こじ開けられた新章の扉 - 『サイン』 オウテカ

こじ開けられた新章の扉 - 『サイン』 オウテカ

  • rockinon.com
  • 更新日:2020/10/17
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90年代後半から2000年代にかけてアルバムを出す毎に革新的なリズム・アプローチを連発し続け確たる地位を築いたオウテカだが、2010年代に入ってからはそれまでの実験の結果を用いた総括のような様相の作品が続いていた。ただ、それも見方を変えれば、2枚組の『Exai』から5枚組の『elseq1-5』、極めつきの8枚組の前作『NTS Sessions.』に至るまで、ミクロよりマクロの面から音楽作品の形式への挑戦をストイックに続けてきたと捉えることもできる。そんな求道的な2人組がある種の限界までやりきった(8時間超である、8時間超)前作を経て、この2020年に再び新たな方向性へと大幅に舵を切ったのが本作だ。

オウテカの音楽の最大のストロング・ポイントといえば、一切の感傷を排し破壊力だけを濾過したリズムがひたすらに暴れまわるあの音像だと思っている。それが本作では、過去最大に上モノがフィーチャーされ、オウテカらしからぬほどにメロディが曲の中で大きな役割を与えられている。それゆえ、これまでになく聴きやすい。しかしながら、そのメロディにさえまるでエモーションを宿しておらず、無機質で殺気だけが充満したオウテカの音世界が作り上げられているのである。ビートの権化としてそれを使い尽くしたオウテカが、ビートの代わりにメロディを用いて作り上げたオウテカ。アイデンティティを堅持した上での、完全なる新機軸。そんな矛盾が、力業で成り立ってしまっているのだ。シーンの中でオウテカ・フォロワーとして次々と登場したかつての新鋭達がオリジナリティを発揮し存在感を増す中、ついに真打が放った会心の一撃。そんな感慨が、本作にはある。これでオウテカは、もう10年は我々を興奮させてくれる。そう確信させるに足る快作である。 (長瀬昇)

詳細はBEATINKの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。

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『rockin'on』2020年11月号

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