コロナ禍で誕生した「ワクチンツアー」 各国の富裕層が殺到

コロナ禍で誕生した「ワクチンツアー」 各国の富裕層が殺到

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/02/22
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旅先で新型コロナウイルスのワクチン接種を受けられる「ワクチンツアー」の存在が最初に伝えられたのは昨年12月、インドでのことだった。目的地はロンドンやニューヨークで、1人12万9000ルピー(約19万円)を支払えば、必要な隔離期間を経た上で現地の医療機関にてファイザー・ビオンテック両社が開発したワクチンの接種を受けられるというものだ。

接種費用は料金に含まれており、帰国前に少し市内観光もできるとされた。さらに、ロシアでの同国製ワクチン「スプートニクV」接種ツアーも検討されていた。

そして先月には、カナダの裕福な夫婦がプライベートジェットをチャーターし、主に先住民族からなる人口わずか100人のビーバークリークに入り、ホテル従業員のふりをしてワクチン接種を受けようとしたことが報じられた。また米紙ニューヨーク・タイムズによると、医師たちのもとには裕福なブローカーや企業役員から、2万ドル(約210万円)を払うのでワクチンを優先的に接種してくれないかといった問い合わせが相次いでいるという。

米フロリダ州では、同州の居住者かどうかにかかわらず65歳以上の人に優先的にワクチンを接種するとした行政命令に州知事が署名した結果、米メディア大手タイム・ワーナーのリチャード・パーソンズ元最高経営責任者(CEO)をはじめ、他州からフロリダに入り優先的に接種を受ける富豪が続出。地元テレビ局NBC6サウス・フロリダによると、こうした「ワクチン観光客」の中にはブラジルやアルゼンチンから訪れた人もいたという。

フロリダ州のある旅行会社は現在、65歳未満の人を対象にイスラエルへの旅を提供している(同国での入国規制により、対象者はイスラエル国籍の保持者限定だ)。この旅行代理店メモリーズ・フォーエバー・トラベル・グループを運営するロイ・ギャルは、フォックス35ニュースに対し、参加者は30~40代の人々で、イスラエル入国時に義務付けられている10日間の隔離を終えると、一日の終わりにワクチン接種センターに向かうと説明した。

「最後の時間まで待つと、使わなかったワクチンがたくさん余っていて、職員はそれを無駄にしたくないので外に出てきて『ワクチンが欲しい人はいないか!』と叫ぶ。ツアー参加者はそこで中に入って、接種を受ける」(ギャル)。参加者は往復チケット代の850ドル(約9万円)に加え、隔離期間から2回目のワクチン接種を終えて帰途に就くまでの約2カ月の滞在費として月2000ドル(約21万円)ほどを支払う。

また英紙ガーディアンが今月初めに報じたところによると、年会費2万5000ポンド(約370万円)の「旅行・ライフスタイルサービス」であるナイツブリッジ・サークルは、65歳以上の会員向けに、アラブ首長国連邦(UAE)で中国のシノファームが開発したワクチンの接種を受けるツアーを宣伝。ナイツブリッジ・サークル創業者のスチュアート・マクニールはニューヨーク・タイムズ紙に対し、このツアーを発表してから2000件の入会申し込みがあったと語った。

キューバとUAEもワクチンツアーを宣伝
UAEのドバイ首長国は最近、デジタルノマド招致策として、ドバイで1年間「海のそばで暮らし働く」ことができる上に、追加の特典としてUAE居住者全員が対象となるワクチンの接種も受けられるとアピールした。

仏経済紙レゼコーによると、キューバもまた、「ビーチとカリブ海、モヒート、そしてワクチン」という宣伝文句で外国人を呼び込んでいる。同国は、今年上半期中に自国製ワクチン「ソベラナ2」を1億回分生産し、接種することを目指している。

根強いメディカルツーリズム人気
ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国では新型コロナウイルスの世界的流行にもかかわらず、国内では高過ぎて受けられない治療のために海外に渡航しようとする人が今も多数存在する。

世界のメディカルツーリズムに関する情報を集めたガイド本「Patients Beyond Borders(国境を超えた患者)」によると、メキシコとコスタリカは歯科治療・美容整形・処方薬のための旅先として人気が高い一方で、整形外科や心臓血管系、がん、不妊治療などのより高度な処置ではタイやインド、韓国が人気だ。

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