CESに見る韓国LGの強み

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  • 更新日:2021/01/14
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ラスベガスにとっては大きな痛手(aldo_dz/gettyimages)

今年はデジタルでの開催となったCESラスベガス。記者会見でも昨年のコロナによる生活の変化、また米国での黒人差別に反対する運動の広がりなど、様々な社会問題への言及が目立った。

その中で、様々な面でのプレゼンス、強みを見せていたのが韓国LG電機の存在だ。テスラ社へのEV用バッテリー供給などが話題となったLGだが、現在は自動車部門も持つ総合的な企業へと成長している。

まず記者会見では、コロナによって変わった人々の生活への支援となる製品の紹介を「Life is On」というテーマで紹介した。コロナへの不安を少しでも取り除く、Puri Careと名付けられた空気清浄機のラインナップには、業務用の大型のものから個人が持ち歩きオフィスなどのデスクでも使用できるミニサイズのもの、そして空気清浄フィルターがついたマスクなど幅広い製品が紹介された。

また洗濯機、乾燥機、食器洗い機、コードレス掃除機でも同様に、ウィルス除去機能、殺菌効果などを付加した製品を次々に発表。人々に安心を与える、というのが製品作りのテーマになっている。

冷蔵庫は両開きの片側のドアに工夫があり、2回ノックするとドアが透明になって中のものが見える、というものが紹介された。冷蔵庫を開けなくてもストックがチェックでき、賞味期限切れなどが防ぎやすい、というものだ。さらにドアに内蔵されたウォーターサーバーにはUVナノ・テクノロジーを使った浄水機能が付く。

ホテル、オフィスなどのUV-Cロボット、CLOiというシリーズは、自律走行型でUVライトにより室内、家具などを殺菌する。時代のニーズに合わせた製品と言える。

さらにコロナで家にこもりがちな人々へのエンターテイメント提供としてのOLEDテレビの紹介、世界で初めて8Kのゲーム対応スクリーン、ノートPCなども併せて紹介された。

注目度が高いEVの分野

しかしこうした家電製品よりもLGへの注目度が高いのが、EVの分野だ。マグナ社の記者会見では主にLGとの提携によるEVプラットホーム作りが紹介された。世界最大の自動車パーツ製造企業であるマグナとLGの電機関連の強みを併せ、EVの核となるシャーシ、モーターを組み込んだプラットホームを作り、自動車メーカーなどに提供しようというものだ。

こうしたプラットホームは今後のEV普及のカギとなる可能性がある。多くの新興EVメーカーがプラットホームの提供を提案しており、例えば米国のリビアンはフォードに対しリンカーンモデル用プラットホーム提供を発表した。コロナによる生産の遅れなどで実現はしていないが、メーカーにとってはプラットホームがあればそこに自社デザインのボディを乗せるだけでEVが生産できる。マグナとLGがこの事業に乗り出した意味合いは大きい。

またゼネラル・モータース(GM)のメアリー・バラ会長による基調演説の中で、GMとLGが合弁事業として米オハイオ州にEV用バッテリー工場を建設することも発表された。GMは独自にEVプラットホームの製造に乗り出しており、この部分ではマグナ・LGの合弁と競合するのだが、バッテリー部門ではLGの技術の導入を決めた。GMは2025年までに30モデルのEVを発表する、としており、バッテリー生産を自社で行うことが必要不可欠となる。

現在EV用バッテリーの製造メーカーとしてはパナソニック、LG、中国のCATLがビッグ3となっているが、テスラとGM双方にバッテリーを供給することになるLGが競争から一歩抜け出る可能性がある。

IoTの分野でも、LGのコネクティビティ技術は強みを見せるだろう。現在LGではThinQと呼ばれるアプリでIoTを提供している。家電をつなぎ、ひとつのアプリで家の中外のデバイスをコントロールできる、というものだ。これを車の車内エンターテイメントシステムと連動させることで、車から家の家電も操作できる。この分野ではLGはBMWと提携しており、自動運転の部分にも一部関わっている。

日本ではまだ知名度の低いLGだが、米国でのプレゼンスは大きく、欧州や発展途上国でも家電製品では高いシェアを誇っている。今後EV普及が進めばLGはさらに成長する要素を十分に持つ企業だ。

土方細秩子

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