総務省接待問題 第三者機関で徹底解明を

  • 西日本新聞
  • 更新日:2021/02/23

接待は幹部を中心に13人、延べ39回に及んでいた。公務員の倫理規程違反のレベルを超え、汚職もうかがわせる官民の癒着構図ではないか。これで決着というわけには到底いかない。

放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男が関与した総務省の接待問題である。同省がきのう、驚くべき調査結果を国会に報告した。

接待は秋本芳徳前情報流通行政局長ら当初の4人に加え、別の審議官級を含む9人が受け、5年前から続いていた。うち11人は職務上、首相の長男が「利害関係者」に当たるとして処分する方針を示した。他方で、事業の許認可への影響はなかったと結論付けた。

直ちには認め難い。特定事業者に組織的に便宜を図った疑いはないのか。背景に首相の影響力やそれに対する「忖度(そんたく)」がなかったか。野党はさらに徹底追及する構えだ。当然だろう。

首相はかつて総務相を務め、長男は秘書官の立場だった。現在、衛星放送を手掛ける東北新社子会社の役員である長男と秋本氏らに利害関係があることは調査を待つまでもなかった。

首相は問題が週刊文春で報じられた当初「自分と長男は完全に別人格」と語った。秋本氏は「東北出身者らの懇談」などと接待を否定し、放送事業に関する話はなかったと釈明した。総務省は調査中を理由に「利害関係」を認めようとせず、武田良太総務相は調査の終了前から「放送行政がゆがめられたことは全くない」と言い放った。

文春が接待時の録音データを報じ、放送事業が話題になったことが判明すると一転、総務省は利害関係を認め、処分に先立ち秋本氏と湯本博信前官房審議官の更迭人事を発表した。こうした経緯からみても、調査はずさんかつ不誠実極まりない。

首相は国会で接待について「自分は全く知らなかった」と弁明する一方、武田総務相の下でさらに調査を進める考えを示した。だが、それで国民が納得できるだろうか。重大な疑惑が発覚しても真摯(しんし)に受け止めず、身内の調査で取り繕って幕引きを図る-という図式は、一連の森友・加計(かけ)学園問題と重なる。

ここは第三者機関に調査を委ね、事実関係に加え、不祥事が続発する霞が関の体質など問題の背景まで解明すべきだ。

菅政権のキャッチフレーズは「国民のために働く内閣」だったはずだ。今回は、首相自身の立場も含め、それに強い疑念が生じる事態である。透明性と説得力のある調査を命じる姿勢が首相になければ、国民の政治への信頼は揺らぐ一方だろう。

首相は自らの責任が問われていることを深く自覚すべきだ。

西日本新聞

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