住宅ローン減税 本当に縮小? 意外な損得と政府内の議論

住宅ローン減税 本当に縮小? 意外な損得と政府内の議論

  • FNNプライムオンライン
  • 更新日:2021/11/26
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記者のイチ押しネタを集めた「取材部ネタプレ」。

「減税をめぐる激しいせめぎ合い」について、フジテレビ経済部・智田裕一部長がお伝えします。

ローンを組んで、家を買った場合、減税してもらえる住宅ローン控除。
先週明らかになったのは、税金から差し引いてもらえる控除率を、今の1%から0.7%に縮小する案でした。

この場合、1年で減税してもらえる額は少なくなりますが、一方で、浮上しているのが期間を延長する案。
これだとトータルで見た減税額は、逆に大きくなる可能性もあるんです。

ポイントは、「検討が大詰めを迎える住宅ローン減税。協議の行方は」です。

智田裕一部長「今、住宅ローン減税を縮小する案が、政府・与党で検討されています。しかし、場合によっては、言われているよりもお得になるかもしれないという最新の動きをお伝えします。現在の制度での原則の仕組みが、住宅を買ってことしの年末までに入居する人に適用されます。住宅ローンを組んだ人は10年間、年末のローン残高の最大4,000万円の1%分を上限に、1年で最大40万円分、10年間では400万円分が所得税などから差し引かれて戻ってくるという仕組みです。この制度について、2022年以降は減税の幅を見直して、1%を0.7%に縮小しようという案が出たというのが、先週のニュースでした。つまり、戻ってくる額が減るということになるんですが、実はこれについて、『生ぬるい! もっと縮小すべきだ』という異論があって、どうなるのかわからない状況なんですね。そもそも、減税を縮小する案はなぜ出てきて、なぜ0.7%が生ぬるいと言われているんでしょうか。例えば、0.4%で4,000万円のローンを組むとします。そうすると、ローンの利息はその後の1年間でおよそ16万円ということになります。しかし、控除はローン残高の1%なので、残高4,000万円ですと最大40万円分が戻ってくるということになります。つまり、差し引き24万円も得をするという計算になります。本来、利息の負担を軽くするための控除の額が、利息よりも逆に高くなってしまう。これが、いわゆる“逆ざや”と言われる現象です」

加藤綾子キャスター「控除というより、お得になっている感じですね」

智田部長「本来、利息の負担を軽くしてあげようという制度なんですけれども、逆にお得になってしまうということなんですよね。これについて、税金の無駄遣いなどをチェックする機関である会計検査院が問題であると指摘していました。新たに出た0.7%の案にすると、どうなるか。利息はおよそ16万円のままですが、控除額は40万円から減るものの、28万円分ありますね、0.7%なので。なので、差し引きまだ12万円。得をしていると」

加藤キャスター「これも“逆ざや”状態であると」

智田部長「そうですね」

加藤キャスター「でも、なんでその案が出たんですか」

智田部長「実は、1年前にも自民党と公明党との議論の間の中で、すでにこの“逆ざや”が問題になっていまして、ある案が有力になっていました。それは、1年間の利息の額を上限にしたらどうかというもので、先ほどの0.4%の例でいいますと、支払いの利息は16万円ですから、差し引いてあげる額も16万円にしようと。これ、同じですよね。こういうことにすると“逆ざや”は解消になりますという案が有力。ところが、ことしになって、政府内の駆け引きが出てきたというところで、住宅建築業界を所管する国交省が、住宅購入の勢いが落ちることを懸念して、巻き返しに出てきたんですね。それが0.7%案だったわけです。今、0.7%より低い金利のローンが多いので、“逆ざや”は残るんですが、減税額は縮小させるというもので、控除額は1年間で28万円ということになります」

加藤キャスター「巻き返しといっても、1%の場合、最大40万円ですか。それと比べると、減ってくるということはありますね」

智田部長「そこで国交省が用意した住宅を買いたい人のための秘策ともいうべき案が、控除率は下げるけども、期間も延ばしたらどうかということです」

加藤キャスター「先ほどは10年間ですよね」

智田部長「そうです。控除率は0.7に下げるけれども、期間をもうちょっと延ばしたらどうなんですかというのが新しい案なんですね。具体的に見ていきましょう。今の制度ですと、10年間トータルだと最大減税額は400万円ですね。0.7%に下げれば、10年間トータルだと280万円。これが最大控除額です。これを15年間に延ばすと、420万円になりますね」

加藤キャスター「結局、増えていますね」

智田部長「そうなんです。今の最大400万円より増えることになります。これに難色を示しているのが、国の財布を預かる財務省です。0.7%の案では、もともと“逆ざや”の解消には不十分。期間を延ばしてしまったら全く問題解決にはなりませんよね、ということで問題視していると。ということで、控除率が0.7%に下げるけれども、できれば15年間に延長したいという国交省と、いやいや、それでは“逆ざや”問題の解消にはつながりませんよという財務省が、激しいせめぎ合いを繰り広げているということですね。対象となるローン残高の上限も4,000万円から変わってしまう可能性もありますというせめぎ合いが、今の状態ということですね」

これから家を購入しようとしている人たちが、どういう感想を持っているか取材した。
神奈川県内の新築マンションのショールーム、入居が2023年の春からのため、今回の影響が直接影響する。

40代夫婦「できれば1%のほうがいいとは思いますが、多少下がったとしても、少しでも(減税が)出ていただけるんであれば助かりますね」、「買おうと考えているところなので、一番気にしていますかね」

30代「0.7でも厳しいですけど、それ以下は勘弁してほしいですね。15年とかまで延ばしていただけると、総額としては変わらなくなってくると思うので、できればそういう方向で考えていただきたいです」

智田部長「やっぱり減税に期待する声が当然、多かったんですが、実は、この住宅ローン減税の制度というのは年々変わっています。この20年ほどの住宅ローン減税の最高控除額、一番差し引いてもらえる額なんですけども、2000年には600万円近くあったのが一時、160万円まで低下しているということで、その後、リーマン・ショックの経済対策で一気に増えて、その後、増えたり減ったりしながら現在に至るということなんですね。家を買うタイミングというのは、お子さんが誕生したり成長したり、それぞれの家庭で大きく異なります。今、低金利が続いているんですけれども、金利をめぐる情勢も変わる可能性があるという中で、ライフプラン上も税制上も、一番お得なタイミングで家を買うというのは、なかなか難しいというところがあると思うんですよね。与党が税制改正大綱をとりまとめるのが12月の上旬ということで、あと2週間ほどで結論が出される。この議論の行方がどうなるのかを見守っていきたいと思います」

加藤キャスター「家を買うのって大きな決断ですし、家計への影響も大きくなるとなると、どう決まるのかというのが気になりますよね」

柳澤秀夫氏「今、お話を聞いてると悩ましいですよね。でも、もともと住宅ローン減税っていうのは、購入する人に対して負担軽減ということなんでしょうけど、話を聞いてると、住宅メーカーというか作る側、売る側のことも、この中には入ってくるということになると、住宅ローン減税が目指しているものが誰のためなのかというのをもういっぺん、考えたうえで、もし購入者の立場で負担が大きいというのであれば、特に子育て世代に対する手当てを厚めにするとか、でも税制というのはやっぱり公平税制の負担という原則、考えると、考え方を1つの方向に持っていくためにいろんなものを複数考えなきゃいけない、悩ましいということになってしまいますね。どうすりゃいいんですかね」

智田部長「消費喚起という面と経済対策、それから負担軽減しなくちゃいけないと、いろいろ複数の側面を考えたうえで結論を出すということなので」

加藤キャスター「何を目的かとするかで変わってきますよね」

智田部長「そこも与党がどういう考え方か」

柳澤氏「しかも来年参議院選挙も控えていますからね」

加藤キャスター「そういうのも影響してきそうですね」

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