
19日京都地裁
京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判で、犯行のきっかけの1つとなった自身の小説について、被告の男が、「盗作された」ことへの怒りで、「悪いことには、悪いことで返さないといけない」と思い、「今度は殺人もありだな」などとインターネットの掲示板に書き込んだと話しました。
殺人などの罪に問われている青葉真司被告(45)は、今月5日から始まった裁判で、犯行に至る経緯について「京アニに作品を盗作されたり賞に落選させられたりして、恨みを募らせていた」と話しています。
19日の裁判では、先週に続き、検察側からの被告人質問が行われ、小説を書き始めた経緯について尋ねられました。
■「こんなにすごい作品があるのか」小説との出会いと京アニ作品への感銘

読売テレビニュース
青葉被告は、2009年ごろ、京アニ製作の『涼宮ハルヒの憂鬱』を見て、「当時依存していたネットゲームと並ぶくらいおもしろい。こんなにすごい作品があるのかと思い小説を書き始めた。それなりのものが書ければ仕事の問題も解決すると思った」と話しました。
途中、小説を何度も書き直し、心が折れる時があったものの、「3年間は、24時間365日、小説のことを考えていた。自分にはこれしかないと思った」と当時の心境を語りました。
また、青葉被告が書いた小説について、「最初は文体を真似た」と話し、京アニ作品に影響を受けたか検察官に問われると、「そうなります」と答えました。
■7年かけた大作を応募も、落選…怒りは京アニへ

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強盗の罪で服役後の2016年、青葉被告は京アニ大賞に応募します。書き始めから7年を費やし仕上げた作品について、「これ以上、エネルギーをかけるのは無理だ」と話し、検察から「最高のシナリオが出来た」かと問われると、「そうなります」と答えました。
しかし結果は“落選”。京アニに対し恨みを募らせていったことはこれまで説明していましたが、改めて「裏で手をまわしている人がいるのは分かっていたので、ここまでやられるとどうしようもない。ショックよりも驚きの方が大きい」などと話し、落選そのものよりも「盗作された」ことへの怒りを強調しました。
また、その後登録した小説投稿サイトで、1件も閲覧がなかったことについて問われると、「1人でも読んでくれたら違ったと思います」などとも話しました。
■小説を諦め自暴自棄に「今度は殺人もありだな」

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落選後は、ネタ帳を燃やすなど、小説から離れる生活を決意したという青葉被告。その当時の心境について、「一度くっついたものを引き離すのは失恋にも似た感情があり、離れることには難儀しました」と話しました。
また、インターネット掲示板に繰り返された書き込みについて検察から質問が行われました。
青葉被告の書き込み
「10年間願ったもの、積み重ねたもの、叶えたかったもの、全てをかなぐり捨てても切りたい女」
青葉被告は、願ったものを小説家になること、積み重ねたものを小説のアイデアなどと説明しました。また、「今度は殺人もありだな」や「裏切者は絶対に許さない」などと、怒りを込めた書きこみを連続で行っています。
これらの書き込みについては、20代のころ、専門学校を中退して以降8年間務めたコンビニバイトの経験を例に出し、「悪いことをされた時にいいことで返すとなめられる。悪いことには、悪いことで返さないといけない」などと説明しました。
この後も、引き続き検察側からの被告人質問が行われます。
この裁判では、検察側が「筋違いの恨みによる復讐」だと指摘する一方、弁護側は、責任能力がなかったとして無罪か減軽を求めています。