亡き友をマンガで発信続け 精華大生殺害事件、被害者同級生の榎屋さん

亡き友をマンガで発信続け 精華大生殺害事件、被害者同級生の榎屋さん

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/01/14
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榎屋さんが2年前の1月に投稿した1作目の漫画。冒頭ではほほ笑む千葉さんが登場する

京都市左京区岩倉で2007年、京都精華大マンガ学部1年の千葉大作さん=当時(20)=が殺害された事件で、同級生のマンガ家榎屋克優(えのきや・かつまさ)さん(34)=東京都=が2年前から、亡き友を伝えるマンガをツイッターで発信している。描いたのは、いつも思い出す笑顔とプロにも負けない情熱。「千葉君がよみがえった気がする。事件を忘れないでほしい」。榎屋さんは風化にあらがい、発生15年となる今月15日にも作品を公開する予定だ。

いじめを受ける男子高校生がロック歌手を目指す代表作「日々ロック」で知られる榎屋さん。事件への情報提供を求める街頭活動に15年から参加する中、ある思いを抱いた。千葉君との記憶が薄れてきている―。

「マンガ家にできるのはマンガを描くことだ」。学生時代の思い出をありのままに残すことが事件解決につながるのではと、ペンを握った。19年1月15日、命日に合わせて5ページの漫画を投稿した。

『おはよ―、榎』。作品は、1年間の浪人生活を経て06年に入学した千葉さんの笑顔で始まる。

いつも友人に囲まれる姿に、18歳だった榎屋さんは『性格のいい奴が面白いマンガ描けるはずねーだろ』と嫉妬する。作品の意見交換でわざと酷評しても、千葉さんは『榎のマンガは熱量がハンパないよね~』と長所を見つけて褒めてくれた。榎屋さんは、ひそかに対抗心を燃やした。

ところが入学翌年の1月15日夜、千葉さんは突然の凶行に命を絶たれる。『一番、そんな目にあっちゃいけない人だった』。榎屋さんはひどいことを言ってしまった、と悔やむ。

卒業後、プロになった榎屋さん。楽しさの何十倍もある辛さに直面する中、才能とは何かを自問する。思い出したのは、机にかじりついて作品を描く千葉さんの後ろ姿だ。マンガを好きでい続ける力、才能が彼にはあったんじゃないか。

『彼が生きていたらマンガ家になれてたかどうかはわからない。でも、もっともっとマンガで喜びマンガで苦しめるはずだった』

こう記した作品は反響を呼び、投稿は2万件リツイート(転載)された。榎屋さんは「マンガを通じて、事件を知ってもらえたんじゃないか」と感じた。

昨年の命日に投稿した2作目は、榎屋さんと友人が街頭活動の後に千葉さんの親戚の男性と酒を酌み交わしたエピソードだ。なかなか進展しない捜査にいらだつ榎屋さんに、男性は優しく語りかける。『色んな人が大作の話をしたり大作のために動いてくれてる。それってすごいこと』

今年公開する3作目は、事件の風化を題材にする。「早く犯人が捕まってほしい。忘れないことが解決につながるはず」。榎屋さんは、そう信じている。

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