精神科医が伝授!コロナ禍での「心の疲労」を解消する習慣11

精神科医が伝授!コロナ禍での「心の疲労」を解消する習慣11

  • コスモポリタン
  • 更新日:2021/02/22
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新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから早1年。「Withコロナ」「ニューノーマルな生活」が定着したとはいえ、実は不安などで心が消耗し疲弊している人も多いのではないでしょうか。今回「Hearst Contents Hub」が、精神科医として医療に従事しながら臨済宗建長寺派 林香寺住職である川野泰周先生に、“今日からできる”精神的な疲労を解消する方法を伺いました。

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疲労の原因①感染への不安や経済的不安

最初に、コロナ禍に起こりがちな心の疲労の3つの原因をお伝えします。

1つめは不安の感情。新型コロナウイルスに感染すると、自分や大切な人の命が脅かされるのはもちろん、会社や家族など周りの人に迷惑をかけてしまう…など、コロナ禍において、多くの人が様々な不安を抱いているのではないでしょうか。

外出する際、そんな不安を頭の片隅に置きながら、潔癖症のように手指消毒をし続けてしまったり、他人の行動に敏感になってしまうことも。

また、これからの仕事のことや金銭的なひっ迫など、経済への不安もあるでしょう。

そんな不安の感情は、解放して初めてレジリエンス、ストレス耐性強化になりますが、長期間、解放されないままだと脳や心の活力が消耗し、「バーンアウト(燃え尽き症候群)」を招く可能性もあります。

不安感の影響は、性格などによって個人差もありますが、うつ状態になったり、逆に不安を忘れようとハイになり、その後うつになるなど「躁的防衛」が見られる人もいます。

長期間にわたって不安を抱え、心が消耗したり、心のバランスを失った状態が、まさにコロナ禍における疲労の状態といえます。

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疲労の原因②生活にメリハリがないこと

2つめの原因は、テレワークで生活にメリハリがなくなったこと。交感神経優位のほどよい緊張状態と、副交感神経優位のリラックスの状態の健全な「ゆらぎ」がなくなり、自律神経の切り替えがうまくできなくなったことをさします。

出勤するときは毎朝、メイクをして着替えて出かけることで、モードが切り替わりますが、家でリラックスした格好のまま仕事を始め、仕事が終わってプライベートの時間になっても、仕事のメールを意識する、というふうに過ごすと、緊張とリラックスの境目がなくなります。ダイニングテーブルやリビングで仕事をすると、そのリスクは高まるかもしれません。

夜には、副交感神経が優位にならないと脳が休まらないため、睡眠中に中途覚醒をしたり、嫌な夢を見たりするなど、睡眠の質が悪くなります。こうした不眠を訴える患者さんは、コロナ禍になって増えていますが、睡眠の質が低下してしまうことも、疲労の兆候といえるでしょう。

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疲労の原因③ネガティブな情報に振り回されること

3つめは、情報に触れすぎることです。コロナ禍のような非常時は、必然的にネガティブな情報が増えます。

テレビやインターネットのニュース、SNSなどでネガティブな情報が繰り返し流され、それらに触れていると不安の感情が喚起されます。

そもそも“怖い物見たさ”は人間の常、ネガティブなものは見たくなるのが人間の心理特性ですから、情報に影響され、流されてしまうのも、疲労を招く原因となります。

ここからは、心の疲労を解消する具体的な方法をお伝えしましょう。

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1 困ったときの対応策をシミュレーションしておく

新型コロナウイルスに感染してしまったとき、どのように過ごすか、ホテル療養や入院時に何をもっていくか、お子さんがいる方は子どもをどうするかなどについて普段から考えたり、また、経済的な困窮を究めたときには、どこに相談に行くのがよいか調べるなど、自分に起こり得る事態を想定して、対応策を10個くらい用意しておくことをおすすめします。

備えあれば憂いなし、漠然と抱える不安がだいぶ、解消されるはずです。

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2 人生の主人公になれているか?

自己肯定感を高める方法です。「主人公」というのは、もとは禅のお坊さんの言葉でした。

人に言われて、とか人の真似をしてやるのではなく、主体的に、自分の意志で取り組んでいるという感覚が、心が消耗した状態から立ち直る鍵になります。「今日も主人公として生活している」と自覚することが大切です。

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3 意識的に情報のオフラインをつくる

情報は、選りすぐりましょう。情報に振り回されないことです。そのためには、情報のオフラインを意識的につくることをおすすめします。

私はメールやSNSなどは1~2時間に1回しかチェックをしていませんが、これによって、思考の効率が上がりました。本当に急ぎの場合には電話がかかってきますから、それ以外のアプリは新着通知をOFFにして自分のペースで見ること。

また、情報を得るニュース番組や媒体を1日1つか2つに決め、ルーティンにすることをおすすめします。脳のエネルギーを温存しましょう。

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4 おうちでプチ贅沢をする

良い自己投資をすると、自己肯定感が高まります。例えば、ときには少しだけ背伸びして高級な化粧品を買って、スキンケアをするのもよいでしょう。

買って満足ではなく、買ったものを丁寧に使って楽しむこと、これがとても大切です。自分をいたわり、いつくしむことをマインドフルに行うことが、心に効きます。

例えば、歯磨きのときにはつい“ながら”になってしまいがちですが、自分の歯をキレイにすることに集中します。1日2、3回磨くのなら、せめてそのうち1回はマインドフルに行うことをおすすめします。

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5 ネガティブな感情を、ポジティブな言葉に変えて声に出す

言葉づかいによって、ネガティブなものをポジティブに、「リフレーミング(物事の枠組みを作り直すこと)」していくことを意味します。

日頃の言葉づかいを、ポジティブ3:ネガティブ1にしましょう。「こんなの嫌だ」「つまらない」と思ったら、「ある部分しか見ていないから、嫌なところもあるよね」と口に出してみてください。耳からその言葉が入るのが、よい効果を生みます。

口に出すことが難しい時は、心の中でも大丈夫です。こうした習慣によって少しずつ、心はポジティブに変わっていきます。

ちなみに、全否定をすることはタブーです。負の「認知バイアス(偏ったものの見方)」が起こり、ネガティブにしか見えなくなってしまう可能性があるので、気をつけましょう。

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6 1日の終わりに、その日のことを淡々と語る

「感情」「思考」「体の状態」を分けて捉えることが目的です。すべてが混ざってしまうと、ネガティブな感情がトルネードのように膨らんで制御しづらくなります。

まず「感情」は「つらい」「悲しい」など感じたままを列挙しましょう。それから「思考」は、起こった事実を淡々と述べていきます。

例えば「上司にレポートを提出したら呼ばれて指摘され…」というふうに、まるでお経を読むように口に出すか、心の中で念じるとよいでしょう。

「体の状態」は、頭から足先までスキャンするように、体を観察します。おなかが痛いとか胸がしくしくするなど、ありのままに感じ取ります。

これは、自分自身を俯瞰する、「メタ認知」の訓練になります。俯瞰できる人は心が折れにくく、ウェルビーイングが上がると言われています。慣れれば1回3分程度でできますから、ぜひトライしてみてください。

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7 「がんばった瞑想」をする

「がんばった瞑想」とは、自分をねぎらい、自分が努力したことを褒めることです。患者さんにもおすすめしている瞑想ですが、効果を感じています。

1日の終わりに、悩んでいたことを思い出しながら、悩みを抱えながらも1日よくがんばったと、自分を褒めてあげましょう。大きくため息をふーっと吐きながら「頑張ったね!」と数回言うだけで、自己肯定感が上がります。

心の中で行っても構いません。6 の後に行うのがおすすめです。

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8 山に出かける

自然に少しでも触れると、心の疲労は回復します。山の中でキャンプをした人と、都会で過ごした人を比べると、山の中でキャンプをした人のほうが健康度が高まるというエビデンスもあります。

流行りのソロキャンプはもちろん、東京にお住まいなら高尾山や御岳山など、近郊の山で1日過ごすだけでも心のモードが切り替わります。

遠出するのが難しい場合には、近所の公園や河原などを散歩して、草木や雑草、鳥、水の流れを眺めるだけでも効果はあります。これからの時季は、桜を眺めて季節を感じるのもよいでしょう。

花見に出かけなくても桜はそこかしこに咲きますから、近所の家の庭先など、身近なところで足を止めて、眺めてみてはいかがでしょうか?

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9 自宅で自然に触れる

ベランダで、家庭菜園をするのも1つの方法です。野菜や花を大切に育てて成果を目にすることができたら、自己肯定感も穏やかに育まれるでしょう。

それから、GoogleEarthなどを使ってデジタルツールで、自然豊かな景色を眺めるのもプチ療法になります。ただ自然は五感で感じるのが理想。

眺めるだけでは視覚しか満たされませんから、せせらぎの音を流したり、森の香りのアロマを焚くなどして、できるだけ自然に近い環境をお部屋の中に再現してみましょう。

ハワイが好きな方は、ハワイの景色と波の音でもよいかもしれません。家のなかで仕事や日常と切り離してゆっくり、楽しく過ごせる場所をつくることが大切です。

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10 テレワークの環境を整える

テレワーク用にデスクを調えることをおすすめします。仕事モードになる場所を決めることで、そこに行くとほどよい緊張感が生まれて、自律神経の切り替えがスムーズになりますし、仕事の効率も上がります。

またBGMを味方につけましょう。ホワイトノイズや波の音、せせらぎ、それから雑音があった方がよいという人は電車のホームの音やカフェの音など、YouTubeなどで聞けますから、自分が集中できる音を決めて、仕事モードに切り替えるのもひとつの方法です。

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11 今まで縁がなかった何かにトライをする

コロナ禍をひとつのチャンスととらえて、今までの人生に縁のなかった何かにトライをしてみてはいかがでしょうか?

今は考え方を変えてよいときですし、新しいことを見つけ、やりたいことに目覚めるチャンスです。心の求める物事や、本当はもっていた自分のやる気に気づくことで、人生が変わります。

ジョギング好きの人がマラソンをするといった近しいことでもよいのですが、ここは思い切って、一度もやったことのないこと。

例えば鳥に全く興味がなかった人がバードウォッチングをやってみるなど、大胆に、マインドフルに体験してみましょう。人生がガラッと変化するかもしれません。

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今回、お話を聞いたのは川野泰周先生

Profile

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長兼臨済宗建長寺派 林香寺 住職。

2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。うつ病、不安障害、PTSD、睡眠障害、依存症などに対し、薬物療法や従来の精神療法と並び、禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。

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Text:Hearst Contents Hub

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