東大生が囲碁将棋を真剣に学ぶ深いワケ「ただがゲーム」とは侮れない

東大生が囲碁将棋を真剣に学ぶ深いワケ「ただがゲーム」とは侮れない

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2020/11/22

―[貧困東大生・布施川天馬]―

現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆根強い人気を誇る囲碁と将棋

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みなさんはゲームは好きですか? ビデオゲームはもちろん、カードゲームやテーブルゲームなど、最近は手軽に遊べるゲームの種類がさらに増えてきましたよね。

たとえば、パーティゲームの「人狼」はここ数年で一気に知名度を上げてきましたし、ビデオゲームに目を向ければ、11月12日に発売になったPS5が世界的に売れています。また、電車の中では年代を問わず、スマホでゲームをしている人が増えているように感じます。

でも、今回の記事で紹介するゲームは「ドラクエ」や「FF」などのいわゆるテレビゲームではありません。トピックは古くから親しまれているテーブルゲーム、囲碁と将棋についてです。

みなさんは囲碁や将棋を遊んだことはありますか? 昔ながらのゲームではありますが、それぞれをテーマにした漫画が人気を集めたこともあり、今なお広い層に親しまれていますよね。しかし、実際にコマを動かして遊んだことがあるという人は、意外と少ないのではないでしょうか? やってみると、どちらとも非常に奥が深く、面白いゲームとなっています。

◆東大に囲碁と将棋の授業がある理由

運の介入する要素がなく、完全に互いの力量差だけで決着がつくという意味では「ゲームの究極系」といっても差し支えないかもしれません。

僕ら東大生の間でも囲碁や将棋は大変人気です! 趣味として囲碁や将棋のアプリを入れている学生はたくさんいますし、同好会だってもちろんあります。

さらには単位が出る授業として「囲碁や将棋を実際に打ちながら学ぶ」という講座さえもあります! この授業は囲碁や将棋の初心者向けに「囲碁で養う考える力」「将棋で磨く知性と感性」という講座名で開講されており、囲碁将棋の未経験者であれば、誰でも受けることができます。

それでは、いったいなぜ東大生は授業として囲碁や将棋を学ぶのでしょうか?

「囲碁や将棋には洞察力や戦略性などの思考力を鍛える効果がある」といった特徴はよく挙げられている気がします。実際、授業案内にもそのような力を伸ばすためと書いてあります。でも、僕はそれ以外にも理由があると思います。それは「コミュニケーション力」の向上です。

◆「東大のくせに仕事はできないんだな」に深く傷つく

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僕たち東大生が社会に出てから言われて、最も傷つく言葉があります。

それは「東大のくせに仕事はできないんだな」という言葉です。僕も、アルバイトの現場ではありますが、実際に言われたことがあります。

昨今、さまざまなメディアで東大生が取り上げられ、さながら「東大ブーム」といった様相を呈しています。東大というブランドがかなり持ち上げられている印象がありますが、同時に東大生への期待値が高まりすぎてしまっているようにも感じます。

そんな経緯もあり、少しでも仕事でミスをするとバカにされてしまうのではないかと、実は東大生の多くは怯えながら仕事をしているのです。

◆「東大までの人」というレッテル

さらに最近、よく聞くようになったのが「東大までの人」というワードです。

東大に入ったはいいが、社会にうまく適合できず、いわゆる「エリート街道」から外れてしまったという人もたくさんいます。

池田渓氏の著書『東大なんか入らなきゃよかった』(飛鳥新社)には、氏が実際にインタビューをして集めた「東大に入ってから人生が(主に悪い方向へ)激変してしまった人々」の生々しいエピソードが収録されています。

彼らの多くは好き好んでそのような生活を選んだわけではありませんが、「せっかく東大に入れたのに今は不本意な生活をしている」という現実に苦しみ続けています。

この本に収録されている「失敗してしまった人」のなかで、特に印象的だったのが職場での人間関係の構築に失敗してしまった人の話でした。東大卒業後、地元の地方公務員として就職されたというその方は、インタビューの口ぶりからすると、きっと職務上は優秀だったのでしょう。しかしながら、人間関係で失敗してしまい、うまく働けなくなってしまったというのです。

◆なぜ東大生は「コミュ障」だと自虐するのか?

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僕ら東大生はよく自虐として「コミュ障」という言葉を使います。

「自分はコミュニケーションが苦手なのです」という意味の言葉が頻繁に使われるほど、コミュニケーションが苦手だと自覚している学生が多いのかもしれません。

社会は結局、人間関係で構築されている部分が大きいですから、コミュニケーションを軽視しすぎたり、周囲にうまくアプローチできなかったりした人が「東大までの人」と呼ばれてしまうのかもしれません。

◆囲碁や将棋が伸ばしてくれる能力

冒頭で紹介したゲームの話に戻りますと、囲碁や将棋といった対人ゲームはそんな東大生が実は苦手としている分野の改善につながるのではないかと考えています。

囲碁も将棋も極めれば極めるほど、コミュニケーション能力が向上していくのではないかと僕は考えています。なぜなら囲碁や将棋で勝負を制するためには「今、相手は何をしたいのだろうか」と想像することが必須だからです。

囲碁や将棋は運要素が極限まで排除された一対一のゲームで、ゲームの勝敗はお互いのプレイヤースキルのみに左右されます。こうしたゲームには「偶然」が入り込む余地はほとんどないに等しいのです。

そのため、相手に勝つためには「相手の狙いは何か」「相手は何をしたいのか」「相手が嫌がる手は何か」「相手に利益を与えてしまう手は何か」など、目の前にいる人のことを深く考えなくてはなりません。徹底的に相手目線に立ちつつ、自分の要求を通さなくてはならないのです。これは交渉にかなり近い感覚ではないでしょうか。

◆やればやるほどわかる囲碁将棋の奥深さ

おそらく東大の教授たちは洞察力や戦略性を鍛えてほしいという願いから囲碁将棋を授業に取り入れているはずですが、僕にはそれ以上にコミュニケーション能力を向上させるための訓練であるように思えるのです。

「東大までの人」「東大からの人」という言葉についてはいろいろな意見があるかと思いますが、社会人として生きていく以上は、誰しもが人間関係をきちんと構築できるようにならなくてはなりません。

囲碁や将棋は遊びながらその訓練ができてしまう、非常に洗練された知的ゲームだと思います。

◆カードゲームでも地頭は鍛えられる

もちろん「囲碁や将棋だと難しすぎる!」「相手がいない!」という人もいるかもしれませんが、そうした場合には一対一で行うカードゲームなどをおすすめします。

こちらの場合は多少運要素に勝敗が左右されてしまうことが多いですが、東大生にもカードゲーマーは多いですよ!

ちょうど秋の三連休中ではありますが、東大教授も推奨する思考力・コミュニケーション能力を育てられるゲームで、楽しく地頭トレーニングをしてみるのはいかがでしょうか?

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布施川天馬

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】

1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中

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