands社が破産したため、Purringtonさんは「このままではトゥインキーが永遠に姿を消すかもしれない」と考えて購入したとのこと。なお、トゥインキーは2013年からHostess Brandsを買収した企業によって製造・販売が再開されています。

「家にデザートがない時、人は必死になります」と語るPurringtonさんは、その言葉通りトゥインキーが8年も賞味期限を過ぎているにもかかわらず、袋から取り出して食べてみることにしました。なお、公式にはトゥインキーの賞味期限は「45日」となっていますが、トゥインキーには「賞味期限を過ぎても腐らない」という都市伝説が存在します。

以下の画像が、実際にPurringtonさんが地下室で発見した8年物のトゥインキーの箱。

I found a box of @Hostess_Snacks Twinkies from 2012 in my basement and I thought I'd make a short thread. There were some surprises. pic.twitter.com/Qfa9oAKQR7
— colinpurrington (@colinpurrington)
October 4, 2020
from Twitter

一見すると腐ったようには見えない8年物のトゥインキーを口にしたPurringtonさんは、「それは古い靴下のような味でした。実際に古い靴下を食べたことがあるわけではありませんが」とコメント。見た目が大丈夫でもトゥインキーはしっかり腐っていたようで、Purringtonさんはトゥインキーを吐き出したとのこと。
しかしPurringtonさんはそのまま箱に入っていた全てのトゥインキーを捨てることはせず、個包装された他のトゥインキーについても調べてみることにしました。以下の写真は左が8年物のトゥインキーの断面で、右が新しいトゥインキーの断面です。本来であれば白いはずのフィリングが、古いトゥインキーでは茶色に変色していることがわかります。

2. The Twinkie from 2012 is on the left. It seems to have settled a bit over the years and looked dry. The biggest difference is that the cream filling has browned and constricted a bit, leaving air gaps. pic.twitter.com/qxGb0Xd3fH
— colinpurrington (@colinpurrington)
October 4, 2020
from Twitter

また、中には表面に大きな斑点があるものや……

4. I didn't try this Twinkie because it's hosting an organism of some sort. I guess it could be dead but that's not something I'm going to risk. I've seen that movie before. Maybe somebody on @inaturalist will recognize it. Here's link in case that's you: https://t.co/cUZLymvPBV .
— colinpurrington (@colinpurrington)
October 4, 2020
from Twitter

しわくちゃになって原型をとどめていないトゥインキーもありました。

7. By popular demand, here's a close-up of the shriveled Twinkie. It is approximately 1 oz lighter than a fresh one. pic.twitter.com/MHrPF4wElY
— colinpurrington (@colinpurrington)
October 4, 2020
from Twitter

PurringtonさんがTwitterに投稿したこれらの写真に興味を持ったのが、ウェストバージニア大学Brian Lovett氏とMatt Kasson氏です。Lovett氏はこの写真を見た瞬間に、Kasson氏はこのトゥインキーを欲しがるだろうと考えたと述べています。
Kasson氏らの研究室は菌類についての研究を行っており、かつて動物の形をしたマシュマロのピープスでどれほどうまくカビが成長するのかを実験したこともあったとのこと。乾燥したピープスでカビが成長するのは難しいとの予想もありましたが、いくつかのカビはピープスを分解してうまく成長したそうです。
トゥインキーの表面ある斑点は真菌に典型的な成長パターンのように見えたことから、2人はPurringtonさんに連絡を取ってトゥインキーを送ってくれないかとお願いしました。Purringtonさんは喜んでトゥインキーをウェストバージニア大学に送ったそうで、「科学は共同スポーツです」と述べています。
実際にトゥインキーが研究室に到着すると、Lovett氏らはしわくちゃになってミイラ化したトゥインキーの包装が、内側に吸い込まれているように見える点に気づきました。これは、パッケージが密封される前に真菌が内部に侵入し、真菌がトゥインキーを分解する間に内部の空気または酸素を消費したことを示唆しているとのこと。Lovett氏は、トゥインキーを分解する真菌が内部の空気を消費して袋が真空状態に近づき、この結果として真菌の成長を停止させた可能性があると指摘しています。

8. More views of the 8-year old Twinkie, some of which seem to show fungal hyphae. I also noticed several globs of yellow on the exterior of the wrapper (e.g., bottom right pic) that I assume are from holes. Maybe it's one of those fungi that can eat plastic. pic.twitter.com/0ejkwt9B6p
— colinpurrington (@colinpurrington)
October 5, 2020
from Twitter

Lovett氏らがミイラ化したトゥインキーを開封する際には、かなりの悪臭が襲いかかることを覚悟していたそうですが、内部がミイラ化していたおかげで全く悪臭はしなかったとのこと。「これは本当にうれしい驚きでした」と、Lovett氏は述べています。
2人は拡大鏡を使った調査を行い、大きな斑点があるトゥインキーとミイラ化したトゥインキーの両方で、真菌の胞子が形成されていることを確認しました。さらに2人が骨髄生検ツールを使ってトゥインキーのサンプルを採取したところ、ミイラ化したトゥインキーの外壁は硬くなっていたものの、内部のフィリングは予想外に柔らかいままだったこともわかりました。「菌は内側のフィリングよりも外側のケーキに興味を持っていたようです」と、Lovett氏はコメント。

The severely colonized cake was quite challenging to sample. Thanks to a bone marrow biopsy tool, we made quick work of it! pic.twitter.com/IYik3iWPvb
— Matt Kasson (@kasson_wvu)
October 8, 2020
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採取したサンプルを真菌の培養に使われる栄養素を含んだ皿にのせて培養したところ、斑点があるトゥインキーからはクラドスポリウム(クロカビ)が成長したとのこと。Kasson氏は、「クラドスポリウムは世界中で最も一般的な屋内カビの一種です」と述べています。

How #MoldyTwinkie started How its going. pic.twitter.com/lzyQW1NkGe
— Matt Kasson (@kasson_wvu)
October 12, 2020
from Twitter

一方、ミイラ化したトゥインキーからは、2020年10月15日の時点でも真菌が成長していないそうです。Lovett氏は「私たちが目撃した、この素晴らしくまれな出来事にもかかわらず、生きている胞子はないのかもしれません」と述べていますが、今後もさまざまな方法でミイラ化したトゥインキーから生きた真菌を培養しようと試みているとのこと。

なお、Purringtonさんの父親は賞味期限を気にしないタイプだった一方、母親は賞味期限をちゃんと気にするタイプだったそうで、実際に8年物のトゥインキーを口にしたPurringtonさんは「今では賞味期限について母親寄りです」と述べました。

ちなみにトゥインキーは「ダイ・ハード」「ゴーストバスターズ」「ゾンビランド」などのアメリカ映画にたびたび登場することでも有名で、記事作成時点ではAmazonで購入することが可能です。

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Amazon.co.jp: Hostess Twinkies ホステストゥインキーズ 380g [並行輸入品]: Food, Beverage & Alcohol

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