地域経済は地盤沈下 不妊治療では大きな負担 1票に託す思いは

地域経済は地盤沈下 不妊治療では大きな負担 1票に託す思いは

  • 毎日新聞
  • 更新日:2021/10/14
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「政治には期待してない」。閑散とした商店街で本音を漏らす黒崎商店組合連合会の藤戸哲谷さん=北九州市八幡西区で2021年10月14日午後1時12分、上入来尚撮影

衆院が14日解散され、19日公示、31日投開票へ向けて事実上の選挙戦が始まった。新型コロナウイルスによる災禍が人々の暮らしに影を落とす中、有権者は1票にどんな思いを託すのか。

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「地域経済にも目を」

「コロナが広がって以降、夜なんか本当に人がいなくなった」。北九州市八幡西区の黒崎商店街。商店組合連合会の藤戸哲谷(ふじとてつや)会長(70)は昼もシャッターを下ろした店が目立つ通りで嘆いた。黒崎は1988年以降、都心の小倉とともに「北九州の副都心」と位置付けられ再開発が進んだ。しかし、北九州は市全域で人口減少が進み、黒崎も退潮に歯止めがかからない。

景気は一向に上向かず、藤戸さんも自身のブティックを3年前に閉めた。黒崎に人を呼び、商店街に回遊させていた百貨店も2020年8月に閉店。地盤沈下に拍車がかかる。「正直、政治には期待していない。地元の支持を受けて選ばれたはずなのに、有権者に向き合わず、どこを向いとるか分からん議員ばかりじゃないですか」

宝飾品販売店を営む50代の男性店主は「コロナで苦しんでいるのは飲食店だけではない。うちも店に来るお客さんはコロナ前の半分だ」と厳しい表情を浮かべた。対面を避けて通信販売で買い物をする消費者が増え、昔ながらの店舗は苦境が続く。「地域経済を守ってきた我々のような物販店にも目を向けてほしい」。男性は切望する。【山口桂子】

少子化対策「金銭面などサポートを」

少子化対策も解決の兆しが見えない政治課題の一つだ。しかし、子育て世帯の負担は物心ともに大きい。

「少子化は金銭面やケアのサポートがない限り解消しません」。夫と1歳11カ月の長男の3人で暮らす吉田美穂さん(45)=福岡県古賀市=の言葉には実感がこもる。2019年秋に長男を出産。その後、新型コロナウイルスの感染拡大が始まって、他の母親らと触れ合う「子育て交流」の機会が失われた。自宅から出られず産後うつ状態になり、北九州市のNPOによる看護師訪問ケアに救われた。

妊娠するまで数年間の不妊治療を経験。夫と営む店の仕事を調整して通院するのは大変だったが、加えて「受診の度に(1万円札が)束で消えた」。不妊治療を巡っては22年度、国が保険適用を拡大するなど前進もある。しかし、仕事との両立について企業などの理解が進んでいるとはいえず、周囲に黙って治療を続ける女性も多いという。吉田さんにとっては親になって初めての国政選。少子化対策の本気度を注視している。【青木絵美】

「共生社会」に疑問も

障害者福祉に携わる人たちは政府が掲げる「共生社会」に疑問を投げかける。

「共生社会は東京パラリンピックを機に注目が集まったが、自立した生活を送る障害者は一握りだ。多くは病院や施設での暮らしを余儀なくされていて、これで共生社会といえるか」。NPO法人「自立支援センターおおいた」(大分県別府市)の後藤秀和理事長(45)は首をかしげる。

「障害者は決して『保護』の対象ではなく、独立した個人で社会を構成する一員だ。共生社会を実現するには介護者不足の解消や社会の更なるバリアフリー化、就労支援の促進など、障害者の社会進出に向けて必要な施策がまだまだある」

とりわけバリアフリーは喫緊の課題だ。「政治家も老いて介護が必要になる。真の共生社会へ向けて、自分たちの将来も考えて取り組んでほしい」【石井尚】

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