第1回「事業再構築補助金採択企業」分析調査

第1回「事業再構築補助金採択企業」分析調査

  • 東京商工リサーチ(TSR)
  • 更新日:2021/07/26

新型コロナウイルス感染拡大で売上減や需要回復が遅れる企業が多い中、「事業再構築補助金」が注目されている。これは中小企業の新分野への進出、事業・業種・業態の変換、事業再編を推し進めるための補助金で中小企業庁が支援している。
第1回公募の応募件数は2万2,231件。要件を満たさなかった書類不備等を除いた申請件数は1万9,239件で、そのうち採択企業は8,016件(採択率41.6%)だった。事業再構築補助金事務局(以下、事務局)によると、採択率は秋田県や岡山県、高知県などで高かった。また、書類不備など不備率が低かったのは、徳島県や富山県、和歌山県などで、地域でも温度差が出た。
採択企業の8,016件のうち、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで7,043社を分析すると、業種別(中分類)では飲食店が構成比12.1%と最も高かった。次いで、金属製品製造業は同6.2%、生産用機械器具製造業が同5.2%と製造業の採択が目立った。また、売上高別では、1億円以上5億円未満が同44.8%と中小企業が多く、直近決算では減収が6割(同60.0%)を占めた。
コロナ関連支援で企業倒産は抑制されているが、業績の回復が遅れ過剰債務に陥った企業は多い。第2回申請は7月2日に終了し、第3回申請は7月下旬から開始の予定だが、コロナ禍で傷んだ中小企業の事業再構築への取り組みが期待される。

※本調査は、事務局が公表した第1回事業再構築補助金採択企業リストを基に、TSR企業データベース390万社とマッチングし、分析した。

事務局が公表した第1回公募の応募と採択結果によると、応募件数は2万2,231件だった。このうち、申請要件を満たしたのは1万9,239件(構成比86.5%)で、2,992社(同13.4%)が書類不備などで要件を満たさなかった。1万9,239件のうち、審査を経て採択されたのは8,016件(同41.6%)で、約6割が採択されなかった。
採択率トップは、秋田県の57.1%。次いで、岡山県52.6%、高知県52.1%と続く。申請不備率が少なかったのは、徳島県6.5%がトップ。富山県8.4%、和歌山県9.0%の順だった。

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採択金額は1,500万円以下が約5割

事務局によると、採択金額(全類型合計)は100万円以上1,500万円以下が全体の46.0%を占めた。最多は4,501万円以上6,000万円以下が27%、100万円以上500万円以下が19%、1,501万円以上3,000万円以下17%と続く。
申請に必要な事業計画の検討を支援する認定支援機関別では、採択率(その他を除く)は、民間コンサルティング会社が47.6%でトップだった。次いで、中小企業診断士・行政書士47.4%、金融機関45.3%の順。不備率でも民間コンサルティング会社は11.5%と最低で、金融機関11.8%、中小企業診断士・行政書士12.3%の順。民間コンサルティング会社と金融機関、中小企業診断士・行政書士が採択率、不備率ともに好結果だった。

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産業別、業種別

第1回事業再構築補助金の採択企業のリストと東京商工リサーチの企業データをマッチングし、抽出した企業を分析した。
産業別では、飲食業を含むサービス業他が2,456社(構成比34.8%)で最多だった。新型コロナの影響が重く、採択企業も多かった。
次いで、製造業の2,307社(同32.7%)。新分野展開や事業転換を目指す企業が多いとみられる。卸売業581社(同8.2%)、建設業541社(同7.6%)、小売業484社(同6.8%)と続く。
サービス業他や製造業の比率が高い一方で、運輸業は98社(同1.3%)にとどまり、運輸業は事業再構築補助金の採択件数が少なかった。
業種別(業種中分類)では、飲食店が853社(構成比12.1%)で最多だった。コロナ禍で休業や時短営業などが打撃となり、事業の再構築を進めているようだ。次いで、金属製品製造業が442社(同6.2%)、生産用機械器具製造業372社(同5.2%)、経営コンサルタントなど専門サービス業299社(同4.2%)、食料品製造業249社(同3.5%)と続く。

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業績別ほか

直近の売上高が判明した採択企業を分析した。最多は、1億円以上5億円未満の2,116社(同44.8%)。次いで、1億円未満825社(同17.4%)で、5億円未満が6割(構成比62.3%)を占めた。5億円以上10億円未満821社(同17.4%)、10億円以上50億円未満802社(同17.0%)と一定の売上高をあげる企業の採択も目立った。
事業再構築補助金は、中堅企業も申請することができ、100億円以上が28社(同0.5%)、50億円以上100億円未満も62社(同1.3%)が採択された。
2期連続の業績が比較可能な企業の増減収を分析した。コロナ前やコロナの影響が少ない決算期もあるが、減収が2,573社(構成比60.0%)を占め、売上不振の企業が目立った。
一方、増収は1,257社(同29.3%)で約3割にとどまった。もっとも補助対象は、任意の3カ月の売上高減少が要件のため、コロナ禍で急激に売上が悪化した増収企業も採択された。
損益が判明した企業を分析した。黒字が2,385社(構成比72.3%)、赤字は911社(同27.6%)と黒字が7割強を占めた。
決算期によりコロナの影響の深刻度が相違するが、コロナ禍でも黒字を確保する変化への対応力の高い企業が補助金を申請しているようだ。
業歴別では、30年以上が2,588社(構成比36.7%)が最多だった。老舗企業は事業の柱を持つ一方、自力での変化は難しいとみられ、事業再構築補助金の申請が多かった。
次いで、10年以上30年未満が1,441社(同20.4%)、3年以上10年未満658社(同9.3%)と続き、新設法人の利用は限定されているが、個人企業の採択は目立った。

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事業再構築補助金は長引くコロナ禍で、業態転換などで業績改善を目指す企業への支援を目的にしている。中小企業庁などは、事業再構築を通じて事業の拡大や高い成長率の実現を期待する。
コロナ禍の収束が見通せず、過剰債務で経営者のあきらめや息切れによる廃業、倒産が目立っている。事業再構築や業種転換は、ある程度の資金余裕は必要だが、それだけにとどまらず技術力や営業開拓力、経営者の熱意など、コロナ禍で埋没した企業と経営者の特色を発掘する力量も認定支援機関には求められる。

東京商工リサーチ(TSR)

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