妹と書いた母への挑戦状「15体のぬいぐるみをこの部屋に隠した。頑張って探せ」

妹と書いた母への挑戦状「15体のぬいぐるみをこの部屋に隠した。頑張って探せ」

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/01/13
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私には妹がいる。私は大学3年生で、妹は高校3年生だ。

「2人で旅行に行く」とか「オシャレなカフェに行く」とかインスタで見るキラキラ姉妹のように特別仲がいいわけではない。

ただ、私も妹もなんとなく普段から、自分の部屋ではなくリビングにいる。夜10時以降、父と母は寝室にいるため、リビングには2人きりになる。そこでドラマを一緒に見てから「おやすみ!」と言い、それぞれの部屋に帰る、そんな日常を送っている。

大学生と高校生の姉妹にしては、一緒に過ごす時間が長いのではないかと我ながら思う。

妹にカミソリを握らせて私は服を脱ぐ。「ひと思いにやってくれ」と背を向けた

「挑戦状 15体のぬいぐるみをこの部屋に隠した。頑張って探せ」

私と妹は時々、朝一番に起きる母親に「挑戦状」を出す。

先日、いつも通り夜リビングに妹と2人でおり、テレビを見ていた。ふと妹が、部屋に15体ほど飾ってあるお手玉くらいのサイズのぬいぐるみの1つをとり、私に投げて来た。そこからキャッチボールならぬ、キャッチぬいぐるみが始まった。

結局こういう、ちょっとした遊びが楽しいのである。おばあさんになってもこの感覚は忘れたくないな、とすら思う。

10分ほどそんな遊びをしたところで妹が「このぬいぐるみを部屋隠して、お母さんに挑戦状書こう」と言った。もちろん私はその精神年齢の低い遊びに乗った。

そこから私と妹は、カーテンレールの上や、机の上のみかんの入っているカゴの中、本棚の隙間なんかに15体のぬいぐるみを隠した。そしてA4のコピー用紙を1枚取り出し、挑戦状を書いた。

「挑戦状 15体のぬいぐるみをこの部屋に隠した。探すまで家から出られない。頑張って探せ」

これを1番初めに目につくであろうテレビの画面に張っておき、次の日の朝起きてくる母親が気付くように、挑戦状を突きつけた。我ながら20歳も超えて何をしているんだろうと思うが、「何をしてるんだろう?」と思うようなことをできる時間があるほど幸せなこともない。

人との小さな共通点が、日常を楽しくする

翌朝、私はわくわくしながら起床した。リビングに行くと、そこには14体のぬいぐるみが並んでいた。そして母親が、「1体だけ見つからないよ~」と言った。

私は思わず吹き出した。忙しい朝の時間に、わざわざ14体のぬいぐるみを見つけ出してくれる母親がこの世にいるだろうか。

その後起きてきた妹に状況を報告すると、妹も全く同じように吹き出していたため、あぁ姉妹だな、なんて普段は思わないことを感じてしまった。

小さいことでも共通点があると言うことは、人間関係を築く上の必須条件なのかもしれない。同じタイミングで笑えるとか、同じ速度で歩けるとか、同じ音楽で頭を揺らせるとか。そんな小さな共通点が、日常を楽しくするのかもなと思った。

その後見つからずに残された、かくれんぼなら居た堪れない1体を私と妹で捜索したが、見つからなかった。心の底から「そんなことある?」と思ったが、本当に見つからなかった。我が家の耳の大きなゾウのぬいぐるみは、行方不明になってしまった。

自分の役割や存在を忘れられる、くだらない幸せな時間

私と妹は時々こんな遊びをする。

意味なんて全くないし、まして誰かに見て頂ける可能性のあるエッセイの題材にするようなものでもないかもしれない。

ただ、このくだらない遊びをしている時間は、私は自分がどんな存在であるかを忘れてしまえる時間である。

大学生だから真面目にレポートを書かないと、とか、就活生だから自分と徹底的に向き合わないと、とか、塾でアルバイトしてるから先生然としないと、とかそんなことを忘れられる。

まして、自分は真面目な人間だから煌びやかな世界は似合わないとか、容姿がよくないから可愛い服は着ない方がいい、などと考える隙間もない。

妹との遊びはそんな幸せな時間を作ってくれる。

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