「量子コンピューターのロードマップ」をIBMが公開、2023年にはついに1000量子ビットの大台に乗る計画

「量子コンピューターのロードマップ」をIBMが公開、2023年にはついに1000量子ビットの大台に乗る計画

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  • 更新日:2020/09/16
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byIBM Research

量子コンピューターとは、量子力学的な現象を用いて通常のコンピューターでは不可能な計算を行うことができるコンピューターです。量子コンピューターの分野をリードするIBMが、「量子コンピューター技術のロードマップ」を公開し、「2023年には1000量子ビット(Qubits)を超えた性能の量子コンピューターを実現する」といった長期的な目標を明らかにしています。

IBM's Roadmap For Scaling Quantum Technology | IBM Research Blog

https://www.ibm.com/blogs/research/2020/09/ibm-quantum-roadmap/

IBM publishes its quantum roadmap, says it will have a 1,000-qubit machine in 2023 | TechCrunch

https://techcrunch.com/2020/09/15/ibm-publishes-its-quantum-roadmap-says-it-will-have-a-1000-qubit-machine-in-2023/

2000年代半ばから量子コンピューターに関する研究を行ってきたIBMは、2016年5月に5量子ビットの量子コンピューターをクラウド上で公開し、外部からアクセス可能にしました。その後もシステムのさまざまなレベルで改良を重ね、記事作成時点ではIBMのクラウド上に24個もの安定した量子システムを維持しており、2020年9月には一部のメンバー向けに65量子ビットの「IBM Quantum Hummingbird」というプロセッサもリリースしたとのこと。

量子コンピューターをより大規模にする上で課題となるのが「エラー率の改善」であり、エラー率を改善しないまま量子ビットを増やしても性能が向上しません。そこでIBMはノイズの処理や量子ビット信号を読み出すための配線やコンポーネントの改善、信号処理待ち時間の削減などを通して量子コンピューターの性能向上に努めていると述べています。

ロードマップによると、IBMは2021年に127量子ビットの「IBM Quantum Eagle」をリリースし、2022年には433量子ビットの「IBM Quantum Osprey」、2023年には1121量子ビットの「IBM Quantum Condor」と、次第に量子ビットの数を増やしていく予定です。中でも2023年の「IBM Quantum Condor」は量子コンピューターにとっての重要な転換点になるそうで、これにより量子コンピューターの潜在的な利点を探求できると考えられています。

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IBMが公開したロードマップの中心となる使命は、「誰もがクラウド経由でアクセスできるフルスタック量子コンピューターの設計」だとのこと。IBMは将来的に「IBM Quantum Condor」を超える規模の量子コンピューターを開発する予定ですが、量子コンピューターの規模が大きくなると、冷却に使用する希釈冷凍機をより大きくする必要があるそうです。

そこでIBMは高さ10フィート(約3メートル)、幅6フィート(約1.8メートル)の「Goldeneye」というコードネームの希釈冷蔵庫を開発しています。「Goldeneye」は最大で100万量子ビットの量子コンピューターの冷却を念頭に置いて設計されており、将来的にはそれぞれが100万量子ビットの量子コンピューターを入れた「Goldeneye」同士を接続し、超並列量子コンピュータを作成することも計画されています。

IBM Researchのディレクターを務めるダリオ・ギル氏は、量子コンピューターの未来について、半導体産業の例を挙げて説明しています。初期の半導体産業は巨大なプロジェクトチームが集まって開発を行っていましたが、やがて半導体産業の一部分を担うサードパーティーベンダーが登場し、1つの企業が半導体に必要な全てのものを設計・開発・製造することはなくなりました。

これと同様のことが、今後の量子コンピューター業界で起きる可能性があるとギル氏は考えています。業界における複雑さが増すと、個々のプレイヤーが開発の全てを担うことが難しくなり、エコシステムに参加する個々のプレイヤーが自分の得意分野に注力して貢献するようになります。IBMはこうした将来の動きを見据えて投資を行っているとのこと。

また、IBMや多くの競合他社はより高性能なハードウェアの開発に取り組んでいますが、量子コンピューターにおいて重要なのはハードウェアだけではありません。量子コンピューター用のソフトウェア、つまり量子アルゴリズムや量子回路の構築も量子コンピューターの性能向上には必要であり、ソフトウェア面での取り組みもスタートするべきだとギル氏は主張しました。

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byCyberHades

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