「獣がい」の最前線とは 被害減らし魅力向上へ 高校生や専門家がフォーラム

「獣がい」の最前線とは 被害減らし魅力向上へ 高校生や専門家がフォーラム

  • 丹波新聞
  • 更新日:2022/01/16
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「獣がいフォーラム」で登壇した清野さん、長澤さん、小南さん、藤木さん、前川さん、鈴木さん(左から)=2022年1月10日、兵庫県丹波篠山市黒岡で

「第4回獣がいフォーラム」がこのほど、兵庫県丹波篠山市の市民センターとオンライン配信で開かれた。獣害を「野生動物による害悪」と捉えるだけでなく、解決の道のりを地域活性化につなげる「獣がい」とする理念をもとに、副題の「多様な担い手が未来を創る」の通り、専門家から高校生まで、さまざまな市民らが登壇。地域の魅力を高める獣がい対策の最前線を語りながら、会場の約130人、オンラインを視聴した全国の約200人と思いを共有した。

第1部では、神戸大学人間発達環境学研究科の清野未恵子准教授とNPO法人・里地里山問題研究所(通称・さともん)の鈴木克哉代表理事が登壇した。

清野さんは、「獣害柵点検を楽しく 地域外人材とコラボした獣がい対策の可能性」と題し、同市畑地区で実施されている、地域と都市住民が共に獣害柵の点検を行いながら交流する事業を紹介。鈴木さんは、「クラファンでそば畑を守る」として同県新温泉町春来地区で、オンラインで資金を募るクラウドファンディングを活用してそば畑を再生した取り組みを説明した。

第2部では、丹波篠山市の大山小学校の前川桂大教諭が、特産の大山スイカを獣害から守った子どもたちの取り組みを披露。篠山東雲高校3年の長澤碧唯さんは放置柿を活用したスイーツの開発を、京都府立大1年の藤木健太さんは地元の若者として獣がい対策に感じた可能性を紹介した。篠山ロータリークラブの小南稔彦会長と小林信通さんは学生や市民が取り組む「獣がい対策実践塾」を物心両面で支援していることを伝えた。

アライグマによって一昨年はほぼ全滅した校内の大山スイカを守るため、鈴木さんや地元住民の支援で電気柵を設置し、昨年は被害をゼロにした大山小の児童たち。前川教諭は、「子どもたちはスイカを守ることができて目を輝かせていた。獣害は私も子どもたちも身近に感じていなかったが、学校で触れることで地域の人のおいしく食べてほしいという願いが届く良いきっかけになった」と笑顔で話した。

放置柿と丹波茶を使ったスイーツを考案し、同市商工会青年部のコンテストを経て商品化もされた長澤さんは、「農業高校生として獣害が多いという現状をいろんな人に知ってほしいと考えた」と言い、「卒業後は製菓衛生師として修業し、市内で店を開くことが夢。地域の問題解決も図れるパティシエになりたい」と意気込みを語った。

篠山鳳鳴高校時代から実践塾に参加し、現在もさともんの活動に参加している藤木さんは、「当たり前に食べてきた農産物があるのは、地元の人の努力があったからだと実感した。田畑が多世代交流の場になり、地域を明るくしており、獣がい対策には大きな可能性がある。獣害は動物が悪いだけでなく、ちゃんとした管理ができていない人にも責任があると思う。今後も地域をよりよくしていくことに関わっていきたい」と熱く語った。

耕作を放棄しようとしていた黒豆畑に実践塾の学生たちと電気柵を設置したロータリークラブの小南会長と小林さんは、「対策の大変さや現状など、たくさんのことに気付かされた。獣がい対策はSDGs(持続可能な開発目標)と通じるところがある。現状と重要性を多くの人に理解してもらい、丹波篠山がさらに豊かになっていくことを願っている」とした。

まとめとして、清野さんは、「『獣がいという理念よりも、被害対策だ』という意見もあり、それはもっともなこと」とし、「まずは大山小のようにしっかり被害を減らすことが重要。そして、被害が減った先に、地域として何を後世に残していきたいのかを発信することで、地域を応援したいという人が現れる。丹波篠山では全国に先駆けて獣害を解決し、地域の魅力につなげる取り組みが始まっている。全国、世界に発信できるようなモデルを地道に進めていきたい」と語った。

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