今すぐ始めたい「疲れない心と体をつくる」新習慣

今すぐ始めたい「疲れない心と体をつくる」新習慣

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2022/01/15
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忙しいときほど意識的にティーブレイクを(写真:Gioia/PIXTA)

仕事や人間関係、家事など、がんばればがんばるほど肩に力が入り、うまくいかなくなる……。こんな経験を持つ人も少なくないかもしれません。まじめな人ほど、周りの目が気になり、肩に力が入りやすいといいます。

「肩に力が入った状態は健康にもよくありません。つねに緊張を感じ、リラックスできません。結果、自律神経のバランスが乱れ、健康を害するのです」と指摘するのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏です。

なぜ肩に力が入ってしまうのか? 力を抜くにはどうすればいいのか? 同氏の新刊『小林教授の肩の力を抜くとすべてよくなる』をもとに解説します。

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2020年来のコロナ禍は、私たちの体調のリズムを崩し、精神的な余裕を奪い、不安を大きくしています。こうした状況では物事がうまく運ばず、気持ちが落ち込みます。それが自律神経に悪影響を与え、余計に肩に力が入るという悪循環につながります。

自律神経が乱れる5つのシチュエーション

私は長年、自律神経について研究しながら、そのバランスが崩れるシチュエーションを観察してきました。その結果、次の5つの状況になったときに、自律神経に乱れが生じると考えています。

①余裕がないとき(時間がないことも含む)
②体調が悪いとき
③自信がないとき
④想定外のことが起きたとき
⑤環境が悪いとき

この5つをコロナ禍にある今の私たちに当てはめてみると、どれも身近にある状況だと気づくはずです。

①余裕がないとき→コロナ禍ではいろいろと行動が制限され、心に余裕がなくなります。
②体調が悪いとき→コロナ禍では程度の差はあれ、少なくない人が体調を崩しています。
③自信がないとき→コロナ禍では過去の経験が通用しない場面が続き、仕事でもプライベートでも判断に自信が持てません。
④想定外のことが起きたとき→コロナ禍そのものが、まさに想定外です。
⑤環境が悪いとき→1日中マスクで口をふさがれ、気軽に外食も旅行もできないなど、生活環境は悪化しています。

こうした状況が積み重なったことで、自律神経のバランスを乱され、副交感神経のレベルが低く、交感神経が優位になっている人が増えています。この「副交感神経の働きが低下、交感神経が優位」というバランスの乱れは、疲れを体に蓄積させます。

というのも、交感神経優位になると血管がぎゅっと縮こまり、血液の流れが悪くなり、免疫力も低下。疲労物質の排出もスムーズにいかず、「どうも調子が悪い」「疲れが取れない」という倦怠感の原因となるからです。

本来、交感神経は喜怒哀楽の感情が動いたときに働きが活発になります。喜んで興奮したとき、楽しくてワクワクしたとき、気分が高揚します。こうしたポジティブな感情による自律神経のバランスの乱れは、心身に心地よい疲れとして残るだけで、大きな問題にはなりません。

しかし、仕事のストレスや家庭内のトラブル、コロナ禍における緊張やいらだちなどによって高まった交感神経優位の状態は、心身に悪影響を及ぼします。

現代社会でストレスを感じずに生きるのは不可能です。しかも、そこにコロナ禍が加わりました。いわば私たちは、朝起きてから眠るまで、「交感神経を刺激し、副交感神経の働きを下げる要因」に囲まれているのです。

だからこそ、不安や不調と自律神経の関係を学び、今の自分の状況を把握していく知識を身につけることが、健康な自分でいるうえで役立ちます。

テレワーク中は出勤していた日々と比べると、打ち合わせや商談などの外出の機会も減り、パソコンやタブレットの前に座りっぱなしの時間が増え、どうしても運動量が落ちてしまいます。出勤するようになっても、商談などはオンラインで行い、運動量が増えない人も多いのではないでしょうか。

すると、血流が悪化し、自律神経が乱れていく負のサイクルに陥りやすくわけです。

体と心を支える技は「リズム」と「運動」

では、どのような対策を取れば、体と心を支えていくことができるのでしょうか。ここでは基本となる2つの技を紹介します。1つはリズム、もう1つは運動です。

自律神経を整えるのには、まず生活に一定のリズムを持つことが役立ちます。

毎朝、通勤していたときを思い出してみてください。前夜に少々飲みすぎたり、夜ふかしをしたりして、「胃がムカムカするな」「眠いな」と思いつつ目覚めても、洗顔、朝食、着替えなどの出勤に向けた準備を行い、家を出て歩き出し、公共交通機関を使ってオフィスに着く頃には、いくらかすっきりした状態になっていたのではないでしょうか。

これは仕事をする日の生活に一定のルーティンがあり、自分なりのリズムが整っていたからです。ルーティンをこなすうち、自律神経の働きが高まっていきます。

少々スタート時点での調子が悪くても、仕事が始まるタイミングではそこそこの状態に戻っている……、そんな変化は誰もが実感とともに体験しているはずです。

ところがテレワーク、リモートワークでは、自分でリズムを組み立て直さなければなりません。職種や職場によってはフルリモートが日常になったり、週に数回の出勤を求められたりと、その形もさまざまです。

テレワークは融通が利く分、逆にリズムが乱れやすくなります。だからこそ、自分でルーティンを決め、リズムを作りましょう。毎日決まった時間に起きて、決まった時間に働き始め、決まった時間にランチを取り、決まった時間に休憩を入れ、終業する……、これが1つめの技となります。

リズムを作るうえで、とくに重要なのが「休憩」です。

私はイギリスやアイルランドで働きましたが、向こうの人たちは16時になると、どんなに忙しくてもティータイムに入りました。あの規則正しさは見習いたいところです。

ある程度、仕事の時間を調整できるのであれば、休憩は短く、頻繁に取ることをお勧めします。というのも、人が1つの作業に集中し続けられる時間は、長くても45分程度だからです。1つの作業を45分やったら、15分の休憩を入れる。その60分のワンセットを繰り返していくと、質の高い集中状態を維持しながら仕事ができるはずです。

そして、15分の休憩中に取り入れたいのが、「運動」です。これが2つめの技となります。

小林教授が実践するのは「スクワット10回」

休憩だからといって、座り続けているとうっ血します。血流を促すために、短時間でもいいので体を動かしましょう。

私が実践しているのはスクワットです。ひざを深く曲げてしゃがむ必要はありません。大腿筋に軽く負荷がかかる程度の“ゆるスクワット”で十分。1回の休憩中に10回やれば、血流は改善されるでしょう。

しかも、1日単位で計算すると、50回以上スクワットをすることになるので、筋力も増やす運動習慣にもなるのです。

スクワットなど、自分の体1つでできる筋トレを習慣化することは、長期的に見ても健康を増進します。特に人間は足腰が弱ると他にも悪影響で出て、一気に老け込んでいくからです。

足腰のなかでも「太もも」と「ふくらはぎ」は、とくに重要です。人間の筋肉の6割以上が下半身に集中しています。なかでも、太ももについている大腿筋はもっとも大きな筋肉です。

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生活習慣病の原因となる内臓脂肪を燃焼するには、基礎代謝量を上げることが必要で、それには筋肉をつけることが1番です。つまり、大きな筋肉である大腿筋を鍛えることは、代謝アップの近道になるのです。

ふくらはぎ(下腿三頭筋)は心臓と同じく血流を促すポンプの役割を担っています。この筋肉を刺激し、伸縮させると重力によって下半身で停滞しがちな血液を心臓に戻す流れを支えることができます。つまり、血流を改善する効果が得られるわけです。

運動量が減りがちな昨今だからこそ、リズムよく休憩を取り、体を動かしましょう。

(小林 弘幸:順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター)

小林 弘幸

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