「人差し指を根本から切断して...」不始末にけじめをつけるヤクザの“指詰め”のリアル

「人差し指を根本から切断して...」不始末にけじめをつけるヤクザの“指詰め”のリアル

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/02/21

「山中に埋められた腐乱死体でも刺青だけはキレイに…」警察幹部が明かした“ヤクザと刺青”の本当の関係から続く

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サラリーマンでも、個人事業主でも、仕事をしていれば、必ず失敗やミスは起こり得る。一般社会では、相手に頭を下げたり、上司に始末書を提出することで一応の区切りとなるが、暴力団社会では「自らの指を切断する」という伝統的な決着方法がある。

「指を詰めることは、不祥事、不始末があった際のヤクザのけじめ。ヤクザは『すみませんでした』の一言では済まない」

暴力団幹部たちはそう口を揃える。いったい、どんな場面でそのような行為が行われているのだろうか。

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(写真はイメージ)©iStock.com

「その程度の不始末で指を詰めるのか?」という事例も

東京都内を中心に活動している指定暴力団幹部が、ヤクザの指詰めについて語る。

「例えば、あるヤクザがミスをして1000万円の穴をあけてしまい、幹部から『どうするんだ。責任を取れ』と追及される事態になったとする。このご時世、1000万円を作れと言われても、そう簡単には作れない。そうなると『それで済むなら』と指を詰めることになる」

別の指定暴力団のベテラン幹部は、次のように振り返る。

「最近は変わってきているが、昔は『その程度の不始末で詰めるのか』というぐらいに、問題があると何でもすぐに指を切っていた。だから、指が何本もないヤクザは結構いる」

本人の不始末のけじめの付け方として語られる指詰めだが、この幹部はそう単純ではないと指摘する。

「例えば兄弟分にあたる人物に不手際があり、連帯責任ということで自主的に申し出てやるということもある。さらに、自分の組の若い衆の不始末について、指導が行き届いていなかったことを詫びるということもある」

警察は「指詰め」をどう見ているのか?

では、警察当局の現場では、ヤクザの指詰めは、どのように捉えられているのか。

長年にわたり組織犯罪について捜査を続けてきた警察当局の幹部は、「指がないヤクザは信用することができる場合が多い」と打ち明ける。

「指を自ら切断するということは一般社会からは異常な慣習。しかし、暴力団の世界では、不始末に対して責任を取って指を詰めて、筋を通すことができた『一本気な人物』と評価される。実際にそういう男は、警察に対してもウソをつかない。いい加減なヤツは問題が発覚しそうになるとすぐに逃げるが、指を落としている者はそういうことはしない」

もちろん、別の見方もある。多くの暴力団犯罪の捜査を指揮してきた別の幹部は「一概には言えないが、何本も指を詰めているのは、それだけ危ないことをやってきたということだ」と、全く逆の見方を示す。

総会屋でも「指詰め」の制裁があった

かつて「反社会的勢力」として暴力団同様に警察当局の最重要捜査対象となっていた総会屋グループでも、指を切断するという厳しい制裁が加えられたことがあった。

総会屋とは、上場企業の株式を購入し株主となって、株主総会に乗り込み質問攻撃を繰り返して経営陣に揺さぶりをかけていた団体だ。現在でこそ、ほぼ活動実態はないが、バブル崩壊後、企業から総会屋へ資金が流れていたことが発覚し、利益供与容疑で企業の担当者とともに総会屋が逮捕される事件が相次いでいた。

そんな総会屋の中で、指つめの制裁が行われたのは、最盛期には40人以上の勢力を保ち国内最大の総会屋グループとされた論談同友会だった。

同会が管理していた製薬会社の株券を、ある中堅幹部が大量に持ち出して行方が分からなくなった。同会はメンバーを動員して持ち逃げした中堅幹部の行方を追った。当時を知る元メンバーが振り返る。

制裁は「右手の人差し指を根本から切断」

「多人数で次々と関係先を当たった。(交際していた)女の家の近くで張り込んでいたところ、男が姿を現したため取り押さえた。その結果、何らかの罰を与えることになった」

このとき行われた制裁は、右手の人差し指を根本から切断するということだった。

「その制裁の後、この中堅幹部は再び行方が分からなくなった」(同前)

ほとんどの総会屋は「我々はヤクザではない」と主張していたが、多くの総会屋が暴力団的な気風を持っていた。

論談同友会は指定暴力団住吉会の有力2次団体と友好関係にあった。広島県出身の会長の正木龍樹は若いころ、地元の暴力団に所属し背中には刺青を入れていただけでなく、当時の不始末から両手の小指の先端を切断していた。正木のほか刺青を入れていた幹部も多かった。

暴力団社会で慣習として続く「指詰め」は現在、暴力団対策法で禁じられている。しかし、いまでも指詰めが行われ傷害事件として摘発されるケースもある。暴力団社会ではいまだに行われているとみられる。(敬称略)

(尾島 正洋/Webオリジナル(特集班))

尾島 正洋

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