「私、普段はこんな格好しないんです」いつもと全く違う女の姿に、思わず心を揺さぶられた男

「私、普段はこんな格好しないんです」いつもと全く違う女の姿に、思わず心を揺さぶられた男

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2020/10/23

「恋愛では、男が女をリードするべきだ」。そんな考えを抱く人は、男女問わず多いだろう。

外資系コンサルティング会社勤務のエリート男・望月透もまさにそうだ。これまでの交際で常にリードする側だったはずの彼。

ところが恋に落ちたのは、6歳上の女だった。

年齢も経験値も上回る女との意外な出会いは、彼を少しずつ変えていく。新たな自分に戸惑いながら、波乱万丈な恋の行方はいかに…?

◆これまでのあらすじ

透は、年上の美女・朱音と距離を縮めようと努力するも、突然幼なじみの千晶が現れて…。

▶前回:「彼、あんなオバさんが好きなんてありえない」20代女が、35歳の美女に勝つため企んだコト

No image

「私は、ほうれん草とベーコンがいいなぁ」

ショーケースの前で、朝食のキッシュの種類を悩んでいた透は、背後から声をかけられた。

「えっ?」

その声に驚いて振り返ると、千晶が笑って立っていた。

「お決まりですか?」

後ろの客も待っているし、早くオーダーしてほしいという顔をした店員に急かされる。

「…ああ、じゃあほうれん草とベーコンのキッシュ。あと、ホットコーヒーを」

会計を終えた透が店内に目をやると、千晶が手を上げた。そして「ここに座ってるね」と、2人掛けのテーブルに来るよう合図をしている。

−なぜ今日もいるんだ。

透の頭は混乱し、焦りからか、嫌な汗がじんわりと広がっていく。

今日は、朱音がカフェに来ることになっている。昨日彼女と電話で、明日はカフェで会おうと約束したのだ。千晶が今日も来るなんて、想定外だ。

「なんで今日もいるんだ?」

コーヒーを受け取った透は、つい責めるような口調で聞いてしまう。

「私がこのカフェに来ちゃいけない理由、あるの?」

千晶は涼しい顔をして、なんでそんなことを聞くのかとでも言いたげだ。

「はあ…」

透が困り果ててため息をついた次の瞬間。

「おはよう」

背後から、今度は朱音の声が聞こえた。

困惑する透は、どうにかして朱音に話しかけようとするが…?

2人の女で

「透さんと私は、ここに座るので」

千晶は、朱音に対してきっぱりと言い放ち、透にも早く座るように促した。

「あ、いや…。その…」

2人の女性の間で透は困惑し、いかにも優柔不断な男といった言動をすることしか出来ない。

「あらそう。じゃあ、私は他の席に座るわ」

朱音はそう言って、2人が座るテーブルから遠からず近からずの席へと腰を下ろした。

−本当に最悪だ。

目の前の千晶も、少し離れた席に座る朱音も、どちらも何事もなかったかのように仕事を始める。

だが透は違う。もちろん仕事をしている振りをしているが、全く集中出来ない。今すぐにでもこの場から逃げ出したい気分だ。

いや、でも千晶と朱音を2人だけにするのも怖い。

不意にその時、透は千晶を見て、昨日と何だか雰囲気が違うことに気づいた。ブラックのシックなワンピースに、パールのイヤリング。

昨日はいかにも健康的なハツラツとした美女という印象を受けたが、今日はグッと色っぽさを感じさせるのだ。

千晶は真剣な表情でPCに向き合っているが、時々視線を外して、コーヒーを口に運ぶ。

マグカップを持ち上げた時にワンピースから覗く引き締まった二の腕には、不覚にもドキっとしてしまう。

その視線に気づいたのか、千晶は「なに?」と意地悪そうに微笑んだ。透は慌てて目を逸らした。

朱音の前で、自分は一体何を考えているのだ。

No image

「休憩中なら相談に乗ってほしいんだけど。これ…」

透の様子から仕事にキリがついたと思ったのか、千晶は今取り組んでいる企画書の話を始めた。

少しでも透が位置をずらせば、肌に触れてしまうのではないかというくらいに顔を近づける。

その度に、彼女から甘ったるい香りが漂い、透の鼻腔をくすぐる。

「少なくともうちの調査部の人たちの結果ではね。みんなで立ててる仮説では…」

まともに話をしているのは千晶だけ。透は、千晶の香りや、美しく長いまつ毛に気を取られてしまう。

「じゃあこれは…」

その瞬間、ポケットの中でスマホが振動していることに気づいてハッとする。

「うわ、やばい」

スマホを取り出して、表示された通知に透は慌てた。チームリーダーからの連絡だった。

だいたい予想はついている。透が担当している案件について、直前になってクライアントから延期の連絡があったと聞いている。そのことで確認したいことがあるのだろう。

「その件なんですけど…」

込み入った話になるので、店内で電話するわけにはいかない。透は、スマホを耳に当てたまま、急いでカフェの外に出た。

透を徐々に侵食し始める千晶。それを眺めていた朱音だが…?

宣戦布告

「こんにちは」

朱音はあっけに取られていた。向かい側の席には、なぜか千晶がにっこりと微笑んで座っている。

彼女はついさっきまで透と話していたのだが、透が席を外した間に、なんと朱音のところにやってきたのだ。

確かに朱音も、二人が何かを話し込んでいるのが気になって、時折その姿を盗み見てはいた。しかし、まさかいきなりこっちにやってきて、断りもなく正面に座るなんて。その無遠慮な態度には呆れかえってしまう。

「…こんにちは。それ、素敵ね」

ひりひりと痛むような強い視線をこちらに向けてくる千晶に、努めて冷静に対処しようと、朱音は彼女のワンピースを褒めた。

しかしそれが良くなかったらしい。千晶は不敵な笑みを浮かべて、こう言ったのだ。

「参考にさせていただきましたから」

思ってもみなかった回答に、一瞬耳を疑った。

「え…?どういうこと?」

「本当はもっとラフな格好が好きなんですけど。こんなワンピースも、パールイヤリングも、パーティーの時くらいしか着ません」

千晶はこともなげにそう言った。何が言いたいのか分からず、朱音は首を傾げる。

「透さんは今あなたのことが気になってる。それは明らか。だから、あなたのどこがいいのかってことを研究しようと思って。

服装も香水も変えてみました。さっきの彼の反応をみる限り、こういうのが好きなんだなって確信しました」

千晶は、透が出て行った扉を眺めながら言った。朱音は、まるでビジネスのようなそのやり方に驚いてしまう。そして自信たっぷりに言い放つ彼女を前に、怖気付いてしまった。

しかし千晶は、畳み掛けるように続けた。

「透さんのこと、どう思ってますか?」

こんな直接的に感情を表現できるのも、若さゆえなのだろうか。朱音は透の顔を思い浮かべながら、ぼんやりと考えた。

No image

「彼は…」

そう答えかけて、朱音は言葉に詰まった。まだ1回デートしただけだ。

しかもあの時の自分は、傷つきたくなくて心に蓋をしていた。友人の指摘を受けて、ようやく自分の気持ちにちゃんと向き合おうと思っていたところだったのに。

だが、素直な気持ちを千晶に話すのは憚られた。

‐そもそも、彼女に首を突っ込まれる筋合いはないもの。まともに取り合って、正直に話す必要ないわ。

朱音は自分にそう言い聞かせたが、本音を言えば、別の理由があった。こんなにも自信たっぷりでエネルギーに溢れる彼女に、正面から立ち向かうのは怖かったのだ。

「別になんでもないのよ。彼とは」

本当の気持ちとは裏腹なものだったが、何も思っていないように装ってしまう。どうか、これに満足して席に戻ってほしいとばかり願っていた。

ところが、千晶はキッと睨みつけた後で、あざ笑うかのようにこう言った。

「うそつき」

あからさまに挑発的な態度をとってくる千晶という女に、朱音は思わずゾクッとした。何かこう、狂気的な負のエネルギーのようなものを感じずにいられないのだ。

「…ごめんなさい。失礼しますね」

これ以上その場に居たくない一心で、朱音は逃げるように席を立って店を出た。

−朱音さん…?

店の外で電話をしていた透は、店を飛び出していく朱音の姿に胸がざわついた。彼女の顔は、どこか悲しそうで、辛そうだ。

自分が外に出ていたこの一瞬の間に、彼女に何か起きたのは間違いない。

ーまさか千晶が、何か…?

透の脳裏に、昨日から自分の周りをウロウロする千晶が浮かんだ。

▶前回:「彼、あんなオバさんが好きなんてありえない」20代女が、35歳の美女に勝つため企んだコト

▶︎Next:10月24日 土曜更新予定
千晶が信じられない行動に出る!その頃、朱音の気持ちにも変化が…。

【婚活に関するお悩みを大募集!】
~婚活の悩み、もしかしてメイクで解決できるかも? ~

「とにかく婚活に苦戦中」「彼氏を結婚に踏み切らせたい」etc、さまざまな婚活のお悩み。見せ方ひとつであなたの婚活がもっと楽しくなるかも!?

皆様のアンケートをもとに作成した記事は、後日東カレWEBで配信いたします!
以下リンクからお答えください。
(取得した個人情報は、当社個人情報保護方針に則し、募集完了後、速やかに破棄いたします)

アンケートはこちらから>>>

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加