『呪術廻戦』胸糞の極み真人登場3巻!嫌われ度をブーストさせたふたつの要因

『呪術廻戦』胸糞の極み真人登場3巻!嫌われ度をブーストさせたふたつの要因

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  • 更新日:2021/05/03
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『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ『呪術廻戦』(作・芥見下々)を『ジャンプ』大好きライター・さわだが、映画公開(今年の冬らしい)を待ちながら、1巻から隔週で読み直していきます。3巻で登場した嫌われ悪党・真人が、一発で物語の中心に食い込んだのはなぜだ。

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真人は悪者ド真ん中

数多くのキャラクターが登場する『呪術廻戦』の中でも、筆頭の胸糞キャラ・真人(まひと)。人間をモノ扱いし、大した信念も持たず、人をおちょくったような態度ばかり取るエンジョイ系の悪党だ。3巻は、そんな真人の嫌われ伝説の始まりみたいな巻だった。

主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)ら呪術師が対峙するのは、新しい世界を作ろうと目論む呪詛師(悪い呪術師)夏油傑(げとう・すぐる)と特級呪霊(呪い)たち。こいつら呪いの発生源は、人間の負の感情。たとえば、花御(はなみ)は森、漏瑚(じょうご)は大地を恐れる感情から、といった具合だ。その中で真人が生まれた元は「人」。人が人を恐れる感情から生まれた化け物だ。これだけでも真人が呪いとしてド真ん中である雰囲気がプンプンする。

真人は能力も呪いド真ん中だ。触れた人間を肥大化、縮小化、変形させ、意思を持たない改造人間として戦わせることもできる。悪役にもってこい、これ系の能力を持っているのは、『ONE PIECE』のドフラミンゴ、『幽遊白書』の朱雀など、だいたい印象の強い悪者が多い。

また、この能力説明が秀逸だった。

「肉体に魂が宿るのかな? それとも魂に体が肉付けされているのかな?」
「答えは後者 いつだって魂は肉体の先にある 肉体の形は 魂の形に引っぱられる」

魂のあり方という一般的には答えのないモノについて問いかけ、「魂が先」と作中での答えをキッパリ言い切る。真人は、人の魂の形を変えることでそれにツラれるように肉体の形を変えていたのだ。

魂、人間から生まれた呪い。『呪術廻戦』においていかにも重要そうな要素を一手に引き受けることによって、登場して間もない真人は一発で物語の中心に食い込んだ。

吉野順平とその母親・凪

真人の嫌悪感をブーストしたのは、吉野順平とその母親・凪。ふたりは、作中屈指の読者をやるせない気分にさせたキャラクターだ。

順平は、不良グループからイジメを受ける高校生。自分を他人とは違うと思っているが、それは誰しもが一度はしたことのある拗らせ方であり、ある意味で最も親近感の湧くタイプのキャラクターだ。そんな順平は、自分をイジメる不良たちを殺した得体の知れない化け物・真人と出会う。

真人は順平が抱える他人への絶望を受け止め、すべてを肯定した。真人が魂を操る能力を持っていたことも、順平にはプラスに働いたのだろう。生き方、人の死についての常識が揺らいだ。

闇堕ち寸前、そこで出会ったのが、今作の虎杖だ。虎杖は軽薄そうだが人の気持ちのわかる男で(おまけに映画の趣味も合う)、順平は一気に惹かれる。

『劇場版 呪術廻戦 0』解禁映像

凪と虎杖は似ている

虎杖「お母さん ネギ似合わないっスね!!」
「お 分かる? ネギ似合わない女目指してんの」

順平が虎杖に心を開いたのは、シングルマザーの母親・凪とノリが似ているからかもしれない。タバコをくわえながらネギを持った凪は、初めて会った虎杖を「晩飯食べてかない?」と誘う。友達のいない順平のことを心配していたからだろう、凪も虎杖も軽そうに見えて行動に意味があるのだ。

学校に行きたくない順平を暖かく見守った凪、その凪の大切さを教えてくれた虎杖、真人と接触したことで生まれた迷いを、虎杖と凪がふたりが断ち切ってくれた。しかし、一番大事な人である凪は、真人の策略によって殺され、順平は闇堕ちしてしまう。

読者にとって一番親近感のある順平と、その最大の理解者・凪。こんなふたりを一瞬で奪ったのだから、真人の嫌われ度は最高潮に達する。誰がどう見たって胸糞悪い。3巻にして、最高の悪役の誕生だ。

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『呪術廻戦』<3巻>芥見下々/集英社(17〜25話)

七海「労働はクソということです」

相対した七海建人(ななみ・けんと)が好感度の塊みたいなキャラクターだったことも、嫌われ真人を助長した。

「私が高専で学び気づいたことは 呪術師はクソということです そして一般企業で働き気づいたことは 労働はクソということです 同じクソなら適正のある方を 出戻った理由なんてそんなもんです」

五条悟(ごじょう・さとる)に「脱サラ呪術師」と呼ばれる七海。上のセリフから「まじめ過ぎるがゆえに社会不適合者で、強い自分を持ちながらも仕方なく妥協できる居場所を探している男」ということが想像できる。なんだか「立派になった順平」みたいなキャラクターだ。

現時点では明かされていないが、おそらく自分ひとりで楽しめる趣味を持っており、財力も生活力もあると想像できる。社会には迎合できずとも、生き抜く強さを持っているのだ。世の中に不満を持っている人からしたら憧れる、ちょっと哀愁のある大人なのだ。いや、ある意味では一番しんどい生き方ではあるんだけど。

「枕元の抜け毛が増えていたり お気に入りの惣菜パンがコンビニから姿を消したり そういう小さな絶望の積み重ねが 人を大人にするのです」

クールではあるものの、どこまでも人間らしく人を理解してくれる七海。人の形をしながら、人から最も遠い存在の真人。4巻では、このふたりに加えて虎杖と闇堕ちした順平が激突する。

さわだ

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