コロナ再感染で高まる後遺症リスク ダメージが蓄積して重症化する恐れも

コロナ再感染で高まる後遺症リスク ダメージが蓄積して重症化する恐れも

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2022/08/06
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東京・新橋駅前のワクチン臨時接種会場には長蛇の列も(写真/共同通信社)

新規感染者数が拡大する一方、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを「第7波」収束後に「2類相当」から見直す方向だ。

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その一方で、米セントルイス・ワシントン大学のジャド・アルアリー博士らの研究チームによる最新の研究結果に医療関係者が注目している。研究チームは、退役軍人省の医療データベースを用いて分析。コロナに1回だけ感染した約26万人、2回以上感染した約3万8000人の健康記録を未感染の約530万人のデータと比較した。コロナに2回以上感染した群は1回だけ感染した群と比べ、直近の感染から6か月以内に死亡するリスクが約2.1倍、入院するリスクが約3倍高くなること、そして、後遺症を抱えるリスクも約1.8倍高くなったことが報告されている。

元外務省医務官の勝田吉彰・関西福祉大学教授(渡航医学)は同研究を「コロナに再感染すると1回目より症状が重くなることを、データを用いて証明した初めての論文です」と評価する。そのうえで、勝田教授はコロナは繰り返しかかる可能性があることを強調する。

「一度感染すると体内にウイルスに対する抗体ができるが、これは時間の経過とともにどんどん低下します。よって再感染を防ぐことはできません」

たとえ感染しても、「ワクチンを打っていれば再感染を予防できるのではないか」との意見もある。

だが、現在のワクチンはコロナ初期の武漢型に対応するもので、ウイルスが変異すると感染予防効果が縮減する。特に第7波で主流のオミクロン株の派生型「BA.5」はワクチンの免疫を回避する能力が高いことがわかっている。

免疫学の「抗原原罪」という理論も再感染のリスクを裏づける。京都大学医生物学研究所准教授の宮沢孝幸氏が指摘する。

「最初に打ったワクチンが対象とするウイルス(抗原)の記憶が免疫システムに強力に残り、追加接種しても別の型に対する抗体があまりできないことを『抗原原罪』と言います。このため武漢型のワクチンを3~4回打つと、次にオミクロン株にかかってもオミクロン株の抗体はあまりできていない。オミクロン株の抗体を作ろうとしても武漢型の抗体が強化されてしまう状態になるのです」

日本の再感染者の実態はまだ明らかになっていないが、今年4月に2回目の感染をしたお笑い芸人の東貴博(52)のほか、俳優の沢村一樹(55)や元阪神コーチの片岡篤史氏(53)、広島東洋カープの長野久義(37)など、2回目の感染を公表した著名人は少なくない。

アルアリー博士の研究では、再感染後の症状として胸痛、不整脈、心臓発作、心筋炎、心膜炎、血栓、息苦しさ、血中酸素濃度の低下などがみられた。ただし、再感染が死亡率や入院率の上昇を招く詳しいメカニズムはわかっていない。

ウイルスの専門家である宮沢氏は「抗体が関係しているのでは」と語る。

「一般的には1回目より2回目の感染の症状が軽くなりますが、人によっては逆になることがある。おそらく、最初の感染でできた抗体が2度目の感染時に悪さをして、人体に悪影響を与えるのでしょう。抗体は人体に利益をもたらすだけでなく、不利益を与えることもあります」

米CNNの取材にアルアリー博士は、「高齢者や基礎疾患のある人は特に再感染しやすく、その後に健康上の問題が生じるリスクも高い可能性がある」と語っている。

国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎氏が指摘する。

「高齢者や基礎疾患を持つ人はもともと体が弱った状態でコロナに感染し、さらに体力を奪われます。いったん治っても、体が弱った状態で再び再感染すれば、やはり死亡や入院のリスクが高まると考えられます」

同研究では、再感染後に肺または心臓の疾患や倦怠感、消化器と腎臓の障害、糖尿病、神経系疾患のリスクが高まった。

注目すべきは、こうしたリスクが長引く可能性が示されたことだ。

「同研究によれば、再感染から少なくとも6か月間はワクチン接種の有無にかかわらず、ハイリスクの状態が続きます。このため再感染で発熱して激しく症状が出る急性期だけでなく、本来なら発症から時間が経って症状が落ち着く慢性期にも注意が必要です。つまり2回目の感染は、ある程度時間が経ってもリスクが残る可能性があるのです」(勝田教授)

原因不明の後遺症

コロナは後遺症についても多く報告されている。

厚労省研究班が2020~2021年にコロナで入院した全国1000人を調査すると、3割以上が診断1年後にも何らかの症状を抱えていた。症状では倦怠感が最も多く、呼吸困難、筋力低下、思考力・集中力低下、記憶障害、睡眠障害が続いた。

軽症が多いとされるオミクロン株でも、英国の大規模データベースの分析では、脳の組織に委縮が生じ、アルツハイマー病や糖尿病のリスクが高まる可能性が指摘された。

2回目の感染は、これらの後遺症を悪化させる懸念もある。昭和大学医学部客員教授で医師の二木芳人氏が指摘する。

「コロナに感染して重い肺炎などが生じると、肺機能の低下などの後遺症を残します。それ以外にも心筋炎や血管炎を発症し、循環器系や腎機能に様々な障害を残すこともあります。こうしたリスクを抱える人が再感染すると、それらのダメージがさらに畜積して重症化する恐れはあります。また、最初の感染時に軽症であっても、“体がだるい”といった原因が不明のさまざまな後遺症が残る場合もあります。これらも再感染で悪化する可能性は否定できません」

アメリカでは感染から回復したばかりのバイデン大統領が、重症化を抑える経口薬の服用後に再び陽性となる「リバウンド例」で隔離に入った。

「日本でもコロナ患者に投与されている経口薬なので、今後注意が必要です」(一石氏)

そして国内で新たに発見されたオミクロン株の派生型「BA.2.75」は海外で「ケンタウロス」の異名を取り、現在猛威を振るう「BA.5」よりさらに感染力が強いとみられている。

誰もが2回感染のリスクがあるからこそ、二木氏はこう語る。

「変異株がワクチンをすり抜け、再感染で重症化リスクが指摘される中では、やはり感染しないことが一番の対策です。一度感染しているから再感染は軽症ですむという考えは間違い。これまで同様にワクチンを打って、感染対策を怠らないことが正解だと思います」

※週刊ポスト2022年8月19・26日号

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