ネコに学ぶ「自然体で生きる方法」を哲学者が語る

ネコに学ぶ「自然体で生きる方法」を哲学者が語る

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  • 更新日:2020/10/28
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イギリスの政治哲学者であるジョン・グレイ氏は、古美術商である妻のメイコさんとともに、自宅で4匹のネコを飼っていたことがある愛猫家です。2020年の初めに、4匹のうち最後の1匹だったネコを23歳で亡くしてしまったグレイ氏が、かつて飼っていたネコから得た知恵を1冊の本にまとめて発表しました。

John Gray: 'What can we learn from cats? Don't live in an imagined future' | Books | The Guardian

https://www.theguardian.com/books/2020/oct/25/john-gray-what-can-we-learn-from-cats-dont-live-in-an-imagined-future

人類の歴史の中で、多くの学者や哲人たちがネコに魅了されてきました。理論物理学者のエルヴィン・シュレーディンガーは量子力学のパラドックスを説明するための思考実験「シュレーディンガーのネコ」を提唱し、16世紀のフランスを代表する哲学者のミシェル・モンテーニュは、「私がネコと遊んでいる時、ネコが私で遊んでいないとどうして分かろうか?」という言葉を残しました。また、合理主義哲学の祖と呼ばれているルネ・デカルトは、かつて人間以外の動物が意識を持っていないことを証明するためにネコを窓から投げてて、「ネコの悲鳴は機械的な反応だった」と主張したことがあります。

そんな合理主義について、グレイ氏は著書「Feline Philosophy: Cats and the Meaning of Life(ネコの哲学:ネコと人生の意味)」の中で、「合理主義の欠陥は、人間は理論を使って生きていけるという信念にあります。その信念に反して、人間はすぐに人間性を失いますが、ネコはネコであることをやめたりしません」と説いています。

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「ネコの哲学」の中でグレイ氏は、「ネコから学んだ自然体に生きるためのヒント」として、「人間を合理的になるよう説得しない」「苦しみに意味を求めない」「眠る喜びのために眠る」といった事項を挙げています。また、同書の中には「未来をいたずらに想像して不安がらない」という教訓についても記されています。

グレイ氏が未来への不安を恐れなくなったのは、グレイ氏が飼っていた最後のネコであるジュリアンの生き方に着想を得たもの。以下の写真に写っているネコが、グレイ氏が飼っていたバーマン種のネコであるジュリアンです。

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政治哲学者として、イギリスのEU脱退(ブレグジット:Brexit)といった政争や社会不安を目の当たりにしてきたグレイ氏は、「人は大義を目標に四苦八苦するあまり、かえって幸福を見失ってしまう」と考えるにようなりました。またグレイ氏は、「哲学者バートランド・ラッセルが指摘したように、第一次世界大戦の戦端が開いたとき、人々は退屈を中断させる方法として戦争を大いに歓迎しました」と述べて、しばしば人間は冷静な判断さえ見失ってしまうことも指摘しています。

そんな人間の生き方と、自然体で生きるネコの違いについて、グレイ氏は自著の中で「ネコは幸せになるために苦労を重ねるようなことをしないので、ネコは退屈しません。一方、人間は人生のほとんどを転位行動に費やす自己分裂した生き物です」と述べています。

さらに、グレイ氏はジュリアンら4匹のネコから学んだ生き方を総括して、「ネコは生きているという実感のために生きているのであって、何かを成し遂げるために生きているのではありません。一方、私たちは何か大局的な目的に固執しすぎて、生きる喜びを見失ってしまうことがあります。そんな大層なイデオロギーや宗教をいったん脇に置いてみると、後に残るのは一体何でしょうか?後に残るのは、生きているという感覚であり、それは素晴らしいものです」と結論付けました。

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byVera de Kok

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