「場所や距離の壁はとっぱらってほしい」 サンカクが目指す新しい地方支援のカタチ「ふるさと副業」とは?

「場所や距離の壁はとっぱらってほしい」 サンカクが目指す新しい地方支援のカタチ「ふるさと副業」とは?

  • ガジェット通信
  • 更新日:2020/10/16
No image

新型コロナウイルスによって、働き方や暮らし方は大きく変わっている。さまざまな物事が変化し、当たり前だと思ってきた常識からの脱却や自分を成長させる新たなチャレンジに進む人も多い。そんな中、注目されているキーワードが“副業”や“地方”。理由はテレワークの推進や本業の仕事に割く時間の減少によって、兼業や地方移住への関心が高まっているからだ。

株式会社リクルートキャリアによる社会人のインターンシップ・社外ディスカッション参加サービス「サンカク」は、そうした地方や副業にいちはやく着目。同社が独自に命名した、地方企業と都市部人材の共創を図る「ふるさと副業」を推し進めている。

サンカクが社会人向けインターンシップ交流イベントをオンラインで開催

No image

そんなサンカクが10月3日、石川県にある企業3社のテーマや課題に対し、参加者がアイデアを出す社会人向けインターンシップ交流イベントをオンライン開催した。地場企業と参加者との相互理解を深め、兼業・副業やUIターンなどさまざまな関わり合いの可能性を広げていくことを目的としたイベントだ。

参加企業は老舗菓子メーカーの株式会社柚餅子総本家中浦屋、高齢者施設や個人向けチルド惣菜を開発・製造・販売する株式会社大和、地元企業と地元学生をつなぐ雇用支援を行う株式会社ガクトラボの3社。

No image

イベントでは、介護施設の取引数拡大に向けたマーケティング戦略や顧客獲得に向けた企業向オンライン勉強会の企画など、各企業が用意した課題をもとに、参加者たちが具体的な施策を考案。個人ワークやグループワークを経て、各企業担当者の前で発表まで行った。企業側にとっても参加者にとっても、実際に地方企業と都市部人材が“副業”によってどのような関わり合いができるのかをよりリアルに探ることができる、濃厚な4時間となった。

参加者は事前に発表されていた会社概要やテーマから企業を選んだ上で、参加を申し込んだ人たち。居住経験があった人もいたが、石川県にゆかりがない人も多数いたことに驚いた。「自分自身の経験を活かして新たなフィールドでチャレンジしたい」という熱い思いで参加している人が圧倒的で、そこには一般的に捉えられている“副業”のイメージとは一線を画す雰囲気があった。

新型コロナで芽生えた「本当にやりたいことは何か」という問い

サンカクが提示している「ふるさと副業」とは一体どのようなものなのだろうか。イベント終了後、株式会社リクルートキャリアのマネジャーである古賀敏幹さんに詳しいお話を伺った。

――まず「ふるさと副業」について改めて教えてください。

古賀:我々が2018年に作った言葉でして、出身地や大学時代に住んでいたなど、所縁のある場所へスキルや力を副業という形で還元して、地域貢献しようという思想がベースになっています。地方企業に限らず、自治体や地域おこし団体など組織に対して仕事を担います。そして職種の限定はせず、コンセプトや気持ちを重視して企業と人材をマッチングしていきます。

これまでの例では、福岡の伝統工芸を使った商品やブランドを立ち上げた会社が「銀座にアンテナショップはあるが、物理的な距離の問題があって本社のコンセプトがしっかり銀座のスタッフに伝わっていない」という悩みを持っていました。そこで店舗運営を副業として担ってもらえる適材適所な人材をマッチング。スタッフ教育や、店舗のお客様の要望や銀座にある多店舗の情報を本社にフィードバックするといった本社と店舗の橋渡しのような役割をやってもらいました。

――新型コロナで「ふるさと副業」に変化はありましたか?

古賀:実際に「サンカク」のホームページ閲覧数伸び率は今年の4月を境に急増しました。まだ詳しく分析できていませんが、おそらく使える時間がある程度担保できるようになり、やりたいことの幅が広がったり可能性を考えたりする時間が増えたことが背景にあると思います。勤務地の既成概念が壊れたことで、仕事の選択肢が広がった人が「(東京以外の)地方で仕事をしてみたい」「本当にやりたいことは何か」を考えるようになっているのではないかと。

“副業”と聞くと、本業以外に収入源を持つだけの目的と捉えられることがあります。しかし、弊社が2018年に社会人向けインターンシップ交流イベントを行った際のアンケートでは、欲しい収入の項目に多くの人が「いくらでもいい」と回答しました。副業だからこそ、自分の可能性や本当にやりたいことに収入関係なくまっすぐに向き合いたい人が多いのでしょう。我々もそうした気持ちや思いに寄り添うことが大事だと思っています。

政府の関係人口(※)創出の動きで期待が高まる地方企業の秘めたる可能性

――サンカクが取り組まれてきている中で、「都市部人材を確保したい」「東京で経営拡大したい」と考えている地方企業がぶつかる壁として多いのはどういったことでしょうか。

古賀:多いのは営業先の開拓やプロモーション施策といった事業拡大の手段に対する壁です。そもそも人脈がない場合も多く、ゼロから開拓しなければならず、さらに人材が足りていない。地方で経験豊富な優秀な方との出会いは倍率も高く、担い手がなかなか確保できない現状があります。

また、ビジネストレンドが首都圏よりも少し遅れているとも感じます。そうした情報不足から「よくわからない」という状態に陥っている地方企業をいくつも見てきました。「DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI活用ってうちの会社にも役立ちそうだけどよくわからない」などのポイントで思考が止まってしまうのかもしれません。

――“副業”に対してポジティブなイメージがわかず、「真剣に自分の会社の仕事をしてくれないのではないか」と感じる企業もあるのでしょうか。

古賀:そもそも自社の社員に副業やリモートワークを許していない企業だと、その抵抗感があってなかなか受け入れられない企業もありました。ただ、今回のコロナで全国的に副業やテレワークがスタンダードになってきたので前向きになっている企業も多くあります。また、今は政府や県が関係人口創出や地方移住、そして副業を推進しようとする動きも出てきました。逆にそういった周囲の環境が整備されたり同じ地方企業の成功事例を知ったりすると、一気にその地方に「ふるさと副業」の流れが広がっていく可能性を秘めているとも感じていますね。

※関係人口:地域づくりの担い手となる地域外の人材。移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指す。

出典:関係人口とは|『関係人口』ポータルサイトhttps://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html

本業以外でフルスイングできるチャレンジの場を

――一方で、「地方で働きたい」「副業したい」と考える人たちがなかなかビジネスマッチングできない背景には何がありますか?

古賀:たしかに副業について知り得る手段や情報は不足しています。しかし、情報があっても最初の一歩を踏み出すにあたって不安要素が多いことも背景にあります。たとえば遠方にある旅館のマーケティング支援を行う副業の募集ページを見て申し込める人は、かなり限られているでしょう。興味があっても具体的イメージがつかめず、仕事に取り組むのが不安であることは一つの足かせです。また、1時間で終わる副業よりも数カ月かかる副業ならより難しい。一方で、時間単位の簡易的な副業はやりがいがないというジレンマもあります。

そのためサンカクでは、その企業のプロジェクトに参加したらかけられる時間や自分にできることについて、ロードプランニングを描くことで具体的なイメージを持ってもらうことを大事にしています。ただアイデアを創出して終わらせるだけではもったいない。そうした具体的かつ実践的なインターンシップを行ったことで、今回のイベントでは終了後に涙されるほど喜んでいた企業さんもいました。「こんなにも一日中、自社のことを考えてくれているなんて」と、参加者の熱量や積極性に感激されていましたね。

――12月には、石川県で第2回目となる社会人向けのインターンシップ交流イベントが行われますね。 これを読んだ地方や副業に興味を持っている方も参加したい気持ちがウズウズわいていると思います。最後に、サンカクや古賀さんがふるさと副業を提供していく現在の思いを教えてください。

古賀:過去の事例では、自分の持っているスキルをそのまま活かす人もいれば新しいフィールドにチャレンジした人もいました。またふるさと副業によって「本業にいいフィードバックがあった」という声も。支援先企業で働くことだけがゴールではないんです。

サンカクは個人のコミットメント・シフトを支援し、本業に軸足を置きつつも成長できる拠点を支援しています。サンカクの存在意義は、ビジネスパーソン一人一人がやりがいを持って生き生きできる機会を提供し続けること。「本業以外でもっとチャレンジしたい」、「今の仕事は収入の確保はできるけれども、もっと他でワクワクしたい」と思っている方々に、思いっきりフルスイングできる打席を用意しています。そのうちの一つが、ふるさと副業です。場所や距離という壁があるなら、サポートをします。そういう壁はとっぱらってほしいですね。

――本業だけでは体験できないことや本当に自分のやりたいことを実践でき、さらに知りえない自分の可能性に出会えるかもしれないのが、ふるさと副業なんですね。今回はどうもありがとうございました!

関連リンク:
【オンライン開催】石川県主催:企業の課題解決にサンカク!副業や現地インターンで継続的な支援も可。あなたのアイデアで石川県の企業を支援! by 石川県 │ 社会人のインターンシップ・社外ディスカッション参加サービス「サンカク」
※イベントは終了しました。
https://sankak.jp/event/ishikawa

取材・文/秋山悠紀、編集/西本心

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

ガジェット通信

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加