バリウム誤嚥、73歳女性に後遺症 救急搬送されず、夫「真相調べて」

バリウム誤嚥、73歳女性に後遺症 救急搬送されず、夫「真相調べて」

  • 西日本新聞
  • 更新日:2020/11/20
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福岡市から業務委託を受けた公益財団法人「福岡県すこやか健康事業団」(現・ふくおか公衆衛生推進機構)が2015年に実施した胃がん検診で、同市西区の女性=当時(73)=が飲んだバリウムが誤って肺に多量に流入した際、救急搬送されず、肺から取り除けなくなっていたことが分かった。女性は重い後遺症を患い、今年夏に死亡。事業団側は「対応は適切だった」としているが、女性の夫は「きちんとした対応を取っていれば、バリウムは除去できたのではないか」と不信感を募らせている。

胃がん検診は15年8月、西区の公民館で行われた集団検診の一つで、巡回検診車内で実施した。

事業団側が夫にした説明によると、女性がバリウムを飲んだ直後、診療放射線技師による胸部観察で肺にバリウムが流入しているのが見えたため検診を中止。バリウムの排出処置を実施したが取り除けず、女性は検診医の指示でスタッフに付き添われタクシーで消化器科医院に移った。だが、医院でも排出できなかったため、さらに早良区の別の病院に移動。ここでも取り除けず、肺洗浄などの処置も行われなかったという。

夫によると、女性は肺にバリウムが固着した影響で体力が低下。その後、食べ物をのみ込む機能も衰え、胃に穴を開けて管で直接栄養を送る「胃ろう」を行っていた。一時は胃ろうを外すほど体力が回復したが、今年8月に亡くなった。

事業団側は、最初に救急搬送しなかった理由について「診察で重い症状は見受けられず、救急車を呼ぶより近くの病院で処置をする方が早いと判断した」と説明。一方、検診医の経験がある博多区の医師は「バリウムを使った胃検診は本来危険性が高く、固まるので肺に入ったら迅速な対応が必要。救急搬送をしなかった判断について詳しく検証する必要がある」と指摘する。

事業団側は取材に対し、女性側に入院費などを払うことで示談交渉していると説明。バリウム誤嚥(ごえん)後の女性への対応と死亡との因果関係については認めていない。また、こうした事故を防ぐため、現在、60歳以上には診療放射線技師がバリウムを飲ませながら胃を透視するなどの対応を実施しているという。夫は「胃検診の事故がこれ以上起こらないよう、真相を徹底的に調べてほしい」と話している。

(塩入雄一郎)

西日本新聞

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