ビジネスとしてはナンセンス!? 「IR構想」のメリット・デメリットをZ世代が議論

ビジネスとしてはナンセンス!? 「IR構想」のメリット・デメリットをZ世代が議論

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  • 更新日:2022/06/23

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“IR構想”について深掘りしました。

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◆IR構想の議論は深まっているのか…Z世代の印象は?

カジノ・劇場・ホテルなどが一体となった統合型リゾート施設「IR」の構想に関しては、1999年に石原元都知事がお台場のカジノ構想を表明。2018年7月にカジノ解禁の「IR整備法」が成立。

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2020年1月には政府のカジノ管理委員会が発足し、2021年7月にはIR整備法が全面施行。10月にIRの自治体誘致計画の申請が始まりました。

そして、4月28日に締め切りを迎え、大阪と長崎のみ申請がありました。熟考していた北海道・千葉市・横浜市・和歌山県は申請を辞退。今後は有識者委員会が審査し、認定は秋以降になると見られています。

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IR整備法では、既存の公営ギャンブルに加えカジノが解禁。カジノのメリットとしては地域振興や雇用創出がある一方で、治安や生活環境の悪化、ギャンブルの依存症が増加といったデメリットも挙げられています。なお、依存症対策としては、入場料を6,000円に設定することや入場制限を設けるなどとされています。

こうしたIR構想は、先の横浜市長選で争点になるなど、政治の場でも大きな影響を及ぼしていますが、キャスターの堀潤からはその議論はどこまで深まっているのかという疑問が。

これに国際カジノ研究所 所長の木曽崇さんは、「誘致を考えている地域はかなり深まった議論ができているが、全国的な論議になっているかと言えば、法律の制定時がピークだった」と返答します。

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microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは、IRの印象について「巨大な構想のわりに対応が遅い」と冷ややか。また、「そもそも論になるが」と前置き、「近隣に韓国やシンガポールなど競合となるカジノや統合型リゾート施設があるなかで、日本に本当に人が来るのか」と疑問視。

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「まずはミニマムな実験をし、検証しながらビジネスを進めていくべきで、長いスパンと大きなお金をかけて失敗するかわからないようなことをやるのは、ビジネスとしてはナンセンス」と否定的な姿勢を見せます。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんも「そもそもIRをやる必要があるのか、私はまだ疑問がある」と言います。メリットとして挙げられている地域振興や雇用創出が本当にあるのか、利益が外資系企業に流れてしまうこと、外国人を呼び込むにしても昨今の国際情勢下で見込めるのかなどを懸念し、「それらの経済的損出をどうリスクとして捉え対処するのか、その対策の議論も深まっていないんじゃないか」と案じます。

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◆カジノで治安が悪化し、依存症は増えるのか?

今回申請があった大阪、長崎のIR構想を見てみると、大阪の舞台となるのは人工島である「夢洲」で関西の食文化や伝統なども発信。早ければ2029年秋~冬の開業を目指し、近畿圏で1兆1,400億円の経済効果を見込んでいます。一方、長崎はハウステンボス内に和や近未来などゾーン分けをしてカジノを造り、開業は2027年の秋頃を予定。経済効果は県内で年間3,300億円となるということです。

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では、東京都はどうなのか。小池知事は4月22日に「メリットとデメリットの調査を進めていくと申し上げてきた。これまでと同様の取り組み姿勢です」と表明。都は追加募集の可能性も睨んで検討を継続しており、海外の事例の調査などを続けるため、本年度の予算にも調査費を計上。

木曽さん曰く、小池知事は国会議員時代にカジノ推進派の旗振り役だったこともあり「(IR構想に)個人的に、反対ということはないはず」とも。

また、カジノのデメリットのひとつである依存症対策に関して、木曽さんは「今回申請した自治体、もしくは申請を想定して頑張ってきた自治体は国から依存症対策を命じられていたので前々からやっている」と言いつつ、「逆に東京はまだ曖昧な段階で、それほど突っ込んだ対策がなされていない状況なのでは」と憂慮。

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一方、渋谷さんが指摘していた時間がかかっていることについては、法律の改正、新法の成立が必要だったため、最初の議論から15年もかかってしまったことを補足しつつ、木曽さんも「指摘の通り時間がかかりすぎというところはある」と素直に認めます。

そして、能條さんが案じていていた利益が外資系企業に流れるということには「大きな勘違いがある」と木曽さん。売上は最終的に外資系企業に流れるかもしれないが、彼らは初期投資として数千億円~1兆円もの開発費を外部から持ち込んでいるため、ひとまず相殺されることが前提で、その上、初期投資分は国内産業に落ちると解説。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「カジノの議論をする際、日本は純粋無垢の国であるかのような前提に立って話すといけない」と主張。なぜなら日本の治安は守られているものの、各地にパチンコ屋があり、コンビニエンスストアなどで24時間お酒やタバコが買える国だから。「タバコもお酒も賭け事もやらない、まっさらな土地にカジノができるのであれば問題が起こるだろうが、そういう国ではない」と言います。

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また、「デメリットが本当にデメリットとしてあるのかよく見ないといけない」とも。カジノができることで治安が悪くなると言われていますが、それは住民の治安が悪くなるのか、観光客が悪くなるのかが重要で、なおかつ「夢洲なんて誰も住んでいない埋立地。そこにカジノができたことでどこの治安が悪くなるのか」と疑問を投げかけます。

そして、ギャンブル依存症については、シンガポールではカジノができてから依存症患者の数が減少したとか。これはカジノができたからこそ対策を重視したからで、「日本もシンガポールと同じで問題が起きないと何もやらない国なので、カジノができて依存症の危険性があるとなれば、これまで全く進んでこなかった依存症対策が進む。デメリットがメリットになる可能性がある」という大空さんの意見に、堀も「確かにIRの議論が始まってからギャンブル依存症に対して議論が深まってきた側面もある」と共感します。

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◆カジノができるから治安が悪くなるわけではない!?

今後のIR事業のスケジュールは、今秋以降に国が区域整備計画の認定や公示を行い、自治体が実施協定の締結や認可をした後、カジノの免許申請へ。そして、国がカジノの免許を与えた後、完成検査が行われ、自治体がIRを開業するのは2020年代後半となる見込みです。

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ここで大空さんから木曽さんに「治安」に関しての質問が。大空さん自身は治安が悪くなるとは思っていないものの、海外の研究ではどちらの意見もあるそうで、木曽さんは「観光客が多数流入することによる治安の悪化は、確実に発生する」と明言。

ただ、それに対する治安対策を行うことは当然で、重要なのはそのバランスであり「カジノができたから治安が悪くなるというものでもない」と話します。この意見に大空さんも「観光客が来れば確かに治安が悪くなる可能性はあるが、だからといって観光業をやめるのかというと、そうはならない。カジノができれば観光客が増える、だから治安が悪くなる、だからカジノをやめろというのは、論として成り立たない」と追従。

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番組Twitterには、今後はカジノもメタバースに移行するのではないかという意見が寄せられていましたが、木曽さんによると、アメリカではオンラインカジノの売上が上がっているのと共に、リアルのカジノの売上も上昇。その背景には、ギャンブルだけをやるならオンライン、統合型リゾートでリゾート体験を求める人はリアルで楽しむといった具合に、その棲み分けがきっちり行われているからだとか。

これに渋谷さんは「リゾートという観点で捉えると、気候が微妙な日本にリゾートを求めてくる人がどれだけいるのか」と疑念を抱いている様子。そして、仮説検証がなされないまま大金が動いている現状に対し「これこそ賭け事にも程がある」と改めてIR構想への不安を吐露。

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能條さんも「経済効果を見込んでいるところはあると思うが、経済的な損失、社会的な損失も含めてある。そのプラスマイナスと、既に拠出している額を本当に稼ぐことができるのか」と憂います。そこで最後に木曽さんに本当に日本はカジノで稼ぐことができるのか聞いてみると「稼ぎたいですね(笑)」と願望を語るにとどまっていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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