国内唯一! 淡水湖の有人島【沖島】 琵琶湖に浮かぶ人口270人の島で 味わうパノラマ絶景と郷土料理

国内唯一! 淡水湖の有人島【沖島】 琵琶湖に浮かぶ人口270人の島で 味わうパノラマ絶景と郷土料理

  • CREA WEB
  • 更新日:2022/01/15

#239 Okishima (沖島、琵琶湖/滋賀県)

No image

琵琶湖最大の島であり、人が暮らす沖島。

「日本一大きな琵琶湖に人が暮らす島がある」と聞き、がぜん、興味津々。

しかも淡水湖における有人島は国内で唯一、世界的に見ても貴重な存在だというのです。その島の名前は、沖島。

湖のほぼ中央のやや東寄り、滋賀県の近江八幡の沖約1.5キロに位置する、琵琶湖最大の島です。

No image

昭和レトロな雰囲気の通船「おきしま」。

No image

沖島と本土を結ぶ通船。通勤・通学・お買い物など、島民にとって欠かせない存在。

本土の堀切港から通船「おきしま」で約10分。こんもりと緑の山をのせた沖島が見えてきます。

やがて湖岸にそって軒を連ねる民家の前を通り過ぎ、船はゆっくりと沖島漁港へ入港していきます。

周囲約6.8キロ、面積にして1.53平方キロメートル、人口は270人(2018年)。

No image

沖島の主産業は漁業。琵琶湖全体の漁獲水揚げ量の半分を担っています。

人が定住するようになったのは保元・平治の乱以降で、源氏の落人7名が島の山裾を切り開き、漁業を生業としたのがはじまりとされています。

島の中心地は、沖島漁港付近。沖島名物の三輪車に乗った島民が時折、行き過ぎます。この島には信号機はもちろん、車やバイクもなく、三輪車が主要な移動手段になっています。

No image

魚の旬は、産卵期によって変わります。琵琶湖には50種以上の固有種が生息しているとか。

No image

沖島名物の三輪車。カゴには雨除けの缶が常備されています。

湖岸から一本、内陸へ入ると、“ホンミチ”と呼ばれる幅は1~2メートルくらいの小道が約650メートル続いています。道を挟んで両側に民家が連なり、中には舟板を外壁に貼っている家も。

道を挟んでお隣さん同士が立ち話をしているところへ、また別の知り合いがやってきて話の輪に加わり……。沖島の暮らしぶりが伝わってきます。

息のあった夫婦だからできる“沖島特有の漁”とは

No image

水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選ばれたホンミチ。

そのままホンミチを進み、明治8年に開校したという沖島小学校へ(現在の位置には平成7年移転)。さらに進むと、舗装道はなくなり、畑の合間の細道に。時折、イノシシ除けのセンサーが感知して、おどろおどろしい音に驚かされることもしばしば。

ノスタルジックな風情の沖島小学校。小学校前のなぎさ公園で開かれる体育祭には島民総出で参加します。

沖島小学校が遠泳大会に使用、整備している杉谷浜を越え、木々のトンネルを抜け、そして最近は縁結びの神様になりつつあるという弁財天様に到着。島の東岸を行く、沖島漁港から往復約1時間の整備された散策コースです。

No image

「ふれあい水泳場」の看板がある杉谷浜。穏やかな、小さな入り江です。

No image

通船から見た、弁財天様。春と秋に大祭が開かれます。

今回のお宿の「漁家民宿 湖上荘」は、西のはずれにポツンと立つ、島で唯一の民宿。湖に張り出したテラスから、比良山系や比叡山、琵琶湖大橋などがパノラミックに一望できる絶景宿です。

No image

西のはずれに位置する湖上荘。テラスでの時間が心地いいです。

No image

湖上荘の大浴場。ここからの眺めもおすすめ。

こちらの“漁家民宿”である湖上荘では女将から、島の漁業、生活文化に関して、貴重なお話をうかがえます。

興味深かったのは、沖島特有の「鮎(あゆ)小糸漁」。これは真夜中に、船上に築いた高さ3メートルもの足場にのぼり、夫婦で協力して行う漁。カンテラが照らし出す明かりのみで、波で揺れる高い足場での作業は、息のあった夫婦だからできること。そして春から夏にかけてのシーズン中は、沖に明かりをともした船が並び、ポイントによっては宿からも漁の様子がうかがえることがあるとか。

伝統的な郷土料理「鮒ずし」をいただく

そんなお話をうかがいながら、いただく夕食は湖魚三昧。ゴリやビワマス、ヒラスゴなど、アユ以外はほとんどが聞いたこともない名前の魚ばかり。淡水魚だからあっさりしているのかなと口に運んだら、どれも脂がのって美味! 調理法なのか、骨までおいしくいただけました。

No image

ゴリと玉ねぎの天ぷら、焼いたモロコの酢漬け。聞いたことのない名前の魚ばかり。

No image

甘く炊いたビワマスの煮付け。

No image

脂がノリノリのビワマスの刺身。

そして今宵のメインは、名物の鮒ずし。“鼻をつく強烈な匂い”でその名を馳せる、伝統的な郷土料理です。

No image

翌朝にお茶漬けにしていただいた鮒ずし。

湖上荘の鮒ずしは強烈な匂いはしません。おそるおそる一口食べてみると、「ん! なにこれ、おいしい!」

沖縄の“豆腐よう”のような香りと味わいが口の中に広がり、後味に“からすみ”のような余韻が残ります。お酒がすすむ旨さ。

鮒ずしは琵琶湖の固有種のニゴロブナを塩漬けにし、米で発酵させた伝統的な保存食。酢飯ではなく、発酵時の乳酸菌によって酸味が生まれる、いわゆる“なれずし”です。お正月など、特別な日にいただくごちそうです。

No image

卵をたっぷり抱いた鮒ずし。すし酢ではなく、発酵時の乳酸菌によって酸味を感じる“なれずし”。(C)滋賀県水産課

卵を抱いた4~6月頃のニゴロブナが珍重され、気候や米の敷き方、重しの乗せ方、手水の塩梅、保存場所によって出来具合が異なります。なので、同じ味は二つとないとも、いわれています。

今回は湖上荘の女将が漬けた2年物。はじめての鮒ずし作りは「失敗したら1年間、食べられなくなる」と気がかりで、なにかにつけては桶を見ては時間が経ったとか。

No image

湖上荘の女将の小川ゆかりさん。沖島の漁業について、自然について、貴重なお話を聞かせてくれます。

衝撃的な鮒ずしとの出会い。これから、もっといろんな鮒ずしに挑戦したいと思えた、最初の出会いに感謝です。これは旅と共通するかもしれませんね。

沖島

●アクセス 京都駅からJR東海道本線・琵琶湖線で「近江八幡駅」へ約30分。「近江八幡駅」より近江鉄道バスで堀切港へ約32分。通船「おきしま」で約10分。

●おすすめステイ先 漁家民宿 湖上荘
http://www.zd.ztv.ne.jp/kojousou/index.html

古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイトhttps://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子

古関 千恵子

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加