
山陰中央テレビ
紹介するのは、おなじみの「リカちゃん人形」ですが、見慣れたものとは少し雰囲気が違います。
可愛らしいセーラー服、学校の制服をまとっています。
実際の米子西高校の制服で、学校の創立120周年を記念し、在校生、卒業生など関係者限定で販売されます。
思い出の詰まった制服ですが、リカちゃんが着ているセーラー服は今、姿が消えつつあるようです。
その背景には、やはり時代の変化がありました。
「制服オリジナルリカちゃん」高校の同窓会などからの依頼を受けて、その学校の制服を着用した特別版のリカちゃん人形です。
リカちゃんの発売元の会社が2007年からサービスを提供、これまでに、全国27都府県、60校の制服をまとったリカちゃんが登場しています。
岡部楓子アナウンサー:
「私が高校時代に着ていた、こちらの制服も、リカちゃん人形になっています」
リカちゃんの制服は、スカーフに、腕の部分に刺繍など、細かい部分まで丁寧に「本物」が再現されています。
岡部楓子アナウンサー:
「母校が創立100周年を迎えた時に両親が購入してくれました。貴重な記念品として家で飾っています」
写真などとは一味違う、思い出の品として、好評だといいます。
この制服版リカちゃん、山陰でも誕生することになりました。
米子市の県立米子西高校。
創立は1906年。
まもなく120周年を迎えます。
東京オリンピック・ボクシング金メダリストの入江聖奈さん、そして、テレビでもおなじみのタレント・イモトアヤコさんなどの母校です。
制服は、紺色の生地に3本の白ラインが入ったセーラー服。
襟の右側には校章が刺繍されています。
この制服をまとった「リカちゃん」が再来年、2025年1月に、販売されることになりました。
山陰初の制服版リカちゃん、2000体の限定販売ですが、すでに多くの予約が入っているそうです。
鳥取県立米子西高等学校 鳥羽道仁副校長:
「創立120周年で、本校の同窓会がりかちゃん人形を制作しようと声を上げた。
伝統のある学校で、2万人を超える卒業生がいる。大勢の人に親しんでもらっているセーラー服なので、皆に懐かしんでもらえれば」
米子西高校のルーツは、明治39年、1906年に開校した私立の「米子高等女学校」。
当時の制服は現在とは全く異なるデザインだったそうです。
鳥取県立米子西高等学校 鳥羽道仁副校長:
「本校の記録だと、昭和初期にはセーラー服の原型があったが、現在のかたちになったのが、昭和40年前後」
戦後、県立の高等学校になり、1949年からは米子西高校として男女共学に。
制服は、デザインを変えながら、1965年ごろ、今のスタイルになったといいます。
生徒:
「米子西高校のデザインが本当に再現されていてびっくりした。
(リカちゃん人形は)小さいころから持っていて遊んでいたものなので、それがまさか自分の学校とコラボするとは思っていなくて、とても嬉しい」
ところで、米子西高校の制服に採用されている「セーラー服」、その起源について制服メーカーに聞きました。
山陰管公学生服株式会社 山木規道さん:
「イギリスの水兵が着ていた服が起源とされている。当時欧米では、こども服として水兵の服が用いれられていたということがあり、その影響からだといわれている。欧州文化が日本に入ってきて、スカートとのセパレート式になり、波及していった。最初に採用されたのは1889年。愛知県の金城女学校だと言われいる」
国内で学校の制服になってから実に130年を超える歴史がありました。
しかし。
山陰管公学生服株式会社 山木規道さん:
「ブレザータイプの制服を選択する学校が増えてきている」
セーラー服からブレザーへ。
制服として長い歴史を持つセーラー服は姿を消しつつあるのだそうです。
このメーカーの調査によると、男子は、詰襟のいわゆる「学ラン」とブレザータイプがほぼ同じ割合ですが、女子の主流はブレザーでセーラー服は1割ほどにとどまっています。
セーラー服「衰退」の背景は。
山陰管公学生服株式会社 山木規道さん:
「性の多様性の配慮。性の多様性の尊重」
セーラー服=女子生徒というイメージが強いことから、性別に関わらず着ることができる「ジェンダーレス制服」として、ブレザータイプに切り替える学校が全国的に増えているということです。
米子西高校でも、セーラー服に加え、ブレザーを選択べるよう議論を進めているそうです。
一方で、卒業生にとって、セーラー服は青春時代のかけがえのない思い出の一つ。
時代が変わりゆくなか、母校の制服を誇りに。
各地で誕生する「制服版リカちゃん」には、そんな母校を思う気持ちが込められているのかもしれません。