ベテラン記者コラム 二所ノ関親方がこだわる「2面土俵」に挑戦の意思がみえる

ベテラン記者コラム 二所ノ関親方がこだわる「2面土俵」に挑戦の意思がみえる

  • SANSPO.COM
  • 更新日:2022/06/23
No image

二所ノ関部屋の2面土俵。上がり座敷から指導する二所ノ関親方(代表撮影)

大相撲の二所ノ関親方(35)=元横綱稀勢の里=が師匠を務める二所ノ関部屋はさきに、茨城・阿見町で部屋開きを行った。同町は師匠の故郷、同・牛久市と隣接し、1800坪の広大な土地に2階建ての部屋が新築された。稽古場には通常1面の土俵が2面設置された、異例の「2面土俵」となった。

所属力士が多くても、部屋の稽古土俵は1面が通例だが、二所ノ関親方によれば、稽古の効率性や激しい稽古をする力士と故障を抱えて調整が必要な力士を分けられる利便性もあると説明する。

だが、50代のある師匠は1面の土俵には「他の力士の相撲をみる稽古もある」と、いわゆる見取り稽古の意味を説き、2面土俵のマイナス材料として、申し合い(勝った者が何度も取る)などで「他人を押しのけて土俵に上がるような集中力が散漫にならないか」とも指摘した。

2面土俵は数は少ないものの、過去にもあった。前田山が率いた高砂部屋、照国が師匠だった伊勢ケ浜部屋、幕内琴ノ若の祖父でもある琴桜が継承した佐渡ケ嶽部屋、そして二所ノ関部屋と続く。いずれも現役時代は番付最高位にのぼりつめた元横綱が師匠となった部屋ばかり。そこに先見性も感じられるが、相撲部屋の常識となって根付いてはいない。

関係者によれば、その当時の高砂部屋の2面土俵は1面が俵のある土俵、もう1面は俵がなく周囲を削った皿土俵だった。皿土俵は現在も高砂一門に受け継がれ、俵を埋め込む手間がかからず、土俵際では足の指で土を噛む意識が高まるといわれる。

現在、幕内宇良らが所属する木瀬部屋では九州場所の宿舎(福岡市東区)を構える稽古場が平成29年から一時期、「3面土俵」だったことがある。後援者のはからいで2面から改装。当時、土俵づくりに携わった呼び出しも「聞いたことがない」と驚いていた。

師匠の木瀬親方(52)=元幕内肥後ノ海=は三保ケ関部屋に所属していた自身の現役時代を振り返りながら「あのころは土俵の取り合いで、十分な稽古をするには朝5時から始めていた。でも、3面あれば十分にできるし、睡眠時間もしっかり確保できる」と歓迎していた。連日、複数の部屋から出稽古に訪れる力士も多く、3面土俵に50人以上が集まって稽古をしていた光景は壮観だった。

二所ノ関親方は「体も精神も一人ひとり違うので、しっかりみていかないといけない。一番いい稽古をできる環境づくりをしたい」。2面土俵には既成概念にとらわれず、挑戦という強い意思が透けてみえる。(奥村展也)

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加