セックスは愛の証?「愛している人同士はセックスをするもの」の落とし穴|臨床心理士が考える愛と性

セックスは愛の証?「愛している人同士はセックスをするもの」の落とし穴|臨床心理士が考える愛と性

  • ヨガジャーナルオンライン
  • 更新日:2022/05/13
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性の悩みは、こころと身体が影響しあう問題であるにも関わらず、悩んでいても「誰にも言えない」そんな人が多いようです。SNSを中心に性の悩みに関する情報を発信する臨床心理士の西田めぐみさんが、心と性にまつわる大切なお話を連載形式で綴ります。

子どもの頃、キスは愛しあう2人だけがするものだと思っていませんでしたか?私は思っていました。ましてやセックスなんて、キスをするよりさらに愛が深い2人が子どもを作る、もしくはもっと仲を深めるためにするものなんだと思っていました。それと同時に、愛しあう2人は必ずキスをするもので、セックスをするものなんだとも。みなさんはどうでしょうか?実はこの考え、大きな落とし穴があるんです。なにがどう落とし穴なのか・・・ぜひ一緒に考えていただけるとうれしいです。

人はどんなときにセックスするのか?

これを読んでくださっているみなさんは、どんな時にセックスしたいと思いますか?前述したように、好きな人をもっと知りたい、もっと近づきたい、お互いを感じあいたい、と思うときでしょうか。もしくは大切な人との子どもがほしい、と思うときかもしれませんね。

他にはどうでしょうか?男性であれば、少し疲れているときや魅力的な異性をみたとき。女性であれば、生理前や少しさみしい気持ちのとき。理由は個人差があると思いますが、人がセックスをしたくなる理由は実はたくさんあります(もちろん中には、そもそもそういう気持ちになったことがないという方もいます)。そしてその理由が人それぞれちがうのはもちろん、年齢によって性欲の強さやセックスがしたくなる理由が変化してくることも多くあります。

つまり、人がセックスしたくなる理由は様々で、愛だけがセックスの理由にはならないということですね。

いわゆる“愛のないセックス”は悪?

じゃあ、恋人同士でもなく愛しあってるというわけではない2人がするセックス。いわゆる“愛のないセックス”というのも、セックスしたくなる理由の分だけあると思われます。思われますというか・・・これだけスキャンダラスな世の中ですから、実際にたくさんあるというのはきっとみなさんもご存じですよね。

最近ではワンナイトやセフレ(セックスフレンド)とも言われる、カジュアルセックスも謳歌していますし(もちろんみんながしているわけではありませんよ)、男女ともに日本は性風俗がとても盛んでバラエティ部にも富んでいます、でもこれらはあまりポジティブな意味合いでは使われないことの方が多いように思います。

私自身、昔はパートナー以外の人とセックスする人に対してネガティブな印象を抱いていたこともありました。でも今は、お互いが同意したうえの行為ならそういうことになることもあるし、むしろ“愛のないセックス”に救われることもあるよなぁ、と思っていたりします。

愛という暴力と勘違い

これです。これこそまさに落とし穴。「愛している人同士はセックスをするものだ」という思いが強すぎると、「愛しているからセックスをしなければならない」もしくは「セックスをした、だからそこには愛がある」という勘違いに発展することもあります。

例えば、自分はまだパートナーとセックスをする気持ちになれていないのに、「あなたが好きだからセックスしたいと思っているのに、あなたは僕のことを好きじゃないんだね…」と言われて、「好きな人に嫌われたくないから」「好きな人同士はするものらしいから」と乗り気ではないのにセックスするというようなパターン。「相手が好きだからセックスしたい」、この考え自体は間違いではありませんが、相手にも同じ価値観を押しつけることは賛成できません。ましてや愛を盾にされてしまうと、相手は従わざると得なくなってしまいます。これは暴力と同じ。愛しているからこそ、本当にお互いが納得できるタイミングで進めていきたいもの。

別の視点でみると、パートナーがセックスに対して積極的ではないからといって相手のことを好きではないという方程式も成立しません。そういう場合がないとはいいませんが、もともと性欲があまりない、セックスに対するなんらかの信念がある(結婚してからしたいなど)、セックスそのものに対してあまりポジティブなイメージを持っていない、ただ疲れているなど様々な理由が考えられるので、セックスの有無で愛は測れません。

そしてもう1つの勘違いは、「セックスした=相手は私のことを好き」というパターン。悲しいかな、この方程式は本当に成り立たないときがおおいにあるんですよね…。口のうまい人がワンナイト狙いで、「かわいいね、愛してるよ」と言って近づいてくる場合もあります。女性がちょっとした寂しさから男性になぐさめてほしい時もあります。中には、愛に発展することがあるかもしれませんが、ないことも確実にある…。「セックス=常に愛があるわけではない」ということも、悲しいですが頭に入れておきましょう。

セックスそのものではなく、プロセスを大切に。

まとめると、セックスそのものが愛というよりも、そのプロセスに愛が感じられるか、ということがとても大切なように思います。その中には愛があるセックスもあれば、愛のないセックスもあるかもしれない。でもどちらがいいとか悪いとかではなく、それぞれにストーリーがあって役割があると思うのです。ただどちらにしても、セックスするしないで愛を測ることはオススメしません。するしないではなく、その中のプロセスできっと愛を測るヒントはあると思います。例えば、怖いという思いを尊重してまた今度にしようと言ってくれたり、一晩だけの関係でも大事に扱ってもらえて安心できたり、風俗に行ってこころも身体もすっきりしたり…いろんなパターンがあると思いますが、そういう意味では、ワンナイトの関係であっても愛がないとは言い切れないかもしれない、なんて思ったりもします。

おわりに

これを書いている間、某CMの「そこに愛はあるんか!?」というフレーズがずっとループしていて…でもそういうことなんだと思います。どんな関係であっても、「その時間、そこに愛はあるんか!?」という問いに、「あったかも…」と思えたらいいですよね。

西田めぐみ

臨床心理士 / マインドフルネス認定講師。性のお悩みについて臨床心理士の視点から発信、カウンセリングを行う。オンライン心理カウンセリング「amariカウンセリングルーム」主宰。

西田めぐみ

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