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鈴木保奈美が離婚前に書いていた「私の人生を取り戻す」という意思

鈴木保奈美が離婚前に書いていた「私の人生を取り戻す」という意思

  • 女子SPA!
  • 更新日:2021/07/21

亀山早苗の恋愛時評

次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

◆鈴木保奈美が“卒婚”ではなく“離婚”を選んだのはなぜなのだろう

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(画像:石橋貴明 You Tube「貴ちゃんねるず」より)

女優・鈴木保奈美(54歳)と、とんねるず・石橋貴明(59歳)夫妻が23年間の結婚生活を解消、離婚した。今どきらしく、石橋のYoutubeでの発表だったが、画面には文字が流れるだけ、最後にツーショットが映っただけで肉声はない。ただ、保奈美が落ち着いた微笑を浮かべているのが印象的だった。

鈴木は石橋が経営するプロダクションに所属しているため、今後もビジネスパートナーとしての関係は継続するとしている。だが鈴木は昨年、個人プロダクションも設立しているので、今後、さらなる展開はありそうだ。

それにしても再婚同士で家庭を築いて23年。精神的に離れて夫婦が自立する流行の“卒婚”ではなく、手続きも大変な“離婚”を選んだのはなぜなのだろう。

◆『東京ラブストーリー』リカの一言

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東京ラブストーリー Blu-ray BOX ポニーキャニオン

鈴木保奈美という女優が一気に有名になったのは、フジテレビのいわゆる月9ドラマ『東京ラブストーリー』(‘91年)だろう。月曜の夜、街から女性が消えたといわれる伝説の人気ドラマだ。

彼女は帰国子女の赤名リカという、自由で正直でまっすぐで、それでいて繊細なところのある魅力的な女性を演じた。あの少し高い声で、「カーンチ、セックスしよ」と言ったとき、観ている女性たちは度肝(どぎも)を抜かれ、そして大きくうなずいたものだ。

その2年前、雑誌『an・an』が「セックスできれいになる」と表紙に謳(うた)って大ブームになったこともあり、女性たちがセックスを謳歌していいのだとダメ押しするような一言だったから。あの一言は女性たちの意識を確実に変えたのではないだろうか。

鈴木保奈美は、それ以降、毎年のようにドラマに出演、女優としての地位を堅固なものにしていった。

◆「略奪婚」と騒がれた再婚

彼女は1966年東京に生まれ、神奈川県茅ヶ崎で育っている。成城大学に入学するもオーディションの審査員特別賞を受賞、20歳のときに女優デビューし、芸能活動に専念するため大学を中退している。休学しながらでも卒業を目指すこともできるのだろうが、すぱっと中退するあたり、彼女の性格が反映されているのではないだろうか。

私生活では、ドラマプロデューサーや共演俳優などと浮名を流し、「魔性の女」と呼ばれたこともあった。94年にF1解説者と結婚、97年に離婚している。そして98年に石橋貴明と再婚同士で結婚したのだが、発表したときはすでに妊娠していた。さらに石橋が離婚したのは、その発表の2週間前だったから、当時は「略奪婚」と騒がれたものだ。

再婚と同時に、鈴木は引退を発表、ここでも「潔さ」を発揮する。

その後はいっさい表舞台に出てくることなく、3人の娘たちを育てていたが、2008年、三女が小学校に上がったのを機に、石橋が経営するプロダクションに所属、雑誌の撮影やエッセイ執筆など活動をゆっくりと再開させた。4年後には大河ドラマに出演、本格的に女優として復帰した。

女優復帰にあたっては、夫の石橋から「遅くなってもちゃんと家に戻る」「夕方、連絡する」などの束縛に近い言葉があったともされているが、真偽のほどは定かではない。

ただ、ここ数年、鈴木は「家の中に自分の部屋がないから、リビングで原稿を書いている」(『婦人公論』2020年2月10日号より)などと家庭生活を明らかにしている。

◆著書に見る「自分自身の人生」への意識

昨年末に上梓したエッセイ『獅子座、A型、丙午。』(中央公論新社)を読むと、彼女が家庭での暮らしをとても楽しんでいることが伝わってくるのだが、一方で「自分自身の人生」についても常に意識を向けていることがわかる。

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鈴木保奈美『獅子座、A型、丙午。』中央公論新社

長女を妊娠したとき、彼女は「これから先、私の人生はお母さんとしての人生なのだと思った」と彼女は書いている。ところが娘が小学校に上がったとき、あれ、と気づいたという。

「子どもって、意外と早く大きくなる。こちらが親としてちゃんとやれているかいないかにかかわらず、どんどん成長する。この分だとあと数年で、いなくなるのではないか? そのあと、『お母さんだけ』じゃない、『私』の人生が戻ってくるのではないか? しかも健康であれば、案外そのあとの人生が長いんじゃないか?」(『獅子座、A型、丙午。』中央公論新社より 以下カギカッコ内は同じ)

だからこそ、彼女は本格的に仕事復帰したのだろう。自分自身を取り戻すために。

◆彼女は論理的で冷静な女性なのだ。しかも潔い

ちなみにこのエッセイの中では、ニュースで観たシングルマザーの女性市議会議員が苦労して子どもの卒業式に出席した話なども取り上げている。「働く女性の子育てとの両立」を綴(つづ)りながら、なぜ子どもに関することは女親だけの担当なのか、彼女が他の男性議員に相談できなかったのはなぜなのか、シングルファーザーであっても両親がいる家庭であっても子どもの卒業式に出席できるような働き方のほうが自然ではないのか等々、問題意識は続く。

さらに子どもたちが犬を飼いたいと言い続けていたときの鈴木の対応が興味深い。

「もはやママは絶対ダメとは言いません。ただし条件があります。犬を飼うにあたってどんな手段があり、どんな手間とお金がかかり、どこまで自分たちでできてどこからママの手を借りるのか、それだけの労力を費やしても犬を飼うことのメリットがどれだけあるのか、きちんとプレゼンをして私が納得したらゴーサインを出しましょう」

そう宣言したそうだ。友人には「いや~、ホナミらしいねえ、面倒な母を持って子どもたち大変だねえ」と言われたと記している。彼女は子どもたちの「創意工夫と熱意が大事」だとしているのだが、ここに彼女の論理性と冷静さが見てとれる。

そう、彼女は論理的で冷静な女性なのだ。しかも潔い。そんな彼女からみて、今の結婚生活を続けることに意味を見いだせなかったのではないだろうか。

◆ひとりでスクッと立っていた「赤名リカ」の姿が重なって見える

夫は地上波テレビから駆逐されたが、Youtubeでよみがえっている。そのことも安心して「縁を切る」要素となったのかもしれない。

いつもひとりでスクッと立っていた「赤名リカ」の姿が、今、鈴木保奈美に重なって見える。人はいつでも自由なのだとリカ(=鈴木)が言いそうである。

「家庭」の形は、夫婦の生活様式や子どもの成長によって、本来、変わっていくのが当然だともいえる。たとえ夫婦が別れても、親子の縁が切れるわけではないし、元夫婦が友人のような関係を築くことも可能だ。今回、鈴木はビジネスパートナーとしての道を選択したが、これも永久に続く関係ではないかもしれない。

子どもたちが小学校に入って、いつかは巣立っていくのだなと感じたところから、彼女の離婚への準備は始まっていたのではないだろうか。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

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