「犬が嫌がるから散歩に行かない」は間違い?「犬の散歩嫌い」の裏にあるもの

「犬が嫌がるから散歩に行かない」は間違い?「犬の散歩嫌い」の裏にあるもの

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2022/09/23
No image

毎年9月20日から27日まで実施されている「動物愛護週間」は、動物の愛護や適正な飼育について広く理解・関心を深めてもらうことを目的としている。各家庭のペットも愛護と管理面から適正に扱われるよう様々な動物愛護イベントが企画されるというが、「適正」とはどう扱うことを言うのだろう。人間と同じように考え、扱うことなのだろうか。

たとえば犬の中には散歩に出るのを嫌がったり、散歩の途中で歩かなくなってしまったりする子がいる。そういう犬はむりに散歩に連れ出さない方がいいのだろうか。
暑い日は人間と同じく、犬も散歩よりエアコンのきいた部屋で過ごしたいと思うのだろうか。
動物行動学が専門の高倉はるか先生に聞いた。

No image

はるか先生と飼い犬のオレオ。先生が指示を出そうとすると、察知して聞き逃すまいと集中する。

*以下、高倉はるか先生のコメントです。

散歩を嫌がるなら行かなくていい?

ずいぶん前のことになりますが、阿蘇カドリー・ドミニオン園長でアニマルトレーナーの宮沢厚さんとの対談の中で、チンパンジーへのごほうびは、「嬉しい」「おいしい」「楽しい」の3つと伺いました。褒められたり、声をかけてもらって「嬉しい」、おやつや好物をもらって「おいしい」、遊んでもらって「楽しい」。
犬もまったく一緒です。
飼い主さんから褒められたり、撫でてもらって「嬉しい」、おやつや好物が食べられて「おいしい」、遊びや散歩に連れて行ってもらって「楽しい」。
ごほうびのはずの散歩をなぜ嫌がるのでしょう。それにはきっと原因があるはずです。

いつから嫌がるようになったか

1 前は好きだったのに、急に嫌がるようになった

体調が悪い時は、動きたくないですよね。犬も一緒です。
足や腰を悪い時はすぐわかりますが、お腹が痛いとか、熱があるとか、耳や皮膚の感染症の場合もあります。便がゆるかったり、トイレの失敗がないか、食欲は通常通りか、身体のどこかを執拗に舐めたり、痒がっていないかなど、注意して観察してみてください。
獣医に診てもらう時に、いつもとどこがどう違うのかを説明できると原因を特定しやすくなると思います。

No image

Photo by iStock

体調の変化に一番早く気付けるのは飼い主さんです。普段からよく観察してあげていただけたらと思います。

2 もともとあまり好きじゃない

最初にお伝えした通り、犬にとってごほうびのはずの散歩が、原因なしに「好きじゃない」となるのは考えにくいです。「好きじゃない」ように見えるのは、散歩の経験が少ないのではないでしょうか。

あまり散歩に連れて行ってもらえないまま成長してしまうと、外に出るのを怖がるようになってしまうことがよくあります。多くの時間を家で過ごしてきた子にとって、見知らぬ人、知らない犬、工事や車のノイズなど、経験のない刺激は恐ろしく感じるからです。
たとえそうだとしても、変えることはできます。最初は無理をせず、人込みを避けながら刺激の少ない公園に連れていくのはどうでしょう。犬の様子を見つつ毎日励ましながら連れて行けば、少しずつ慣れてくるはずです。

ただ中には極端に怖がる子もいます。小型犬なら行きは抱っこやカート、帰りだけ歩かせるのもありだと思います。

老犬の場合は慣れるまでにさらに時間がかかるかもしれません。散歩の途中でパニックになって逃げようとする子もいます。車道近くや人の多い道を通る時は、リードを短く持つなど注意して慎重に進めてください。

No image

散歩の楽しさを知らずに育ってしまった犬は、今からでも連れ出して、楽しませてあげてほしいという。Photo by iStock

気まぐれに嫌がる理由

3 行きたがったり、嫌がったり日によって異なる

2のケースと少し似ていますが、時間帯によって、または特定の場所を嫌がるのなら、過去の嫌な経験が影響しているケースが多いです。雨に濡れるのが嫌、風の音が怖い、熱いアスファルトの上は歩きたくないという子もいれば、散歩中に立ち話をする飼い主さんに長く待たされたのが嫌という子もいました。

知人のプードル「ルイ」も、それまで散歩が大好きだったのに、夏のある日突然家から出たがらなくなったと言います。原因が何かは特定できませんでしたが散歩の途中で何かあるようだったので、「行きは抱っこで公園に行って、家族と十分に遊んで楽しい思いをさせてください」と伝えました。そこで2時間ほど遊んだルイはすっかり満足して疲れ果て、帰りは自分の足で歩いたそう。そして翌日からは元通りに散歩に行くようになったと連絡をもらいました。

No image

はるか先生の知人の犬、ルイくんも突然散歩に行けなくなった。写真提供:飼い主

「なぜそこまでして散歩をしないといけないのか」「嫌なら無理に連れ出さなくてもいいのではないか」と思われるかもしれませんが、本来犬は毎日くたくたになるほどの散歩をするのが理想です。外を駆け回って十分に体力を使いながら、飼い主さんとたっぷり時間を過ごすことで、体も気持ちも満たされます。いわゆる「充実」するんですね。

散歩が足りないと体力が余っているうえに気持ちも満たされていないため、問題行動が出やすくなります。来客や宅配便の人に対して執拗に吠えたり、家の中であれこれ噛んだり壊したりして困る時は、1日2時間ほど外に連れ出してみて下さい。

慣れないうちは、疲れて歩くのをやめたり、早く帰りたがるかもしれません。苦手なものがたくさんあれば、楽しいはずの散歩も最初のうちはそう感じられないこともあります。
ですが飼い主さんがそばについて、「怖くないよ」「大丈夫だよ」と声をかける。それを繰り返すうちに、多くの場合犬の恐怖や不安は解消されていきます。

最初は犬が好きなおもちゃや特別なおやつを、散歩中にちょっとだけ与えてみるのもいいかもしれません。「散歩に行くといいことがある」とわかれば、徐々に散歩に行くのを嫌がらなくなるはずです。

もともと散歩は犬にとって大好きなものなのですから。

No image

長時間散歩に連れ出せば、犬の問題行動の多くはほとんど出なくなるという。Photo by iStock

◇本来楽しみのはずの散歩を犬が嫌いになるには、何かしらの理由があるのだ。その理由として、「体調がよくない」「散歩の経験が浅く、外の刺激が怖い」「散歩中に犬の嫌いな原因がある」の3つが考えられることを学んだ。後編「幼い犬を突然襲う”恐怖”の理由は?突然『散歩嫌いになった』犬の驚きの理由」では1歳未満の子に起きる「恐怖期」について、さらに犬を散歩嫌いにさせるあまりに過酷な幼少期の体験についてお伝えする。

散歩に行きたがらない原因として考えられるさらなる原因を紹介する、後編「幼い犬を突然襲う”恐怖”の理由は?突然『散歩嫌いになった』犬の驚きの理由」こちらから。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加