「『GTA』を現実世界でやっているような人物」ユ・ジテ、イ・ジュニョク、キム・ソジンが韓国ドラマ『ヴィジランテ』の役作りを語る

話題沸騰！韓国発ダークヒーロー描く『ヴィジランテ』

ディズニープラススターで独占配信中のオリジナル韓国ドラマ『ヴィジランテ』は、もうご覧になっているだろうか？現時点で第3～4話が配信されているが、生身の肉体を駆使した過激なバトルアクションや登場人物たちのスリリングなやり取りが1話毎に繰り広げられるものだから、次の配信をうずうずと心待ちにしているドラマファンも少なくないだろう。

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本作の主人公であり警察学校に通うジヨンは、法律で裁けなかった極悪人たちを拳で成敗するストリートの“処刑人”だ。つまり大手を振って応援できないダークヒーローというわけだが、演じるナム・ジュヒョクのスマートな佇まいもあって、いわゆる“無双”的な安心感を感じさせない脆さもある主人公である。一方、そんなジヨンを取り巻く人々は自信満々、超が付くほどのクセモノ揃いだ。

まるで巨木のようにマッスル化したユ・ジテほか韓国名優たちにインタビュー！

“フィジカルお化け”と称される怪力刑事チョ・ホンをシャツがはち切れんばかりの肉体で怪演するのは、パク・チャヌク監督の『オールドボーイ』（2003年）で強烈なインパクトを残した名優ユ・ジテ。ジヨンに肩入れする謎の大富豪チョ・ガンオクを、『野球少女』（2019年）や『犯罪都市 NO WAY OUT』（2024年2月公開）など作品毎にガラリと印象を変える“カメレオン俳優”ことイ・ジュニョクが、そしてヴィジランテの名付け親となる敏腕TV記者チェ・ミリョを『KCIA 南山の部長たち』（2020年）や『非常宣言』（2022年）などの骨太作品で抜群の存在感を放ってきたキム・ソジンが好演している。

そんな韓国の名優たち3名に『ヴィジランテ』で演じた役柄についてインタビューする機会を得たので、それぞれ個性豊かな人物像についてピンポイントで聞いてみた。撮影前から原作のウェブトゥーンを読んでいたというだけあって、それが役作りにも大いに活かされたようだ。

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ユ・ジテ「役柄とのシンクロ率は120％（笑）」

「『ヴィジランテ』にはリアルな表現だけでなく“漫画的な想像力”も必要だった」というユ・ジテは、コインを素手で捻じ曲げてみせるチョ・ホンの（※まるで「刃牙」的な）キャラクターについて、写実と漫画の“間”を取った演技を心がけたという。また、自ら「チョ・ホンとのシンクロ率は120％です（笑）」と豪語するだけあって、みっちりと鍛え上げられた肉体から発せられる圧力はすさまじく、振り下ろす剛腕の説得力はマ・ドンソクに比肩するレベルだ。

ジヨン＝ヴィジランテを演じるナム・ジュヒョクは原作の主人公よりも大柄で手足も長く、ユ・ジテは「よりカッコいいジヨンが誕生するだろうなという予感を抱いた」と述懐。そんなジヨンとチョ・ホンは共に警察組織に所属しており“犯罪者を裁くこと”についての共通点はあるはずだが、結果的に追う側と追われる側となる。そんな2人の「決定的な違い」について、ユ・ジテはこう語る。

チョ・ホンのセリフに、「たとえ法律に矛盾があっても、究極的には正しい道に進むのだということを証明してみせる」というものがあります。そのセリフが、チョ・ホンとジヨンの“正義に対する考え方”の違いを象徴していると思います。

イ・ジュニョク「『グラセフ』を現実世界でやっているような人物」

イ・ジュニョクは、財閥の二代目でありヴィジランテの肩を持つチョ・ガンオクという人物について、「ウェブトゥーンを読んだ時は、ちょっと大げさな人物だけれど面白いなと思った」と振り返りつつ、いざ自分が演じると「『これ、どうやればいいんだ……！』と思いまして（笑）」と、そのキャラクターの複雑さに直面したという。

望めば何でも手に入るであろうガンオクは一般人とは大いに感覚がズレていて、どちらかといえば犯罪者側に近い人物と言えるだろう。そんな彼にとって、ヴィジランテを追いかけることはスリリングなゲームのような感覚なのだろうか？

RPGのように“ロールを演じる”ことによって、別の領域に旅立つことができると思うんです。たとえば「GTA（Grand Theft Auto）」などのオープンワールドゲームは犯罪がテーマになっていますが、チョ・ガンオクはそれを現実世界でやっているような人物と言えるでしょう。

もちろん実際には、そういったゲームや漫画のようなことはできません。けれど、ジヨンの“ヴィジランテ”としての姿を見て、まるでゲームのように没頭してしまう人物がガンオクなんです。

そう語るとおり、当初は「漫画やゲーム、映画などを参考にしようとした」というイ・ジュニョクだが、「ドキュメンタリーやバラエティーなどを観て、ガンオクのような行動をする人が現実にいるんだということを知り、それを参考にしました」と、一筋縄ではいかないエキセントリックな役柄にリアルな重さを持たせるための努力を明かしてくれた。

キム・ソジン「外見的にも感情的にも思いっきりチャレンジできる役」

そして、ジヨンの私刑活動をいち早く嗅ぎつけ“ヴィジランテ”と命名する記者チェ・ミリョについて、「どんな状況でも、めげずに大胆に、といった芯の強さが非常に魅力的に映った」と語るキム・ソジンも、「私がこれまで演じたことのない、外見的にも感情的にも思いっきりチャレンジできる役だと思った」と、新鮮な経験になったことを明かす。

チェ・ミリョは、最初はヴィジランテの登場にとても興奮したり喜んでいる人物に見えますが、彼が一体どんな人物なのか興味を抱いていき、その実態を調べようとします。ですが彼の模倣犯が出てきたり、思いもよらない社会現象が起こるようになっていくんです。

ヴィジランテと“共存関係”にあるようにも見えるチェ・ミリョは、一方で観客の目線に最も近い人物とも言える。その複雑な役柄について、ユ・ジテは「チェ・ミリョはヴィジランテのことを報道しなければならない立場ですが、（TV局の人間として視聴者に）“刺激”も与えなければいけません。ゆえに“目に見えない駆け引き”も意識せざるを得ない、そんな役柄ではないかなと思います」と考察した。