厚生年金と国民年金、平均額が年間100万円以上も違う理由とは

厚生年金と国民年金、平均額が年間100万円以上も違う理由とは

  • LIMO
  • 更新日:2022/09/27

住民税非課税世帯への5万円支給をめぐり「年金生活者はずるい」は誤解?

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住民税非課税世帯への5万円支給をめぐり、一部では「年金生活者への優遇」という意見もあります。

住民税非課税世帯の多くは高齢者が占めているため、不満の矛先が向いてしまったものと考えられます。

しかし、高齢者が全員「そこそこの年金をもらいながら住民税も非課税になっている」というのは誤解です。

例えば厚生年金を受給している人としていない人とでは、平均の差額は年間100万円以上に上るのです。

年金受給額について詳しく見ていきましょう。

【注目記事】年金を増やしすぎた夫婦を待つ悲劇。手遅れになる前に知っておくべき繰下げ受給の仕組み

【写真】日本の年金制度は厚生年金と国民年金の2階建て

1. 厚生年金と国民年金の受給額平均は100万円以上違う

昨今では住民税非課税世帯への5万円支給をめぐり、「年金生活者への優遇」という意見もあります。

しかし、実際の受給額を知っている方はあまり多くないのではないでしょうか。

リアルな年金受給額を見ていきましょう。

1.1 厚生年金の平均月額

〈全体〉平均年金月額:14万4366円

〈男性〉平均年金月額:16万4742円
〈女性〉平均年金月額:10万3808円

※国民年金の金額を含む

1.2 国民年金の平均月額

〈全体〉平均年金月額:5万6252円

〈男性〉平均年金月額:5万9040円
〈女性〉平均年金月額:5万4112円

厚生年金と国民年金の平均差額は8万8114円。年額にして105万7368円です。100万円以上も差があるとすると、「年金生活者はずるい」と一概に言えないことがわかります。

ここまで差が出るのは、そもそも厚生年金と国民年金には保険料や受給額の決まり方が違うことに理由があります。

2. 公的年金には2種類ある!厚生年金と国民年金を整理

ここで日本の年金制度を整理していきましょう。

私達が将来受給する公的年金には、国民年金(基礎年金)と厚生年金があります。さらに受給要件によって「障害年金」「遺族年金」「老齢年金」にわかれます。

今回は原則65歳に到達すると受給できる「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」にフォーカスをあてます。

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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

図のような2階建てをイメージするとわかりやすいのが、日本の年金制度。

1階部分が老齢基礎年金(国民年金)となり、日本に住む20歳から60歳未満の方が加入します。保険料は一律で、40年間納付すれば満額(2022年度の月額は6万4816円)が受給できます。

2階部分が老齢厚生年金で、主に会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入し、保険料は報酬比例制となっています。

厚生年金には満額という概念がなく、納めた保険料や加入期間によって受給額が決まります。

つまり、現役時代の働き方によって年金受給額は大きく異なるということです。自営業やフリーランス、専業主婦などは国民年金のみの加入になるため、受給額は少ない傾向にあります。

公務員や会社員は厚生年金があるため手厚いですが、その分保険料も多く納めています。ただし、保険料の半分は事業主が負担していることも忘れてはなりません。

報酬月額が17万5000円~18万5000円の方の厚生年金保険料は3万2940円ですが、事業主と折半することで本人負担は1万6470円。一方、2022年度の国民年金保険料は一律で1万6590円です。

同じような保険料を納めても、将来の年金受給額には差が出てしまうということですね。

3. 厚生年金の受給額もピンキリ

ここまでの内容を読むと、自分は厚生年金に加入しているから大丈夫と感じるかもしれません。

しかし、厚生年金の受給額もピンキリであることには注意しましょう。

先程の例である「報酬月額17万5000円~18万5000円」の場合、将来の年金額が平均である14万4366円に届くのは難しいでしょう。

実際の受給額のピンキリ状況を見ていきます。

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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 厚生年金の受給額ごとの人数

1万円未満:10万511人

1万円以上~2万円未満:1万8955人

2万円以上~3万円未満:6万6662人

3万円以上~4万円未満:11万9711人

4万円以上~5万円未満:12万5655人

5万円以上~6万円未満:17万627人

6万円以上~7万円未満:40万1175人

7万円以上~8万円未満:69万4015人

8万円以上~9万円未満:93万4792人

9万円以上~10万円未満:112万5260人

10万円以上~11万円未満:111万9158人

11万円以上~12万円未満:101万8423人

12万円以上~13万円未満:92万6094人

13万円以上~14万円未満:89万7027人

14万円以上~15万円未満:91万3347人

15万円以上~16万円未満:94万5950人

16万円以上~17万円未満:99万4107人

17万円以上~18万円未満:102万4472人

18万円以上~19万円未満:99万4193人

19万円以上~20万円未満:91万6505人

20万円以上~21万円未満:78万1979人

21万円以上~22万円未満:60万7141人

22万円以上~23万円未満:42万5171人

23万円以上~24万円未満:28万9599人

24万円以上~25万円未満:19万4014人

25万円以上~26万円未満:12万3614人

26万円以上~27万円未満:7万6292人

27万円以上~28万円未満:4万5063人

28万円以上~29万円未満:2万2949人

29万円以上~30万円未満:1万951人

30万円以上~:1万6721人

幅広い金額に分布していることがわかります。

4. 年金だけで生活できる高齢者は24.9%だけ

厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金のみで生活している世帯は24.9%だけであることがわかりました。

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出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

年金は確かに生活を支える柱となりますが、それだけで老後を暮らせるというわけではありません。

年金生活者は羨ましいというイメージのあった方も、考え方が変わる数字かもしれませんね。

これは今の高齢者の問題だけではありません。やがて老後を迎える現役世代にとっても、何らかの対策が必要となるでしょう。

国民年金か厚生年金かだけでも年間100万円以上の差額が出る年金。そのピンキリ事情を知ることで、老後対策の第一歩としてみましょう。

参考資料

日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)」

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

太田 彩子

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