グランドスラム王座への道~第8回 「不可能」を成し遂げ新時代を築いたロジャー・フェデラー

グランドスラム王座への道~第8回 「不可能」を成し遂げ新時代を築いたロジャー・フェデラー

  • WOWOWテニスワールド
  • 更新日:2022/09/23
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このシリーズではこれまでにグランドスラム制覇を遂げたチャンピオンたちや、これから優勝を目指す選手たちをランダムに取り上げ、それぞれの「王座への道」を紹介していきたい。今回ご紹介するのは、先日の引退発表で世界を驚かせた元世界王者のロジャー・フェデラー(スイス)だ。

現在グランドスラム男子シングルスの優勝回数は、1位が22回のラファエル・ナダル(スペイン)、2位が21回のノバク・ジョコビッチ(セルビア)で、20回のフェデラーは3位だが、20回という大台に到達したのはフェデラーが初めて。また、かつては2002年にピート・サンプラス(アメリカ)の達成した14回が歴代最多で、それを超えるのは不可能と見なされていた。そんな「不可能」を最初に成し遂げ、テニスを次のレベルへと押し上げたフェデラーの歩みを振り返ろう。

フェデラーのグランドスラム初優勝は2003年の「ウィンブルドン」だが、その2年前に大きな分岐点があった。19歳、第15シードとして出場した2001年の「ウィンブルドン」で、5連覇の懸かるサンプラスを4回戦で下したのだ。3時間41分に及ぶシーソーゲームを制し、7-6(7)、5-7、6-4、6-7(2)、7-5で勝利。二人はこれが最初で最後の対戦となった。

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サンプラスから金星を挙げてベスト8に進出した後、グランドスラムでは4回戦より先に進めていなかったが、2003年の「ウィンブルドン」でアンディ・ロディック(アメリカ)やマーク・フィリポーシス(オーストラリア)を破り、21歳にして初優勝を果たす。翌2004年の「全豪オープン」ではフアン カルロス・フェレロ(スペイン)やマラト・サフィン(ロシア)を退けて2度目のグランドスラム制覇。世界ランキングで初めて1位に立った。

この後、フェデラーは2009年までほぼ毎年2回以上優勝というハイペースでグランドスラムタイトルを積み上げ、2009年には唯一の「全仏オープン」優勝を飾り、27歳にして生涯グランドスラムを達成。これはサンプラスに並ぶ14回目の優勝でもあった。それまでの3年間ずっと、ローランギャロスの決勝でナダルに敗れていたフェデラーは、ナダルを4回戦で破ったロビン・ソダーリング(スウェーデン)を決勝で下した瞬間、コートに座り込み、両手を空に掲げて喜びを示した。

「子どもの頃の夢は“ウィンブルドン”で優勝することだったけど、それは5回成し遂げた。ローランギャロスという最後に残っていたグランドスラムタイトルをついに手にすることができて、最高の気分だよ」と当時フェデラーは述べている。

フェデラーはそれから1ヶ月経たないうちに「ウィンブルドン」も制し、サンプラスを抜いて当時の歴代最多記録で単独トップに立つ。この栄誉は、ロディックとの16-14という95分間にも及ぶ最終セットを戦い終えた末に得たものだった、

2010年以降はナダルやジョコビッチの活躍もあり、フェデラーの優勝ペースはダウン。それでも彼はライバルたちの前を走り続け、2017年の「全豪オープン」では2016年に負った膝の怪我から復帰した直後にもかかわらず18回目の栄冠を手にした。錦織圭(日本/ユニクロ)、スタン・ワウリンカ(スイス)、ナダルというトップ10選手たちを相手にフルセットを戦い抜いている。

「あれは思い出深い大会の一つだ。少なくとも歴代トップ5に入るね。カムバックを果たして、ケイ、スタン、そしてラファとフルセットを戦ったんだから。ラファとは何度もタフな試合を戦ってきたけど、ここで対戦するなんて思ってもみなかったよ」

その後、フェデラーは2017年の「ウィンブルドン」、2018年の「全豪オープン」で優勝し、グランドスラム優勝回数を20に伸ばした。2009年にサンプラスを抜いて以来、ずっと記録を更新し続けてきたフェデラーだが、20回目の優勝の前にはさすがに普段とは違う心境になっていたという。トロフィー授与式でのスピーチ中に感情がこみ上げ、最後は涙を浮かべながら「ありがとう」と語った彼は、「試合の間ずっと、20回に手が届くかもしれないと考えていて、一日中ナーバスになっていた。負けたら、勝ったらどうしようと思ってね」と明かしている。

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2019年の「ウィンブルドン」ではジョコビッチとのおよそ5時間に及ぶロングマッチに敗れ、21回目の優勝を逃したフェデラー。それでもグランドスラムでナダル、ジョコビッチをも上回る369勝を挙げ、20回の優勝、11回の準優勝を記録した。41歳を迎えた彼は膝の怪我により24年間の現役生活に幕を下ろすことになったが、そのカリスマ性と知性、博愛の精神とプロフェッショナリズム、そして美しく強いプレーによって、これからも世界中の人々の記憶に残り続けるだろう。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※アイキャッチ画像:2017年ウィンブルドンのフェデラー(Photo by Visionhaus/Corbis via Getty Images)
※記事中写真1枚目:2001年ウィンブルドンで対戦したサンプラスとフェデラー(CliveBrunskill/ALLSPORT)
※記事中写真2枚目:2019年ウィンブルドン決勝で対戦したフェデラーとジョコビッチ(GettyImages)

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