バッファロー「WSR-3200AX4S」レビュー、手ごろな価格のWi-Fi 6無線LANルータの実力

バッファロー「WSR-3200AX4S」レビュー、手ごろな価格のWi-Fi 6無線LANルータの実力

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/02/22
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iPhoneやAndroidスマートフォンは、ここ1年ほどの間にWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)準拠の無線LANを搭載した端末が一気に増えた。ノートPCでも、Wi-Fi 6準拠の無線LAN搭載がほぼ標準になってきている。

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しかし、Wi-Fi 6対応のスマートフォンやノートPCを使っているのに、自宅のWi-FiルータはWi-Fi 6対応ではないという人も少なくないようだ。理由として、Wi-Fi 6対応ルータの多くが、高価格帯の上位モデルばかりだったという点が大きい。

2020年後半くらいからは、普及価格帯のWi-FiルータでもWi-Fi 6への対応が進んでおり、Wi-Fiルータの売れ筋価格帯である実売1万円前後の製品にも、Wi-Fi 6製品が続々と登場している。こういった状況を見る限り、Wi-Fi 6は本格的な普及期に入ったと言っていいだろう。

普及価格帯のWi-Fi 6ルータでも特に人気となっているのが、バッファローの「WSR-3200AX4S」だ。ここでは、WSR-3200AX4Sの魅力を見ていきたいと思う。

○80MHz・4×4で最大2,401Mbpsの高速無線LAN通信

WSR-3200AX4Sは、バッファローがリリースしている無線LANルータの中ではスタンダードモデルの位置付け。実売価格は税込11,000円前後(2021年2月中旬時点)と、無線LANルータとして最も売れ筋の価格帯ということもあり、2020年11月末の発売以降、高い人気が続いている。WSR-3200AX4Sの魅力は、Wi-Fi 6対応ルータとして十分な性能を備えつつ、コンパクトで設置しやすいボディを実現していることだ。

そのボディは、バッファローの無線LANルータとして標準的な縦置きスタイルを採用。本体サイズは160×160×37.5mm(スタンド含まず)と十分にコンパクトで、設置場所に困らない。また、Wi-Fi 6対応ルータの上位モデルは大型の外部アンテナを備える製品も多いが、WSR-3200AX4Sはアンテナを本体に内蔵しているため、外観がスッキリしている。

こういった小型でシンプルなボディは、特に家庭に設置する場合に大きな利点となるだろう。スタンドは底面だけでなく、側面に装着することで横置きにも対応する。市販のネジを別途用意して、壁掛け設置も可能だ。

正面には動作状況を示すLEDインジケーターとAOSS・WPS用のボタンを配置。背面には、ルータの動作を切り替えるスイッチ(ルータ、アクセスポイント、中継器)、インターネット回線接続用のWANポート×1、LANポート×4がある。コンパクトボディながら、アンテナは5GHz帯域用×4本、2.4GHz帯域用×4本を内蔵。Wi-Fi 6で最大2,401Mbosの高速通信に対応と、普及価格帯としては十分な性能を備えている。
○WSR-3200AX4Sの通信速度

5GHz帯域
・IEEE 802.11ax:2,401Mbps(80MHz・4×4)
・IEEE 802.11ac:1,733Mbps(80MHz・4×4)
・IEEE 802.11n:600Mbps(40MHz・4×4)
・IEEE 802.11a:54Mbps
2.4GHz帯域
・IEEE 802.11n:800Mbps(40MHz・4×4)
・IEEE 802.11g:54Mbps
・IEEE 802.11b:11Mbps

細かな仕様を見ると、2,401Mbpsの速度を発揮するのは、5GHz帯域のWi-Fi 6で帯域幅が80MHzの4×4通信時(4ストリーム)となる。帯域幅160MHzに対応したハイエンドモデルは、4×4通信時の最大速度が4,803Mbpsとなるが、このあたりが価格帯に合わせた違いだ。

ただ、現在販売されているWi-Fi 6対応スマートフォンのほとんどが、帯域幅80MHzの2×2通信までの対応となっているため、WSR-3200AX4Sでも最大限の速度が発揮できると考えていい。それに対し、ノートPCでは帯域幅160MHzの2×2通信に対応する製品が増えており。こうしたノートPCでは最大限の速度が引き出せない可能性もある。

それでも、従来のIEEE 802.11acと比べると最大速度は約1.4倍だ(80MHz・2×2通信時で比較すると、IEEE 802.11acは最大867Mbps、Wi-Fi 6は最大1,200Mbps)。Wi-Fi 6対応によるスピードアップは得られると考えていいだろう。

○有線LANは1000BASE-T(Gigabit Ethernet)対応

有線LANポートは、上記のようにWAN×1、LAN×4という計5ポート。数としては必要十分だが、すべて1000BASE-T対応だ。通信速度は最大1,000Mbps(1Gbps)のため、無線LAN側の最大通信速度よりも遅く、無線LANの速度を最大限引き出せないことになる。

Wi-Fi 6対応ルータの上位モデルでは、無線LANの速度を最大限引き出せるように、通信速度が最大2.5Gbpsの2.5GBASE-Tや、最大10Gbpsの10GBASE-Tなどの高速な有線LANポートを備える製品も多い。2.5GBASE-Tや10GBASE-T対応の有線LANを搭載するにはかなりのコストがかかるため、低価格なスタンダードモデルでは搭載が難しく、仕方のない部分だ。

ただ実際には、この点が問題になることはほぼないと考えていい。なぜなら、Wi-Fi 6対応のスマートフォンやノートPCを接続した場合の通信速度は、ほとんどの場合、帯域幅80MHzの2×2通信で最大1,200Mbpsとなるからだ。そして、IEEE 802.11acの80MHz・2×2通信では最大867Mbpsとなることを考えると、Wi-Fi 6対応によって有線LANの速度を最大限引き出せるようになり、LANポートに接続した有線LAN機器との通信も高速化するだろう。

○機能面も必要十分

WSR-3200AX4Sは機能面でも、スタンダードモデルの無線LANルータとして十分なものだ。無線LANルータとしての利用に加えて、無線LANアクセスポイント、無線LAN中継器としても使える。

無線LANは2.4GHz帯域・5GHz帯域それぞれに最大3つずつのSSIDを設定でき、SSIDごとにLAN接続機器との通信を遮断する隔離設定も可能だ。標準でLANへの接続を遮断し、インターネットにのみ接続できる「ゲストポート」機能もあるため、訪ねてきた友人に無線LANを提供する場合などに便利。また、2.4GHz帯域と5GHz帯域に同じSSIDを設定したとき、電波強度によって自動的に接続帯域を切り替えて安定した通信が行える「バンドステアリングLite」機能も用意している。

無線LANのセキュリティ機能は、暗号化設定として最新のWPA3をサポートしているため万全だ。ほかにも、SSIDの隠蔽機能となるAny接続拒否、MACアドレス制限など、基本的な機能は網羅している。

インターネット接続はIPv4とIPv6に対応し、PPPoE接続はもちろん、IPoE/IPv4 over IPv6接続もサポート。国内の大手ISPが提供している、OCNバーチャルコネクト、v6プラス、IPv6オプション、transix、クロスパスといったIPv6接続方式に対応しているため、安心して利用できる。

インターネット接続のセキュリティ機能としては、ファイアウォールやIPフィルターなどの基本的な機能はもちろん、サイバー攻撃の防止や悪質サイトへの接続遮断といった機能を提供する「ネット脅威ブロッカー」も搭載。ネット脅威ブロッカーは有償サービスだが、標準で「ネット脅威ブロッカーベーシック」の1年間ライセンスが付属するため、まずは1年間試してみるといいだろう。

上位モデルとは異なり、リモートアクセス機能や簡易ファイルサーバー機能などは省かれており、機能面はどちらかというとシンプルだ。Wi-Fiルータに必要な機能は一通り備えているため、セキュリティ面と合わせて不満なく利用できる。

○有線LAN相当の高速な転送が行え、混雑にも強いことを確認

では、Wi-Fi 6接続でどの程度の速度が発揮されるのか見ていこう。比較用に、IEEE 802.11ac(以下、11ac)対応モデルとしてバッファローの「WHR-1750DHP2」を用意して、そちらでも速度計測している。

まずはじめに、Wi-Fi 6対応の13.3型ノートPCである富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK UHシリーズ WU2/E3」を使い、デスクトップPCの内蔵SSDとの間で約2GBのファイル転送にかかる時間を計測。(1)LIFEBOOK WU2/E3を1000BASE-Tの有線LANで接続、(2)WSR-3200AX4Sを介してWi-Fi 6接続、(3)WHR-1750HP2を介して11ac接続、という3パターンで行った。計測時、無線LANにつながった機器はLIFEBOOK WU2/E3のみとしている。

転送時間は、下り(デスクトップPCからノートPC)と上り(ノートPCからデスクトップPC)をそれぞれ5回ずつ計測。いずれの場合も、上り・下りでほぼ差がなかったため、今回は上りと下りを合わせて平均を出している。計測時の無線LANリンク速度は、Wi-Fi 6接続時が1,200Mbps、11ac接続時が867Mbpsだった。

結果を見ると、Wi-Fi 6接続は有線LAN接続とほぼ遜色のない転送時間だったのに対し、11ac接続は有線LAN比で7秒ほど多く時間がかかった。WSR-3200AX4SのWi-Fi 6接続は、1000BASE-Tの有線LANとほぼ同等の速度が発揮されている。リンク速度を考えると当然の結果かもしれないが、無線LANでも有線LAN相当の高速なデータ転送が行えるのは大きな魅力だ。

■約2GBのファイル転送時間と実効スループット
・1000BASE-T有線LAN接続:約19.2秒(約833Mbps)
・WSR-3200AX4SのWi-Fi 6接続:約20.8秒(約769Mbps)
・WHR-1750HP2の11ac接続:約27.9秒(約573Mbps)

次に、無線LANが混雑している場合の転送速度をチェックしてみた。無線LANでは、接続機器が増えてそれぞれが同時にデータ通信を行うような環境だと、速度が低下する場合がある。Wi-Fi 6は「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」という仕組みを導入しおり、混雑時でも速度低下が発生しづらく、混雑に強いとされている。

そこで、Wi-Fi 6対応のスマートフォン×2台を同時に無線LANルータへ接続し、両方からYouTubeにアクセスして4K動画を再生。この状態で、先ほどと同じようにデスクトップPCとノートPCの間でファイル転送時間を計測した。

結果は、WSR-3200AX4SのWi-Fi 6接続は、ノートPCだけを接続したときと比べてほとんど差がなかった。接続機器がWi-Fi 6に対応している必要はあるものの、WSR-3200AX4SのWi-Fi 6接続なら、多くの機器を同時に接続しても大幅な速度低下は発生しづらいと考えられる。それぞれの機器を快適に利用できそうだ。

対してWHR-1750HP2の11ac接続は、ノートPC単体接続時より2秒ほど遅くなった。数字だけ見ると、11acの速度低下もそれほど大きくないと感じるかもしれないが、無線LAN機器×3台の同時通信でこれだけ速度が落ちるということは、より多くの機器をつなぐとさらに遅くなる可能性が高い。利用しているPCやスマートフォンがWi-Fi 6に対応しているなら、11ac対応ルータをWi-Fi 6対応ルータへ買い換えることで、大きな効果が見込めそうだ。

■スマホ×2台を同時接続した場合の、約2GBのファイル転送時間と実効スループット
・WSR-3200AX4SのWi-Fi 6接続:約21.1秒(約758Mbps)
・WHR-1750HP2の11ac接続:約30.0秒(約533Mbps)
○11ac対応無線LANルータからの更新はもちろん、新規導入にもおすすめ

見てきたようにWSR-3200AX4Sは、Wi-Fi 6対応無線LANルータとして必要十分な機能や性能をしっかり押さえており、多くの人が不満なく使える製品に仕上がっている。そのうえで、実売価格が1万円前後ということで、コストパフォーマンスも高い。

今後はほとんどのPCやスマートフォンでWi-Fi 6が標準となっていくため、まだWi-Fi 6対応機器を持っていないという人でも、Wi-Fi 6対応の無線LANルータはいずれ不可欠になる。比較的手ごろな価格でWi-Fi 6対応を実現できるWSR-3200AX4Sは、Wi-Fi 6対応のPCやスマートフォンを手に入れたことで無線LANルータをWi-Fi 6対応に置き換えたい人はもちろん、新たに無線LANルータを導入する人、まだWi-Fi 6対応機器を持っていない人にも広くおすすめしたい。

平澤寿康

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