20年間変わらない「農業の市場流通DX」に挑戦するkikitori、資金調達とJAとの協業を発表

20年間変わらない「農業の市場流通DX」に挑戦するkikitori、資金調達とJAとの協業を発表

  • TechCrunch
  • 更新日:2021/01/14

青果を中心とする農業流通のDXを手がけるkikitoriは1月14日、グローバルブレインが運営を受託する農林中金イノベーションを引受先とした資金調達を実施し、3000万円を調達した。同社はこれまでにCoral Capitalから5000万円の資金調達を行っており、累計調達額は8000万円となる。

誰もが使うLINEを活用したDX

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kikitoriは、農業生産者と卸売業者間で現状電話やFAXで行われている各種手続きのデジタル化を手がけるスタートアップだ。同社が展開する「nimaru」では、今や高齢者の間でもよく使われているLINEをアプリのインタフェースとして活用。生産者は、日ごろ使い慣れたLINE上で、卸売業者などに出荷連絡などを行うことができる。

アプリを使い始めるには、生産者は卸売業者があらかじめ用意したQRコードを読み取るだけでいい。インターフェイスにはその生産者が作っている野菜を選べるようにあらかじめカスタマイズされているため、生産者は数量や規格などを選ぶだけでいい。

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卸売業者側は、nimaruのデータを使って各種帳票を自動で作成できるほか、10種類ほど存在する業者向け基幹システムとのデータ連携も可能だ。現状、生産者がnimaruを使い始めるのは卸売業者からの紹介がほとんどだが、nimaruを導入することで卸売業者のオペレーション負荷を削減できることから、nimaruを取引のある生産者にすすめるモチベーションが生まれる。生産者側も、これまでのような電話連絡だと担当者が捕まりにくいなど不都合があるため、LINEで簡単に利用できるnimaruであれば使うメリットも大きい。

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20年間変わらない8割という数字

農業流通の分野でビジネスを行うスタートアップとしてまず頭に浮かぶのは、生産者と消費者を直接つなぐCtoC流通を手がけるスタートアップだ。しかしkikitori代表取締役の上村聖季氏は、「農協や卸売業者など、中間業者が存在する市場流通を変えることが大きなインパクトを生む」と主張する。農林水産省が2006年に発表した「食品流通構造調査」によれば、国内産青果物の約8割は卸売業者を通して食品製造業、食品小売業、外食産業に出荷されている。上村氏によれば、この8割という数字は20年ほど前から現在まで、変わっていないという。

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画像:農林水産省「食品流通構造調査」2006年より

ではなぜ、この巨大流通のデジタル化が進まなかったのか。上村氏によればそれには2つの理由があるという。

まず1つ目に、これまでには農業流通のデジタル化を進める絶対的なリーダーがいなかったという理由がある。工業製品とは違い、農産物はその年の天候で収穫量が大きく左右されるという特徴があり、それに応じて生産者と卸売業者間のパワーバランスが変わる。不作のときは供給側の生産者の力が強くなり、逆に豊作の時は卸売業者側の力が強くなるのだ。そのため、生産者と卸売業者は古来から「持ちつ持たれつ」という関係性が保たれてきた。だから、たとえば卸売業者が「Aというツールを使うから生産者もそれに従ってくれ」とはいかず、生産者と卸売業者が共通で使う統一されたツールというものが生まれにくいという背景があった。

もう1つの理由は、高齢化が進む生産者に受け入れられやすいツールがなかったことだ。しかし、昨今ではスマートフォンの普及も進み、LINEのようなアプリケーションの浸透率も高まってきた。kikitoriも当初はネイティブアプリを開発していたが、生産者に受け入れられず、現在のLINEアプリという方法にたどり着いたという。

このような背景があることから上村氏は「農業における市場流通のDXは時間がかかる市場ではあるが、地道にプロダクトを磨きながら挑みたい」と話した。

農業流通DXで欠かせないJAとの協業

kikitoriはこれまで、日本各地に1500ほど存在する卸売業者を中心にkikitoriの営業を続けてきた。しかし、農業流通DXにおいて絶対に避けて通れない道がJA(農業協同組合)との協業だった。今回、kikitoriはJAグループの一般社団法人「AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)」が始めた指名制のアクセラレータプログラムに採択され、今回の資金調達はその一環として実施された。今後、kikitoriはJA向けにnimaruを試験導入し、将来的に各地にあるJAへの全面導入を目指していくという。

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カテゴリー:ネットサービスタグ:農業

画像クレジット:kikitori

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