一部地域で「反乱」とも言われた「沖ドキ」撤去の真実。問題を通して見た、パチンコ業界の底力

一部地域で「反乱」とも言われた「沖ドキ」撤去の真実。問題を通して見た、パチンコ業界の底力

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2021/02/21
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沖ドキ!は大当たりをハイビスカスの点灯で知らせる機種だった。photo:プラナ / PIXTA(ピクスタ)

◆どれだけの店舗が「沖ドキ」を撤去しなかったのか?

筆者は、パチンコ業界における旧規則機の撤去の問題については何度か寄稿している。

特に年初の「沖ドキ」問題は業界を揺るがしかねない大事になるかも知れないという憂慮が、業界団体側に色濃く見られた。実際のところ、茨城県、栃木県、愛知県、岐阜県など、「沖ドキ」の人気が高い地域においては、業界団体が構成する「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」(以下、21世紀会)の決議に背く形で、多くのパチンコ店で撤去がされない、または再設置が行われるという事態を招いたが、ではパチンコ業界全体を見渡した時、この「沖ドキ」問題はどのような状況になっているのか-ー。

パチンコ業界における「沖ドキ」問題の外形については、「パチンコ業界が抱える、『沖ドキ!』問題のジレンマ」(HBO、1月16日)を参照していただきたい。

パチスロファンからの根強い人気があり、パチンコ店の売上にも大きく貢献していた「沖ドキ」が、年明け1月11日(一部地域では1月19日まで)に撤去の日を迎えた。この期日はあくまでパチンコ業界が独自に定めた内部規制の日程で、法的には5月まで設置が可能な機種であるが、「旧規則機の取扱いについて」という21世紀会の取り決めに対し誓約書を提出した多くのパチンコ店は約束通り撤去に応じた。

◆巷で言われる沖ドキ問題の真偽

業界団体側は、この「沖ドキ」に限らず、旧規則機を所定の期日までに撤去しないパチンコ店のあぶり出しを行うために、ホール4団体誓約書確認機関という機関を立ち上げ、「通報確認システム」というオンラインシステムを通じて、全国のパチンコ店や一般ファンから情報提供を募っており、このホール4団体誓約書確認機関が2月16日に明らかにした情報によれば、同システムが運用を開始した昨年10月以降、226店舗に沖ドキを始めとした旧規則機が設置されているという。

同機関では、都道府県別の設置店舗数も明らかにしており、その上位5県は、茨城県(66店舗)、愛知県(62店舗)、栃木県(26店舗)、千葉県(19店舗)、岐阜県(12店舗)となっている。一方、それ以外の件では1桁の店舗数であり、そのほとんどは0店舗~2店舗程度であると言う。

業界誌各誌やネット界隈では、この「沖ドキ」問題を取り上げ、栃木・茨城連合が中央に対し反旗を翻したと論じたり、また愛知県では大手パチンコ法人の100台規模の「沖ドキ」再設置したりしたことにより、21世紀会の目論見が瓦解しただのとファンたちも巻き込んで上へ下へのお祭り状態であるが、果たして本当にそうなのだろうか。

◆旧規則機問題に見るパチンコ業界の底力

古くからパチンコ業界は、団結とはかけ離れた業界であったと言っても過言では無い。当たり前だ。最盛期で18000店舗がひしめく産業で、そのほとんどが中小零細企業なのである。まして、地域によって法律の解釈やルールが変わるという特性もあり、全国一律で同じ方向を向くということが至極難しい業界であった。

全国のホールのほとんどが加盟していると言われている、全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)の統計によれば、2021年1月17日現在、全日遊連に加盟しているホール数は8886店舗であるという。全日遊連に加盟していないホールが、一般的には300店舗~500店舗あると言われているので、少なく見積もって現在日本には約9000店舗のパチンコ店があると推測される。

旧規則機の撤去に応じていないホール数は2月17日時点で226店舗。この数は、ホール4団体誓約書確認機関が運用する通報確認システムの総通報件数が1500件にも及ぶことから、大きくずれるものでは無いと考える。

単純に割っても、226店舗は全体の2.5%程度だ。逆に言えば、97.5%のパチンコ店が、法律よりも、21世紀会の取り決めに従ったということになる。この数字は、従来のパチンコ業界を考える時、驚異的と言っていい程のものだ。

◆パチンコ業界の脅威的な団結

ましてコロナ禍の最中である。どのパチンコ店も客数を大きく減らし、売上の減少は免れない。そのような状況下でも、収益の柱と言われた「沖ドキ」を外したパチンコ店。その背景には一体何があったのかについては、また別に分析する必要があるだろう。

ニュースというのは、事実ではない。そこには発信側の主観が大きく作用している。発信側の利害関係と言い換えても良い。時にコロナ関連ニュースが毎日報じられる昨今、世間の耳目はニュースで報じられる断片的な数字に惹きつけられがちだ。

コロナ関連ニュースであれ、パチンコ業界関連ニュースであれ、大事なのは全体感であり、そのニュースをどれだけ客観視出来るのかという個々人の分析力に拠るところが大きい。

兎にも角にも、「沖ドキ」問題を通して筆者はパチンコ業界の底力を見た。

勿論、一般の目には映らない内情もあるのだろう。それは業界関係者にすら見えていないのかも知れない。「沖ドキ」の撤去に応じたパチンコ店の真横に、撤去に応じていないパチンコ店があれば、正直者がバカを見たと思うのかも知れない。

ただ、客観的に導き出された「97.5%のホールが撤去に応じている」という現実的な数字には、今までにないパチンコ業界の団結力、もとい意地を見る思いである。

<取材・文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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